仕事の上司

普段、生活していると似たような言葉を使う場面が多々あるかと思います。

例えば「決裁」「承認」もそのひとつです。漢字も読みもまったく違う言葉ですが、意味合いがとても似ているので使う場合に悩んでしまうと思います。

そこで「決裁」「承認」の違いと使い分け、そして意味と例文を詳しく解説したいと思います。

スポンサーリンク

「決裁」「承認」の意味と使い方は?

まず始めに「決裁」「承認」の意味と使い方を見ていきましょう。

「決裁」の成り立ち

「決裁(けっさい)」という名詞の「決」という漢字は、さんずいが「水」を示し、つくりの部分は「象牙の中をくりぬいた、弓を引くための道具を、人が持っているさま」を表すとされます。

つまり「決」は元来は「堤防を水がえぐり、切れ目が生じる」ことを示し、ここから「切れる」という意味になりました。

現代では「物事をきっぱり白黒に切り分ける」といったニュアンスから、「判断する」、「定める」といった意味でも用いられます。

「裁」という漢字は「衣」が「衣服の襟元」を示し、その他の部分は「握りの先端に刃がついた矛」などを表すとされます。

このことから「裁」は「衣類を断ち切る」が原意とされます。

今では「衣類などを仕立てる」や「その物事が正しいかどうかを判断する」といった意味にも使われます。

このように「決裁」は同じような「判断し決める」といった意味の字の連なりですが、現代日本語では主にビジネスや官公庁などでの手続き用語として定着しています。

これは「権限を持っている上位者が、部下の提出した案や計画の可否を決めること」を意味します。

「承認」の成り立ち

次に「承認(しょうにん)」の「承」ですが、これは「身をかがめている人」を、下から人々の手が支えるさまを示しています。

つまり「何かを受け取る、受け入れる」といった意味です。

また「認」という漢字はごんべんと「忍」から成り立っています。

ごんべんは「慎んで言う」という意味です。「忍」は刀と心に分けられ、原意は「我慢する、こらえる」というものです。

ここから「認」は「相手の発言について我慢する」という意味になり、すなわち「みとめる、ゆるす」といった趣旨を示しました。

そのため「承認」「認めて受け入れる」という意味を指します。

「その事柄が正当で、もっともだと判断する」、「相手の言い分を聞き入れる」といった意味合いの言葉です。

なお「承認」は国際法上の用語でもあり、その場合は「国家・政府・交戦団体などについて、国際法上の主体として一定の地位を認めること」を示します。

「A国が、革命が起きたB国の新政府を承認した」といった用例です。

スポンサーリンク

「決裁」「承認」の違いと使い分けは?

どちらを選ぶ

次に「決裁」「承認」の違いと使い分けを見ていきましょう。

「決裁」も「承認」も、何かの課題や問題を了承し受け入れる、という点では同じ意味合いですが、ビジネスシーンなどでは厳密に違いや使い分けがあります。

どちらも堅いかしこまった用語で、とりわけ「決裁」「権限を持った上の地位の者が、下の立場の者から提出された案件の可否を決める」ことを指します。

この「権限を持つ」、「人間関係の上下がある」という部分が「決裁」という言葉のポイントです。

ビジネスや官公庁などでは、ほぼすべての業務に関わる計画、企画、人事、予算などが、一般的には現場の担当者から発案・提起され、それを上司が吟味しOKを出すことで実行されるのが流れです。

この「上司がGOサインを出す」、言い換えれば「組織として意思決定する」ことが「決裁」の意味だといえます。

一方「承認」「ある事柄について正当と認める」行為です。

公的な機関や個人が申請案件を認める意味も持ちますが、この言葉には「上下関係」はなく、またビジネスなどでは最終決定ではない場合も多いといえます。

例えばある企画書を係長、課長、部長らが順に回覧して押印する「稟議」という行為がありますが、これはいわば「承認」であり、まだ会社としての意思決定ではありません。

最終的に決定権限を持つ役員などが「決裁」して初めて、その企画が実行されるわけです。

このように企業や官公庁などでは「決裁」についてのルールは細かく厳密に決められているのが通例です。

案件ごとに誰が決裁権限を持つのか、どういう手順で決裁するのかなどが組織によって異なります。

一方「承認」は法律用語は別として、「決裁」に比べると一般名詞としてのニュアンスが強いともいえるでしょう。 

「決裁」「承認」の例文を教えて?

最後に「決裁」「承認」の例文を見ていきましょう。

「決裁」の例文

「決裁」の例文はこのようになっています。

  • 我が社では一千万円までの契約は部長に決裁権限がある。
  • この人事は大変重要なので、最終的に社長に決裁を仰ぐ必要があるだろう。

「承認」の例文

「承認」の例文はこのようになっています。

  • 未成年者がカード入会を申し込むには、親の承認が必要です。
  • イベントで道路の使用を許可してもらうため、管轄の警察署に承認を申請しよう。

「決裁」と「承認」の例文をまとめてご紹介しました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「決裁」「承認」の違いと使い分け、意味と例文を詳しくご紹介しました。

読み書きはまったく違いますが、意味はとてもよく似ているので使う場面を間違えないようにしましょう。

ビジネスシーンなどでよく使う言葉なのでこの機会に意味と使い方をしっかり覚えておいて下さいね。

あなたにオススメの関連記事