「ご来臨(ごらいりん)」という言葉を見聞きしたことはあるけど一体、どういう意味があるのだろうか…。
「ご臨席」などの似たような言葉も多々聞くことがありますが、同じような意味合いのある表現方法なのかも気になりますよね。
そんな本日は「ご来臨」の意味や読み方、そして使い方や類語、例文について詳しくご紹介したいと思います。
「ご来臨」の読み方と意味は?
まず最初に「ご来臨」の読み方と意味について見ていきましょう。
「ご来臨」と書いて【ごらいりん】と読みます。
「ご来臨」という語は、「来臨」を丁寧にした表現です。
「来臨」の「来」という漢字は、元来は象形文字で、「麦が実った形」を示しているといわれています。
古代中国の「周」という国で、農業を初めて行う際に、天から授かった作物が麦だったという言い伝えから、「めでたい作物」との意味が生まれました。
このことから、「来」は天から「来た」「くる」という意味に転じたとされます。
また「臨」という字はもともとは「上から下を見下ろす」、「高い崖から下を見る」といった意味合いを示します。
転じて、「上位の立場の者がある場所へ行く」という意味でも使われます。
このように「来臨」は、ある人が「来る」ことを敬って丁寧に表現した言葉です。
「ご来臨」は、より他人を敬う程度を強めており、お客など大切な人物がある場所へ来ることを、非常に丁寧に述べる語句だといえます。
本来は、立場や地位が上の人が、招きに応じて会合などに出席する場合に用いる表現ですが、現在のビジネスシーンや結婚式といった儀礼などの場面では、広く一般の人に対しても、「お客様」として敬う対象であるとの考え方から、使用されることの多い言葉となっています。
また、来訪した人々に対してだけでなく、これから招待したい人について、会合などへの参加を丁重に要請、招請するときにも用いられます。
ビジネス上であれば、会社の創立記念式典、新店舗の披露会、上棟式、表彰式、新製品発表会など、また一般的な場面では大規模な結婚式などで、「ご来臨くださいまして感謝申し上げます」、「ご来臨賜りますようお願いします」といった形で使用される例が多いといえます。
逆に小規模な会合や、ビジネスライクな打ち合わせの会議などでは、使用はやや大仰になりすぎるため、適切ではないといえるでしょう。
「ご来臨」の正しい使い方は?
次に「ご来臨」の正しい使い方について見ていきましょう。
いわゆる「人が来訪する」あるいは「会に加わる」という意味の言葉には、非常にさまざまな種類があります。
そして、尊敬の程度や、場面に応じた使い方もそれぞれに異なるため、選択にあたっては悩ましい日本語表現の一つだといえます。
一部を例示するだけでも「参加」、「参列」、「出席」、「臨席」、「臨場」、「列席」、「出場」などがあります。
ただ、「ご来臨」は、こうした類語の中でも、かなり敬語の度合いが高い言い方であることは間違いありません。
このため反対に、身近な、くだけた人間関係での表現や、自分について述べる際にはまず使わないと言ってよいでしょう。
「ご来臨」は主には、公式な会合や儀式、比較的大きな式典などの際に、お客など立場が上の人に対して敬って使用します。
そして一般には、そうした場面でのあいさつや案内状、招待状といった書面の上で用いることが多い言い方です。
さらにこの言葉は、記念の会合、おめでたい式典など「祝賀」のシーンの中で、「来てもらうことが誉れである」といった意味合いで使うことが通例であり、葬儀など弔事の会席については使用しないことには注意が必要です。
葬儀などの場合は「ご列席」や「ご参列」といった語句が適切です。
「ご来臨」の類語と例文を教えて?
最後に「ご来臨」の類語と例文について見ていきましょう。
「ご来臨」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- ご光来(こうらい)
- ご来駕(らいが)
- ご枉駕(おうが)
- ご来車(らいしゃ)
- ご尊来
いずれも他人が来ることを敬って言う表現ですが、かなりかしこまった文語的な言い方で、一般的には目にすることは少ないと言えるでしょう。
「ご来臨」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- なにとぞ、ご来臨の栄を賜りますよう切にお願い申し上げます。
- 遠路を甚だ恐縮ではございますが、ぜひご来臨賜りますよう、ご案内申し上げます。
- 本日は、皆様ご多忙のみぎり、ご来臨くださいまして誠にありがとうございます。
- このたびはご来臨の栄に浴し、大変光栄に存じます。
「ご来臨」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
言い換える場合は是非、参考にしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご来臨」の意味や読み方、そして使い方、類語、例文について詳しくご紹介しました。
「臨席」や「列席」、「参列」などとごっちゃになってしまう人もいるので、この機会に正しい意味と使い方、そして使い分け方を覚えておくと良いでしょう。