普段、生活をしている中で「不躾(ぶしつけ)なお願い」という言葉を見聞きしたりしますか?
「不躾」という言葉をあまり理解せずに使っている人も中にはいるんじゃないかと思います。
日常生活の中やビジネスシーンでも「不躾」という言葉をよく使っている人を見かけたりしますがどのような意味合いがあるのでしょうか。
そんな本日は「不躾なお願い」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説していきます。
「不躾なお願い」の意味とは?
まず、最初に「不躾なお願い」の意味について見ていきましょう。
「不躾なお願い」という文は、「不躾な」という形容詞が「お願い」を修飾している形の語句です。
「不躾」は「ぶしつけ」と読みます。
「躾(しつけ)」を接頭語「不」で否定していますので、「しつけがなっていない」といった意味合いになります。
そもそも「しつけ」とは、「礼儀や作法が身につくように、他の人を仕込んだり、教育すること」を指します。
この「しつけ」は、「仕付ける」という動詞から由来していると考えられます。
これは、元来は裁縫関係の用語で「縫い目や折り目をきちんと整えるために、仮止めとしてざっと荒く縫っておく」という意味があります。
また「田畑に作物を植え付ける」といった使い方もあるようです。
今でも和裁、洋裁などの際には「仕付け縫い」とか「仕付け糸」という言葉を耳にすることがありますね。
「しつけ」はまた、仏教用語と関連するという説もあります。
仏教では「習気」(じっけ)といい、「煩悩がなくなっても香りのように残っているもの」、転じて「身についた習慣や習わし」を意味する言葉があります。
こうした「完成させたり、整えるまでの準備」や「身についた習慣」といった意味が、現在の「(主に人について)立派な状態に育てる」という趣旨の「しつけ」になったとみられます。
こうしたことから、「不躾」は「礼儀に外れて遠慮がないこと。無礼なこと」を示します。
このため「不躾なお願い」は「失礼な頼み事」、「無礼な、遠慮のない依頼」といった意味合いとなります。
なお「躾」は「国字」といって、中国にはない、日本語特有の言葉や事柄に当てはめて、漢字に倣って日本で独自につくられた字です。
「身を美しくする」という形も分かりやすいですね。
このつくりの部分を「花」という漢字にして「しつけ」と読ませる字もあります。
いずれも心身を美しく飾るところから発想されたものでしょう。
国字にはほかにも「峠」「畑」などがあります。
「不躾なお願い」の使い方は?
次に「不躾なお願い」の正しい使い方について見ていきましょう。
「不躾なお願い」は、主として、相手に対して何か頼み事をする際に、へりくだって、恐縮するさまを表す言い方の一つだといえます。
ビジネスシーンなどで、一般には自分や自分側の組織について、「厚かましく、ずうずうしく、このようなお願いをして、誠に恐れ多いことです」とけんそんしながら、言い添える言葉です。
このため、実際には決して不作法、非礼ではないとしても、「そもそも、いきなり頼み事や質問をすること自体が失礼に当たる」、あるいは「相手との関係を考えると、内容的に少し踏み込んだり、立ち入った依頼事項である」と判断した場合に、へりくだって「大変不躾なお願いですが~」と、半ば定型的な表現として使用することが多い言葉だといえるでしょう。
もちろん、この言葉を使う際には、本当に相手のひんしゅくを買う、怒りを招くような依頼内容ではないことが前提条件なのは、言うまでもありません。
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「不躾なお願い」の類語と例文を教えて?
最後に「不躾なお願い」の類語と例文を見ていきましょう。
「不躾なお願い」の類語には、次のようなものがあります。
◆類語
- 非礼なお願い(以下、同)
- 無礼な
- 失礼な
- 失敬な
- 不作法な
- 慮外な
- 不謹慎な
- 不敬な
といった表現になりますね。
「不躾なお願い」の例文では、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 不躾なお願いで恐縮ですが、もう少し詳しい資料があれば、併せて頂戴したいのですが。
- 今頃になって、不躾なお願いで誠に申し訳ありませんが、納期を数日繰り延べさせていただけないでしょうか。
「不躾なお願い」の類語と例文をご紹介しました。
参考にして頂けたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「不躾なお願い」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しくご紹介しました。
ビジネスシーンなどでは謙遜しながら相手にお願いをする場合に定型文として付け加える言葉という認識で使うようにしましょう。
あまり親しくない相手や上司にいきなりお願いをするのは厚かましい場合などに「不躾なお願い~」と添えて使ってみると良いですよ!