みなさんは普段、「不調法(ぶちょうほう)」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「不調法なもので」や「不調法者」という表現で見聞きしている人の方が多いのかなと思いますね。
そんな本日は「不調法(ぶちょうほう)」の意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説していきます。
「不調法(ぶちょうほう)」の意味は?
まず最初に「不調法」の意味について見ていきましょう。
「不調法」という言葉は「ぶちょうほう」と読みます。
「無調法」と漢字表記する場合もあります。
「不調法」は、「調法」という名詞を否定する接頭語「不」を頭に冠した形です。
「不必要」などと同じく、「調法ではない」という意味を示す表現です。
「調法」とは、「便利で役に立つこと」や「便利なものとして常に使うこと、また、そのさま」を表す言葉です。
このほか、古くは「ちょうぼう」とも発音したようですが、「ととのえること」や「準備すること」、また特に「食事のしたくをすること」といった意味合いもあります。
「便利だ」という意味では「重宝」という言葉と似ています。
一説には、本来は「重宝」と書くべきところを、「ちょうほう」と同じ読みであることから、混同されて「調法」と表記されるようになったとの見方もあります。
古い文献には「調法のよい人」や「肴を調法する」といった言い方が見られるそうです。
「不調法」は、「調法」のこの二番目の意味合いに基づく言い方だと考えられます。
すなわち「心配りが行き届かない」や、「慣れないために、ものごとの扱いが下手なこと」を意味する言葉です。
また「あやまち」、「失敗」そのものを示したり、特殊や用法では「酒やたばこをたしなまない」、あるいは「遊びや道楽などをしない、遊興や芸事などが上手ではない」という言い方でも使われます。
例えば「どうも私は、この分野は不調法でして」といった使い方です。
「不調法」の正しい使い方は?
次に「不調法」の正しい使い方について見ていきましょう。
「不調法」はこのように、やや古めかしい、文章語的な響きがある言葉だといえます。
一般的には、友人同士など気の置けない会話などではなく、かしこまった席やビジネスシーンなどの公の場面で、相手からの誘いや勧めを遠慮したり、断ったりする際に、へりくだって述べる言い方だといえます。
あるいは、相手へのもてなしや宴会、儀式の仕切り役などを務めた際に、自分の差配や手際について、けんそんして表現する際の言葉でもあります。
日本語の敬語表現ではしばしば見られる言い方の一つですが、相手との関係を重んじ、誘いや勧めを「嫌だ」、「都合が悪い」などと直接的に断るのは相手を傷つけ、失礼な行為であると考え、やんわりと婉曲的に意思を示す場合の表現であるといえます。
本当の理由は「もともと嫌いだから」、「やりたくないから」といったものであっても、「あいにく不調法ですのでご遠慮申し上げます」などと、遠回しに断る言い方です。
あるいは、あいさつやスピーチ、芸事などを披露する際に、「自分は下手なので、見せるのは恥ずかしいのだが」、「口べたなので恐縮ですが」、「慣れていないのでうまくいかないと思いますが」と、けんそんした形で申し開きする表現でもあります。
「不調法」の類語と例文を教えて?
最後に「不調法」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「不調法」の類語には次のようなものがあります。
「気配りが足りない、不得手だ」という趣旨では、、
- 不行き届き
- 無用心
- 過怠
- 軽はずみ
- 不用意
- 不始末
- 不心得
- 下手
- 迂闊
- 不手際
などがあります。
また「失礼な態度」や「道徳・規律に反する」といった意味合いでは、、
- 失敬
- 不行儀
- 不作法
- 非礼
- 不躾
- 非行
- 不行状
- 不行跡
などとなります。
「不調法」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- せっかくのお誘いですが、私、茶道のことはまったく不調法ですので、残念ですがご遠慮申し上げます。
- まったくの不調法者でして、恐縮の限りです。
- 口不調法なもので、お恥ずかしい姿をお見せしすみません。
- このたびは不調法をしでかしてしまい、申し訳ありませんでした。
- 何か、当方で不調法がございましたでしょうか。
「不調法」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
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まとめ
いかがでしたか?
「不調法」の意味と正しい使い方、そして類語と例文を詳しくご紹介しました。
おさらいをするとある物事に対して不慣れであることや、ものごとの扱いが苦手、下手なありさまを表現する言葉ということでした。
意味と使い方をしっかりと覚えて相手に誤解のないように伝えたいですね。