日々の生活の中で「ご寛容(かんよう)」という言葉を見聞きしますでしょうか?
「ご寛容いただきますよう」や「ご寛容な対応」という言葉を使っている人を見かけますがいったいどのような意味合いがありどんな場面で使う表現方法なのでしょうか。
本日は「ご寛容(かんよう)」の意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説していきます。
「ご寛容(かんよう)」の意味は?
まず最初に「ご寛容(かんよう)」の意味について見ていきましょう。
「ご寛容」という言葉は、「寛容」という名詞に、漢語の敬語表現をつくる接頭語「ご」を付した形です。
通常は「ご寛容な」といったように、形容動詞的に使用されます。
「ご寛容」の「寛」という漢字は、会意文字であり、また形声文字です。
「寛」という字は元来「寬」の略字であり、これはうかんむり「宀」と「莧(萈)」という字から構成されています。
うかんむりは「屋根・家屋」の形であり、「家」を示します。
「莧(萈)」は「角と目とを強調した山羊」の形を表すとされます。
このことから、「寛」はもともとは、「小屋の中でゆったりとしている山羊の様子」を表すといわれ、そこから、「ひろい」といった意味に転じたようです。
また「容」という字は、形声文字です。やはりうかんむり「宀」と「谷」から成り立っています。
前述のようにうかんむりは「家屋」を表し、「谷」は「左右にせまる山と口の形」を示しています。
「口」は人のことですので、これはいわゆる「山の谷間」のことを指す字です。
ただ「容」の場合、「口」を器官の「くち」に通じるとみなし、口や家のように多くのものを「入れる」を意味する字となったようです。
ここから「容」は「受け入れる」、「ゆるす」、「ゆとりがある」といったさまを意味するようになりました。
このように「寛容」は、「心が広くて、よく人の言動を受け入れること」、「他の罪や欠点などをきびしく責めないこと」、「他人を心広く受け入れること」を意味します。
「寛容の精神をもって当たる」、「寛容な態度をとる」といった用例があります。
「ご寛容」はこれを丁寧に言い表した言葉ですので、相手に対し、非難することなく言動をあたたかく受容する、あるいはそうしてもらうことを、丁寧に求める言い方だといえるでしょう。
「ご寛容(かんよう)」の使い方は?
次に「ご寛容(かんよう)」の正しい使い方を見ていきましょう。
このように、「ご寛容」は、相手に対し、あることの結果について厳しく咎め立てしないで欲しい時、あるいは許して認めてもらいたいときに、相手を敬って要請する言葉です。
あるいは、自分についても、相手の行動について問題視せず、容認することをへりくだって伝える際に使う場合もあります。
この「寛容」と似ている言葉として「寛大」というものがあります。
この2つの違いにはどういう点があるのでしょうか。
「寛容」は、その漢字の成り立ちからも、「心が広くて、人の言動を受けいれる」ことや、「他人の過失や欠点などを厳しく責めない」といった意味合いを示します。
ビジネスシーンなどでは、主として文書上で、取引先などに対して、納期のわずかな遅延、小さな会合の延期といった、さほど「深刻」、「重大」ではない不都合について、丁寧におわびし、許しを得る際に用いられることが多いと言えるでしょう。
一方「寛大」とは、人の性質について「度量が大きく、思いやりがある」さまを示します。
「むやみに人を責めない」その人柄を賞賛するような際に使われるといえます。
「なにとぞご寛大な処置をお願いいたします」などという用例です。
この言葉も、ビジネスシーンではやはり相手に丁寧に容認を求めるという意味では、同じような使い方をするといえます。
このため、逆に相手に大変な損害や不快感を与えるような重大なミスなどの場合は、「寛容」も「寛大」もあまり使用は適切とはいえません。
そうした場合は誠心誠意、おわびするとともに、損害回復や原因究明、再発防止などに努めることを丁重に説明するのがマナーです。
「ご寛容(かんよう)」の類語と例文は?
最後に「ご寛容(かんよう)」の類語と例文をご紹介します。
「ご寛容」の類語には、「寛大」のほかには次のようなものがあります。
◆類語
- 鷹揚
- 大らか
- 雅量
- ご共感
- ご理解
- ご了解
- ご容認
- ご容赦
- ご隠忍
- ご慈悲
などがありますね。
「ご寛容」のビジネスなどでの例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- このたびのご寛容、心より感謝いたします。
- ご寛容くださると、誠に幸いに存じます。
- 至らぬ点につきましては、なにとぞご寛容のほどお願い申し上げます。
「ご寛容」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ご寛容」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しくご紹介しました。
主にビジネスシーンなどで使う機会が多い言葉なので、意味と使い方はしっかり頭に入れておきましょう。
類語や例文を交えて覚えておくといいかもしれませんね。