日々の生活の中で「申し伝えます」という言葉を使ったり、聞いたりしますでしょうか。
ビジネスシーンなどで目上の人や上司に使う機会が多そうな表現方法だと思いますが、正しい使い方を理解していますか。
そんな本日は「申し伝えます」の詳しい意味と正しい使い方、そして社内でメールや電話で使う場合の注意点について詳しく解説していきます。
「申し伝えます」の意味と使い方は?
まず最初に「申し伝えます」の意味と使い方について見ていきましょう。
「申し伝えます」は、「申す」と「伝える」という二つの動詞を複合した形の丁寧な表現です。
「申す」の「申」という漢字は、「日」と長い棒からなる字です。
「日」は本来は「臼」のような形を示すもので、象形文字としては人が両手を合わせた状態を表したとされます。
このため「申」は、元来は何か長い棒を両手で伸ばすさまを示す漢字でした。
恐らくこうした動作のイメージから、「申す」は丁寧な仕草、態度で述べるニュアンスを持つようになったとみられます。
また「伝える」の「伝」という字は略字体で、本来は「傳」と書きます。
にんべんは人のことで、この字の形を表します。
「専」は音を示しますが、意味としては「書き付け」、今で言うメモのことですね。
すなわち「傳」は、書き付けを持って使いに走る人、つまり飛脚を表したとされます。
また一説には、はた織りに使う重りのことで、丸くて転がりやすいため、転じて「次々と伝えていくこと」を表したともいわれます。
こうしたことから、「申し伝える」は「自分が聞いた内容を、別の人に取り次ぎ、知らせる」という意味の、けんそんの表現だといえます。
つまり「申し伝えます」は、「言う」「話す」を、目上の人や顧客などに対する自分の行動として使う際に、代わりに述べる言い方です。
そこには、相手を持ち上げ、へりくだる気持ちや、あらたまった感情が込められています。
なお「申し伝える」には、古語では「(物語、伝承などを)語り継いで申す」という意味もあったようですが、現代では前記のような伝達のけんそん表現としての用法が一般的です。
社内で「申し伝えます」をメールや電話で使う場合の注意点は?
次に社内で「申し伝えます」という表現方法をメールや電話で使う場合の注意点について見ていきましょう。
「申し伝えます」をビジネスシーンの社内外へのメールや電話で使う場合には、基本的に、「申す」という言葉が謙譲の表現だという点に注意する必要があります。
自分がへりくだって、けんそんして使う言い方であり、「尊敬の表現」ではありません。
このため、「今何と申されましたか?」、「○○様に、申し伝えていただけますか?」と尋ねるような用法は、謙譲語と尊敬語を混同した形となり、間違いに当たります。
日本語の敬語の正しい使い方、使い分けは非常に難しいものですが、「申す」を冠した語句は「申し上げる」、「申し訳ない」などビジネスでは登場頻度が高いものですので、「原則としてけんそんの表現である」という点は押さえておくほうが無難でしょう。
なお「原則として」と付言したのは、「申す」を冠する言葉の中には、例えば「申し合わせ」、「申し分」、「申し込み」など、今ではけんそんの意味合いがなくなってしまっている語句もあるためです。
「お伝えします」との違いと使い分け方は?
最後に「申し伝えます」と「お伝えします」の違いと使い分け方について説明します。
「申し伝えます」と似た言葉に、「お伝えします」があります。
どちらも「他の人に知らせる」という丁寧な言い方ですが、「申し伝えます」は前述のように謙譲の表現ですので、「お伝えします」より、へりくだった言い方だといえます。
頼まれた相手に対する敬服の念も込められています。
「お伝えします」にもけんそんの意味合いは含みますが、あくまで伝える相手が目上というだけで、伝言を頼まれた先に対する敬いの気持ちはさほど感じられません。
このため社外の人、顧客、取引先などに対しては「申し伝えます」の使用が好ましいといえます。
社内の事務的な連絡であれば「お伝えします」、あるいは目下の者、部下への取り次ぎを頼まれた場合には「伝えておきます」や「伝えます」でも問題ありません。
最後に「申し伝えます」の例文を挙げておきます。
◆例文
- 社長はあいにく不在ですので、私が確かに申し伝えておきます。
- うけたまわりました。担当の者に申し伝えます。
「申し伝えます」の例文をご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「申し伝えます」の詳しい意味と正しい使い方、そして社内でメールや電話で使う場合の注意点について詳しくご紹介しました。
「お伝えします」との違いや使い分け方も覚えておくとより一層、理解が深まると思いますし、場面によって使い分けることが出来るのでとても便利だと思います。
ビジネスシーンで使う場合は是非、参考にしてみてください。