よくビジネス文書などで見かける「ご清祥」という表現方法があります。
似たような言葉に「ご清栄」や「ご健勝」などもありますが、「ご清祥」との違いなども気になってしまいますよね。
そんな本日は「ご清祥」の読み方と意味、そして正しい使い方と類語、例文を詳しく解説したいと思います。
「ご清祥」の読み方と意味・使い方は?
まず最初に「ご清祥」の読み方と意味、使い方を見ていきましょう。
「ご清祥」という言葉は、「清祥」という名詞に、漢語を丁寧に言い換える接頭語「ご」を冠した形になっています。
読み方は「ごせいしょう」です。
「ご清祥」の「清」という字は、会意文字、及び形声文字です。
さんずい「氵」と「青」という字の組み合わせです。
さんずいは「流れる水」の形であり、「水」を示します。
「青」の上の部分は、「草・木が地上に生じてきた形」を表し、「青い草が生える」という意味を指すとされます。
「月」に似た部分は「井げたの中の染料(着色料)」を示すといわれます。
こうしたことから「青」は「青い色」や「青くすみきる」といった意味合いを指すようになったとされます。
そして「清」は、「水がよく澄んでいること」や「曇りがなく、きよい」を意味する字となりました。
また「祥」は、会意文字、形声文字です。「ネ(示)」と「羊」という字で成り立っています。
「礻」は「神にいけにえを捧げる台」をそもそも表したとされます。
「羊」は動物の「羊の首」を示しており、「ひつじ」を意味します。
このことから「祥」は、元来は「神に羊を供えて、よき神意を受ける」といった意味合いの字です。
これが転じて、「幸い」や「喜ばしいこと」を意味するようになったとされます。
こうしたことから「ご清祥」は文字通りには「(生活や暮らしが)何の曇りもなく、清らかで幸せな状態」ということになりますが、実際には、一般的な会話や文章などで使う言葉ではなく、主には手紙や儀礼的な書状などの中で、定型的に用いる「あいさつ用語」だといえます。
通常は、手紙などの冒頭で、枕詞として使い、相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶ意味合いを表します。
「ご清祥」は、あいさつ用語の中でもやや堅い、文章語的な言葉ですので、ビジネスシーンや式典、儀式などの公の文書の中で用いることが多いといえます。
相手が目上の人や立場が上の人でも、目下や同輩であっても、隔てなく使うことができる用語です。
「ご清祥」と「ご清栄」の違いと使い分け方は?
次に「ご清祥」と「ご清栄」の違いと使い分け方について見ていきましょう。
「ご清祥」のような日本語の「あいさつ語」は、古くは武家や公家同士でやり取りする書状に見える、漢文調のかしこまった表現が一般的でした。
「貴殿益々御健勝にして御隆盛の由、大慶至極に存じ候」といった調子です。
これが現在ではかなり簡略化され「ご清祥」など一部に形をとどめているといえます。
こうしたあいさつ語は、意味の上から、大きく二つの分類ができるようです。
ひとつは相手の「健康」に関する表現、もうひとつが「繁栄」に関する表現です。
- 「健康」に関する表現
- 「繁栄」に関する表現
健康を表すものでは「清祥」、「健勝」などがあり、いずれも「体が健康で健やかに暮らしている」ことを指します。このため基本的には個人に対して使う言葉だといえます。
一方、繁栄を示す言葉では「盛栄」、「隆昌」などがあります。
これらは主に「経済的に豊かである」、あるいは「豊かさがさらに膨らんでいく」ことを意味します。
繁栄に関するこれらの言葉は、個人と企業・団体の両方に対して使うことができます。
そうしたあいさつ語の一種に「ご清栄」という言葉もあります。
これは、前述の「健康」、「経済」を合わせたような意味を持ちます。いわば「清祥」と「盛栄」を融合させた形です。
すなわち、健康と経済的繁栄の両方を称えることができる便利な言葉だといえます。
例示した「健康」用語では企業や組織に対しては使用が不適切になりますが、相手について「社員皆さんが健康に働き、かつ業績も順調である」ことを同時にたたえたい場合には、両方のニュアンスを含むこの「ご清栄」が使いやすいといえるでしょう。
「ご清祥」の類語と例文を教えて?
最後に「ご清祥」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「ご清祥」に類するあいさつ語には次のようなものがあります。
◆類語
などがありますね。
「ご清祥」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 春暖の候、先生にはますますご清祥の由、心よりお慶び申し上げます。
- 時下、ご清祥のこととご拝察申し上げます。
「ご清祥」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ご清祥」の読み方と意味、そして正しい使い方と類語、例文を詳しくご紹介しました。
主に「ご清祥」はあいさつ用語でお手紙に添える表現方法として使われることが多いことが分かりました。
少し堅い言葉なのでビジネスシーンや式典、儀式の文書で使われる言葉と覚えておきましょう。