みなさんは普段、生活している中で「些少(さしょう)」という言葉を使いますか?
「些少ながら~」や「些少ではございますが~」などと使う場合がありますが、どのような意味合いがあるのか気になりますよね。普段、あまり使う機会がない人も今後、使う場面が出てくるかもしれないので意味や正しい使い方を覚えておくと良いですよ。
そんな本日は「些少(さしょう)」の意味と正しい使い方、そして「僅少」との違いと使い分け方、例文を詳しくご紹介したいと思います。
「些少(さしょう)」の意味と使い方は?
まず最初に「些少(さしょう)」の意味と使い方を見ていきましょう。
「些少」という言葉は、名詞であり、形容動詞として「些少だ」、「些少な」のようにも使われます。
読み方は「さしょう」です。
「些少」の「些」という漢字は、形声文字で、「此」と「二」から構成されています。
「此」という字は「立ち止まる足の形」と、「年老いた女性」を示す「ヒ」という字の合成になっています。
「ヒ」はあるいは「なき母」の意味であるとともに、「比(ヒ)」に通じることから、「なき父と並ぶ人」の意味を示したとの説もあります。
いずれにせよ「(老人のように)歩幅をわずかに開いて踏む」といった意味合いと、「二本の横線」、すなわち「二つ」という意味が合わさり、「些」は「ほんの二つばかりの」、さらには「少し」、「わずか」を指すようになったといわれます。
「些」は語声を強める助字としての働きもあり、「なんぞ」、「この」、「これ」という意味も持ちます。
一方の「少」という字は象形文字です。
「小さい点」の形から「すくない」を意味するようになったとされます。
このように「些少」は、「数量や程度がわずかなこと、また、そのさま」という意味の言葉です。
ただし、単に物理的な分量が少ないさまを示すというより、「些少」は、現代使われる用法では、多くの場合は、相手に感謝の気持ちとして何かを贈る場合や、謝礼として金銭を渡す場合に、謙遜の気持ちを示す際の表現だといえます。
相手に対して謝礼やもてなしなどを行う場合に、へりくだって「大したものではないので恥ずかしいのだが」、「非常に少なく申し訳ないのだが」と謙遜の態度を示すことが、ある意味、日本的な美徳とされます。
こうした日本語特有の表現の一つが「些少」であり、「粗品ですが」や「粗茶ですが」などと似たような使われ方をする言葉だといえるでしょう。
「些少」と「僅少」の違いと使い分け方は?
次に「些少」と「僅少」の違いと使い分け方を見ていきましょう。
「僅少(きんしょう)」の意味と使い方!
「些少」と似た言葉に「僅少(きんしょう)」という言い方があります。
この二つの言葉の使い分けはどのようにすればいいのでしょうか。
「僅少」も「些少」と同じく名詞であり、主として形容動詞的な使われ方をします。
意味は「非常に少ない」や「ほんのわずかであること、また、そのさま」ということです。
例えば「僅少差で辛くも逃げ切った」や「残部僅少につき、お買い求めはお早めに」といった使い方となります。
「些少」は前述のように、多くは金銭を渡す場合について、謙遜の意をこめて使われる表現です。
別の漢字では「瑣少」と書くこともあります。
一方、「僅少」は、金銭に限らず、物事全般の数値がわずかである場合に広く使われます。
そこに謙遜や恥じらいの気持ちは含まれていません。
逆に、スポーツや選挙などの勝敗を表す際に「惜しいことに、些少な差で敗れた」とは言いません。
「些少」はその言葉の成り立ちから分かるように、少ないことを強調する意味合いも持ちますので、やはり「この程度しかお渡しできず、恐縮の限りです」と謙遜の気持ちを示すには最も適切な言葉だといえるでしょう。
「些少」の類語と例文を教えて?
最後に「些少」の類語と例文をまとめてご紹介します。
類語
「些少」の類語には、次のようなものがあります。
「微少」、「少量」、「小量」、「一掬」(いっきく=ひとすくいのわずかなさま)、「僅か」、「若干」、「幾らか」、「瑣少」、「微微たる」、「ちょっと」、「一片」、「一毫」、「少々」などです。
例文
「些少」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
「些少ながらお手伝いできれば幸いです。」、「ほんの些少な金額ですが、お礼のしるしにお納めください。」、「このように些少なお礼しかできませんが、心ばかりですのでどうぞお受け取りください。」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「些少」の意味と正しい使い方、そして「僅少」との違いと使い分け方・類語・例文をまとめてご紹介しました。
おさらいをすると「些少」は金銭的な意味で「数量や程度が少ない」ことを現し、「僅少」は金額だけではなく物事全般にも使うことが出来ます。
「些少」には謙遜の意味が込められていますが「僅少」には謙遜の意味は込められていません。
意味も使い方もとてもよく似ていますが、ごちゃ混ぜにならないように正しく相手に伝えるようにしましょう!