みなさんは普段、「ご贔屓(ごひいき)」という言葉を見聞きしたりしますか?
「どうぞご贔屓に」と言っているのを聞いたりしたことはあるんですが実際にどんな意味合いで使われている言葉なのか理解している人はどれくらいいるのか気になります。
そんな本日は「ご贔屓(ごひいき)」の正しい使い方や読み方、意味、類語、例文について詳しく解説したいと思います。
「ご贔屓」の読み方と意味は?
まず最初に「ご贔屓」の読み方や意味について見ていきましょう。
「ご贔屓」は「ごひいき」と読みます。
「贔屓」の元来の読み方は「ひき」だったと考えられますが、その後長音化したようです。
「贔屓」の「贔」という漢字は、「貝」が三つ重なっています。
貝は古代中国から財貨、家財を意味していました。
財貨を三つ合わせることで、重い荷を背負うことを示しています。
転じて、「力を込める」という意味合いを表す字となりました。
また「屓」はもともとは「鼻息を荒くする」ことを表す字です。
息を荒くして力んだり、力を込めるという意味で用いられ、転じて「特定の人を助けるために力を入れる」ことや、「だれかに目をかける」といった意味になりました。
すなわち「贔」も「屓」も「大いに力を入れる」、「強く力を用いる」という似たような意味の漢字の連なりです。
こうした成り立ちが転じて、現代では「贔屓」とは、「特定の人や団体、ものを特に引き立てること」という意味合いが一般的になりました。
何か気に入った人やものについて、非常に好意を示してかわいがったり、目をかけて世話をしたり、後援したりすることを指します。例えば「贔屓の芸人」、「片方ばかり贔屓するな」といった使い方です。
そのような行為をする人自体、いわゆる「後援者」や「パトロン」を指し示す場合もあります。
「贔屓の客」、「贔屓筋」といった用法がこれに当たります。
慣用的な表現も多い言葉です。例えば「判官贔屓(ほうがんびいき)」という言葉があります。
これは「力が弱い、負けそうな人や団体を、同情して応援する」といった意味です。
鎌倉時代に民衆から人気のあった源義経が、謀反の疑いをかけられ兄の頼朝に討たれた故事から、義経の官位名であった「判官」さんを贔屓する、という由来で成り立ちました。
また、「偏愛」を揶揄するような表現では「身贔屓(みびいき)」、「えこ贔屓」といった語句もあります。
さて「ご贔屓」は、「贔屓」に丁寧な接頭語「ご」を冠した表現です。
やはり特定の相手を引き立てる行為を敬って述べる言い方ですが、一般には自分や自分側の組織について「ご贔屓ください」など、愛顧をお願いしたり、お礼を言ったりする用法が多いといえるでしょう。
主にビジネスや芸能、芸術分野などで、支持してくれるお客さんに対して用いることが多い言葉です。
「ご贔屓」の正しい使い方は?
次に「ご贔屓」の正しい使い方について見ていきましょう。
「ご贔屓」は、主にはビジネス上でのお得意先の顧客や、大口で長年付き合いのある取引先、あるいは芸能・芸術関係での「タニマチ」、支援者、熱烈なファンなどに対して、日頃の支援へのお礼を述べる際に使うことが多い表現です。
「いつも引き立てていただき感謝します」、「今後も末永くご愛顧いただきたい」といったあいさつなどで使用する事例が一般的だといえるでしょう。
あるいは「これからぜひ、支援をお願いしたい」と依頼する際にも用いることができます。
ただ「ご贔屓」は漢語で字が難しく、やや難読でもあり、通常は挨拶状などの書面での使用が多いといえるでしょう。
また平仮名書きで用いたり、後述するように「お引き立て」や「ご愛顧」といった語句で言い換えることも可能です。
「ご贔屓」の類語と例文を教えて?
最後に「ご贔屓」の類語と例文を見ていきましょう。
「ご贔屓」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
「ご贔屓」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 今後とも変わらずご贔屓くださいますよう、お願いいたします。
- 平素は格別のご贔屓にあずかり、心よりお礼申し上げます。
- 今日の弊社がありますのも、お客様の長年のご贔屓のたまものと、誠に感謝いたしております。
「ご贔屓」の類語と例文をご紹介しました。
もし使う機会がありましたら参考にしてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご贔屓(ごひいき)」の正しい使い方や読み方、意味、類語、例文について詳しくご紹介しました。
ビジネスシーンで主に活用する言葉なので、使う機会が多い人は正しい意味や使い方を理解しておくといいかもしれませんね。
言葉について理解を深めてから活用すると相手にもしっかりと正しく伝わると思います。
言葉の奥深さというのは本当に毎回、勉強になるなと思いました。