みなさんは日々の生活の中で「ご高説(ごこうせつ)」という表現方法を見聞きしたりしますか?
「ご高説を賜る」という言葉を使っている人をたまに見かけますがどんな意味があり、どんな場面で使う言葉なのか気になりますよね。
そんな本日は「ご高説」の意味と使い方、そして類語と例文について詳しく解説したいと思います。
「ご高説」の意味は?
まず最初に「ご高説」の意味について見ていきましょう。
「ご高説(ごこうせつ)」という言葉は、「高説」という名詞に、漢語を丁寧に表す接頭語「ご」を冠した形です。
「ご高説」の「高」という字は、象形文字です。
元来は「高く大きい門の上にたつ、高い建物」の形を表しているとされ、そこから「たかい」を意味するようになりました。
物理的な高さが転じて、「敬う」、「存在を高める」といった精神的、抽象的な表現でも用いられます。
また同じ意味合いで、相手への敬意を表す強調の言葉としても使われることがあります。
「高説」や「高評」はそうした用例の一つといえるでしょう。
また「説」という漢字は、会意文字であり、形声文字でもあります。
ごんべん「言」と「兌」という字で構成されています。
ごんべんは「つつしんで言う」という意味を示します。
「兌」は「二つに分れているものの形」と、「口」、「人」の象形が合わさったものとされています。
これは、「人がいのることによって結ばれた気持ちが、分解する」といった趣旨が原意だとされます。
そこから「言葉で分解する」、「とく」、「説得する」といった意味に転じました。
また「意見」や「主張」、「見解」など自体を示すこともあります。
このように「ご高説」は、尊敬の表現として、「他の人を敬って、その見解や意見を指し示す言い方」だといえます。
または「敬う相手が述べる考え」、あるいは「優れていて素晴らしい意見そのもの」を示す場合もあります。
「ご高説」の正しい使い方は?
次に「ご高説」の正しい使い方を見ていきましょう。
「ご高説」は相手を敬って使う尊敬語的な表現ですが、一般的な会話や日常の場面では使うことはあまりなく、かしこまった場面で使用される堅い文章語だといえるでしょう。
主には、ビジネスシーンや書面などで、顧客や有識者などの立場が上の人に対して、敬意を込めて「ご意見をうかがいたい」と申し出る場合の言い方です。
「相手の見識が優れていて深い」ことを評価する言い方には、次の項でご紹介するようないくつかの類語があります。
しかし、それらの中でも「ご高説」は、相手に心酔し、意見や論説そのものはもちろん、人物自体をも尊崇するといった、大仰なイメージもにじみます。
それだけに、あまり軽々しく乱用すると、逆に相手を小馬鹿にしたような、わざとらしい嫌みなニュアンスを与えかねませんので、使用の際には注意も必要です。
実際に、小説やドラマの台詞などでは「君のご高説を長々と聞いている暇はないんでね」といった、皮肉を込めた言い回しもよく見られます。
このため、ビジネスの場面などで、顧客や取引先に対して、要望や意見を聞きたい旨を申し伝えるようなケースでは、むしろ平易に「この件でご意見をおうかがいしたいのですが」、「ご意向をお聞かせ願えないでしょうか」などと言うほうが、無難であり適切だといえるかもしれません。
「ご高説」の類語と例文を教えて?
最後に「ご高説」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「ご高説」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- ご卓見
- ご卓説
- 先見の明
- ご見識
- ご卓識
- ご洞察
- ご慧眼
- ご高見
- ご識見
などがあります。
「ご高説」の例文としては、次のようなものがあげられます。
◆例文
- 近々ぜひ、先生のご高説を承りたいと存じております。
- ご高説を拝聴したいのですが、何とぞお時間を頂戴できないでしょうか。
- 彼は、ご高説を拝聴したい、といって私の所に訪れて来たのだが、実際には自分の方ばかりがさんざんしゃべって、帰って行ったよ。
「ご高説」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ご高説」の意味と正しい使い方、そして類語と例文を詳しくご紹介しました。
ビジネスの場で使う機会がある表現方法ですが、あえて「ご高説」と表現するよりは、わかりやすく「ご意見をおうかがいしたいのですが」や「ご意向をお聞かせ願えないでしょうか」と伝える方が誤解がないと思いますよ。
使う場面と使う相手をしっかりと見極めないと皮肉に聞こえてしまう場合があるので注意しましょう!