日々の生活の中で「嫋やか(たおやか)」という言葉を見聞きしたりしますか?
「嫋やかな女性」という言葉は聞いたことがある方も意外と多いかもしれませんね。
読み方も難しいと思いますが、意味なども気になるところです。
そんな本日は「嫋やか(たおやか)」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しく解説したいと思います。
「嫋やか(たおやか)」の意味は?
まず最初に「嫋やか(たおやか)」の意味を見ていきましょう。
「嫋やか(たおやか)」という言葉は形容動詞で、「嫋やかに」や「嫋やかだ」といった形で名詞を修飾します。
「たおやか」は本来は和語であり、古い日本語に由来しています。
「たおやか」の「たお」とは、「たわ」という言葉が発音しやすいように音変化したものと考えられています。
「たわ」とは、「撓む(たわむ)」という言葉から派生しているようです。
この動詞は「固い棒状・板状のものが、加えられた強い力によってそり曲がった形になる」ことを表します。
例えば「雪の重みで枝がたわむ」や、 「棚がたわんでいる」といった言い方です。
これが転じて「心が屈する」、「疲れる」、「たゆむ」といった意味でも用いられたようです。
また「たわむ」は「しなう」とも言い換えられます。
「しなう」も「たわむ」と同じ「撓」の字が共通して当てられ、「枝がしなうほど実がなっている」など、同じようにゆるやかに弧を描く意味で用いられます。
ちなみに「しなう」は弾力があって復元し易い状態をいい、「よくしなうからだ」、「むちをしなわせて脅かす」などと用います。
一方、「たわむ」は「重さや力に耐えられなくて曲がっている状態」を指します。
「たわむ」の二次的な意味合いである、「精神や気力がおとろえる」といった意味は「しなう」にはありません。
少し本題から外れましたが、このように「たおやか」は「たわむ」と同源の言葉であり、古語で使われた表現です。
古語では「嫋やかなり」や「嫋やぐ」といった用例があったようです。
「やか」や「やぐ」は接尾語であり、やはり大本は「たわむ」から派生している言葉です。
「嫋やかなり」は「しなやかだ」、「やわらかだ」といった意味を示しました。
例えば「枕草子」には「萩、いと色深う、枝たをやかに咲きたるが」(萩の花は、とても色が濃く、枝もしなやかに咲いているのが)といった表現があります。
また人の性質について「物やわらかだ」、「穏やかだ」とも表されました。
また「嫋やぐ」は「しとやかになる」、「柔和になる」という意味合いです。
こうした由来から、現代の「嫋やか」は人や物について「姿・形がほっそりとして動きがしなやかなで、やさしいさま」を表します。
また特に人に関して「態度や性質がしとやかで上品なさま」も示します。
「嫋やか(たおやか)」の正しい使い方は?
次に「嫋やか(たおやか)」の正しい使い方について見ていきましょう。
このように「嫋やか」は、元来は「たわむ」という、自然の草花の様子を模写した古代日本らしい繊細な言葉だといえます。
柔らかにしなる木々の枝を、人の仕草や物腰の上品さに当てはめた、日本語らしい表現だといえるでしょう。
そして特には、人について言い表す場合は、女性の優しさや所作の優美さ、美しさを言い表すことが多いとも言えます。
なお「嫋やか」はその言葉のルーツから、「たおやか」とも「たわやか」とも読むことがありますが、どちらも間違いではありません。
また「嫋」という漢字は、漢語、中国語で「か細くて柔らかい」といった、似た意味である「嫋(niǎo)」という字を和語に当てはめたものと考えられます。
「嫋やか(たおやか)」の類語と例文を教えて?
最後に「嫋やか(たおやか)」の類語と例文をご紹介します。
「嫋やか」の類語は次のようなものがあります。
◆類語
- 婉麗
- 寛雅
- 典麗
- 雅びやか
- 柔靭
- 柔軟
- 軟らかい
- 華奢
- 繊細
- デリケート
などがあります。
「嫋やか」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 嫋やかになびく柳
- 嫋やかな女性
- 嫋やかな身のこなし
- 嫋やかな乙女
- 嫋やかな舞の手ぶり
「嫋やか(たおやか)」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「嫋やか(たおやか)」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しくご紹介しました。
おさらいをすると「嫋やか」という言葉は古くから使われており人や物に対して姿かたちがほっそりしていてしなやか、または優しい雰囲気などの意味合いがあります。
由来や語源なども分かったと思うので、是非活用してみてくださいね。