日々の生活で「または・あるいは・もしくは」という表現方法をよく使う場面があると思います。
ビジネスの場でもよく使いますし、プライベートでもよく使う言葉ですよね。筆者も職場などで無意識に使っているのですが、どんな場面でどんな意味合いを込めて使っているのか、真剣に考えたことはありません。
そこで「または・あるいは・もしくは」の違いと使い分け、そして例文を詳しくご紹介したいと思います。
「または・あるいは・もしくは」の意味と使い方は?
まず始めに「または・あるいは・もしくは」の意味と正しい使い方を見ていきましょう。
「または・あるいは・もしくは」という三つの言葉は、いずれも文章の中で接続詞や副詞として用いられるものです。
「または」の意味
まず「または」は、この三語の中では最も平易で一般的な場面で使われる言葉だといえます。
漢字では「又は」などと書きますが、これは「二つ以上の事柄のどれを選んでもよい」という意味を示す接続詞です。
「いくつかあるうちの、Aか、そうでなければBでもCでもよい」ということを表します。
「あるいは」の意味
次に「あるいは」は、漢字では「或いは」とも表記します。
これはそもそもは古語から由来しており、「ある」という動詞の連体形に、強調の意味を示す副助詞「い」と係助詞「は」がつながった形で構成されています。
古語では「ある人は」や「ある場合は」と同類の事柄を列挙するときに連語として使われました。
竹取物語の中にみえる「あるいは笛を吹き、あるいは歌をうたひ」といった用例です。
このほかには、「一方で、時には」や「または、もしくは」といった現代と似た意味でも用いられています。
現代日本語では「あるいは」は接続詞としては「どちらかを選択する」という趣旨であり、副詞としては「別の状況もあり得るかもしれない」と、「もしかしたら、ひょっとしたら」という意味を示すことが一般的です。
「もしくは」の意味
そして「もしくは」も元来は漢文訓読に由来する古い表現で、漢字では「若しくは」と書くのが通例です。
これも「あるいは」と似ており、接続詞としては「前後にある物事の、どちらか一方が選ばれる関係にある」ことを示します。
また副詞としては「もしかしたら、ひょっとすると」という意味合いです。
このように、並列の物事から一つを選ぶという意味合いで用いる場合は、「または」より「あるいは」や「もしくは」はややかしこまった、堅い文章語であるといえます。
また次項でご説明するように特に法律関係の文では、「または」と「もしくは」などの二語とは、意味を厳密に区別し使い分けられています。
「または・あるいは・もしくは」の違いと使い分けは?
次に「または・あるいは・もしくは」の違いと使い分けを見ていきましょう。
前述したように、「または」は「複数の事柄のどれを選んでもよい」という接続の言葉ですが、「あるいは」や「もしくは」は、その「または」と同じ意味合いを表す一方で、別の独自のニュアンスも持つ言葉だという違いがあります。
「あるいは」と「もしくは」には「ひょっとすると」という別の可能性を指摘する、「または」にはない意味があります。
このため「会議は五時終了予定だが、あるいは延びるかもしれない」という用法のケースでは、「あるいは」を「もしくは」と言い換えることはできますが、「または」は使えません。
また「あるいは」や「もしくは」はよりあらたまった言い方であり、法律や制度、規定などの堅い文章ではしばしば登場します。
そして定義付けもきちんと行われているのが特徴です。
例えば少年法の規定に「家庭裁判所は証人を尋問し、又は鑑定、通訳若しくは翻訳を命ずることができる」とあります。
ここでは「または」などの接続詞は、選択する物事の段階の違いを示しています。
すなわち「尋問・鑑定・通訳」は大きく段階が異なる種類の行為であり、「または」がそれらを並列に示しています。
一方「通訳・翻訳」は小さな段階で異なる同種の行為であり、その場合は「あるいは」で区別して例示しているといえます。
「もしくは」も「あるいは」と法令用語としては類似しており、例えば「三年以下の懲役または○万円以上の罰金もしくは科料に処す」とあれば、「懲役・罰金」は大きな段階の違いがあり、「罰金・科料」は小さな段階の差異、という区別になるわけです。
「または・あるいは・もしくは」の例文は?
最後に「または・あるいは・もしくは」の例文をご紹介します。
「または」の例文
「または」の例文を以下に挙げます。
- 申込書は黒ペンまたはボールペンで記入のこと。
- あすは雪またはみぞれが降るでしょう。
「あるいは」の例文
次に「あるいは」の例文を、意味の違いに分けて示します。
- 今思えば、あるいは私のほうが間違っていたのかもしれない。
- ここでみりん、あるいは酒を少量加えると味に深みが出る。
「もしくは」の例文
最後に「もしくは」の例文を意味の違い別に列挙します。
- 受取人は本人、もしくは代理の者に限る
- 彼が最良だと考えたが、もしくは違っていたのだろうか。
「または・あるいは・もしくは」の例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「または・あるいは・もしくは」の違いと使い分け、そして例文を詳しくご紹介しました。
表現方法は違いますが、個々の意味合いを調べてみると、似たような言葉なんですよね。
「あるいは」と「もしくは」はとてもよく似ているので、言い換えて使うことが出来ますが、「または」は言い換えて使うことはできません。
意味と使い方をしっかり覚えて相手に誤解のないように使いましょうね!