みなさん日々の生活の中で「ご懇情」という言葉を見聞きしたりしますか?
「ご懇情を賜り」と使う場面もありますが、どんな意味がありどんなシーンで活用する言葉なのかも気になりますよね。
そんな本日は「ご懇情」の読み方と意味、そして使い方と類語、例文について詳しく解説したいと思います。
「ご懇情」の読み方と意味は?
まず最初に「ご懇情」の読み方と意味を見ていきましょう。
「ご懇情」という言葉は、「懇情」という名詞に漢語を丁寧に修飾する接頭語「ご」を付した構成になっています。
読み方は「ごこんじょう」です。
「ご懇情」の「懇」という漢字は、会意文字であり、また形声文字です。
「貇」と「心」という字から成り立っています。
「貇」とは、「獣が背を丸くして獲物に襲いかかろうとする形」と、「人の目」を強調した形が合わさっています。
ここから「とどまる」や「ふみとどまる」を意味するとされます。
「心」はそのまま「心臓」や「気持ち」を表します。
このことから、「懇」は「一定の範囲内に心をふみとどめておく事」をそもそも意味しており、そこから「ねんごろ」、「心がこもっているさま」を指す字となったようです。
一方「情」という字は、会意文字、及び形声文字です。
これは「忄」と「青(靑)」から構成されています。
「忄」は「心臓」や「心」を表す部首です。
「青」は「草木が地上に生じてきた形」と「井げたの中の染料」を示し、「青くすみきる」という意味を表します。
ここから、「情」は「いつわりのない心」、「まこと(本当)」といった意味合いになったとされます。
このように「ご懇情」は、相手に対するねんごろで、いつわりのない心を丁寧に表現する言葉だといえます。
すなわち「真心のこもった心遣い」であり、「親切な心」や「親切で真心を尽くした心くばり」を指し示すといえるでしょう。
「ご懇情」の正しい使い方は?
次に「ご懇情」の正しい使い方を見ていきましょう。
こうした意味合いを持つ「ご懇情」ですが、一般的な会話やメールなどのやり取りでは、あまりお目にかかりません。
通常は、日本語に特有な、手紙やあいさつ状などの書面の中で、定型的に用いられる「あいさつ言葉」の一つと考えてよいと思います。
相手から、常日頃、親切にしてもらったり、真心をつくしたお付き合いをもらっていることに対して、相手を敬ってお礼を述べる際に、こうした言葉を用いて表現することが、正式、公式な「手紙文」では通例です。
このため「ご懇情」は、ややかしこまった場面で使用する文章語であるともいえます。
こうした日本語における「手紙の慣用語句」は、「ご懇情」のほかにも「ご厚情」、「ご芳情」、「ご厚志」など多くの種類があります。
ただ、おおむねどの言葉も、相手に対してひいきにしてもらったり、良い関係を築いてもらっていることについて、丁重に感謝を述べる際の言い方であり、意味合いの上で大きな差異があるわけではありません。
このため、ビジネスなどで「どの場面ではどの言葉」と厳密に使い分けるというよりも、言葉にバリエーションをつけて、文章内で繰り返しの表現や同じ字(重ね字)を使わないように適宜使い分けることが、ある意味ではスマートなビジネスマナーだといえるかもしれません。
こうした「あいさつ定型語」の中でも、「ご懇情」の使用場面をあえて指摘するとすれば、この言葉は長年の愛顧やお付き合い、お世話になったことについて、相手に心から感謝する意を示す言葉なわけですから、転勤、転職、閉店、会社の移転といったビジネスシーンでの書面での使用例が多いといえそうです。
「ご懇情」の類語と例文を教えて?
最後に「ご懇情」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「ご懇情」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
などがありますね。
「ご懇情」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 在職中は皆様から公私にわたる温かいご指導とご懇情を賜り、職務を全うすることが出来ましたこと、心から感謝と御礼を申し上げます。
- これまで公私とも格別のご懇情を賜り、お礼の申し上げようもございません。
- 皆様のご支援とご懇情に深く感謝申し上げます。
「ご懇情」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ご懇情」の読み方と意味、そして正しい使い方、類語、例文を詳しくご紹介しました。
調べてみると普段のメールや会話などでは使う機会は少なく、主に手紙などに添える表現方法ということが分かりました。
昨今、携帯の普及によりあまりお手紙を書く機会がないとは思いますが、知識として頭の片隅に入れておくといいかもしれません。