日々の生活の中で「喚起(かんき)」という言葉をよく聞くと思います。
例えば「注意喚起」や「喚起を促す」という表現方法はよく耳にしますよね。「喚起」だけだとちょっと意味が分かりませんが、「注意喚起」や「喚起を促す」と聞くと少し意味が分かって来ませんか?
そんな本日は「喚起」の意味と正しい使い方、そして類語や例文、言い換え方を詳しくご紹介したいと思います。
「喚起」の意味と使い方は?
まず最初に「喚起」の意味と正しい使い方を見ていきましょう。
「喚起」という言葉は名詞で、「喚起する」と助動詞を下につけて用いることも多い語です。
「喚起」の「喚」という漢字は、会意文字、及び形声文字です。
「口」と「奐」という字から成り立っています。
「口」は人の器官の口であり、「奐」は「産婦のまたに両手をあてた形」を示しているとされます。
恐らく出産の場面を表したものと考えられます。
このことから、「喚」は、「赤ちゃんの出産を遠くの人に知らせる」といった意味合いで「遠くのものを呼ぶ」、「まねく」、「呼び寄せる」を意味する字となったという説があります。
また「起」も会意文字であり、形声文字です。
「走」と「巳」という字から構成されています。
「走」は「走る人の姿」であり、「巳」は「へびの形」、または「胎児の形」だともされます。
ただこの字では「へび」ではなく「ひざまずく」意味を示していると考えられ、「ひざまずいた人がたちあがる」ということから「起」は「おきる」ことを意味したとみられます。
このように「喚起」は「遠くの人に呼びかけて、起こす」ということになり、すなわち「(何もない状態から、あることを)呼び起こすこと」や「無関心な人、無知な人を呼び覚ますこと」、また「注意、自覚、良心などを呼び起こすこと」を意味する言葉だといえます。
ただ単に遠くの人を呼ぶ、という行為を示すというより、人の精神活動について、何かを働きかけ、気づきを促す、といったニュアンスがある表現だといえるでしょう。
「喚起」の類語と例文は?
次に「喚起」の類語と例文をご紹介します。
類語
「喚起」の類語には次のようなものがあります。
- 促す
- 掻き立てる
- 奮い起こす
- 引き起こす
- 呼び覚ます
- 周知
- 鼓舞
- 挑発
- 鼓吹
- 扇動
例文
「喚起」の例文としては次のようなものが挙げられます。
- 事故が起きないよう注意喚起する。
- 政治理念の実現には、もっと世論を喚起しなくてならない。
- この古い写真を見るたびに望郷の念が喚起される。
- 現代の都市社会では、一つの雑音あるいは騒音が聴覚を喚起する心像は、非常に多義的なものである。
「喚起」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
「喚起」の言い換え方を教えて?
最後に「喚起」の言い換え方を見ていきましょう。
「喚起」は前述のように、あることを積極的に呼びかけることで、人の精神面の「発見」や「認知」を促すことを示す表現です。
これは事故やミス防止のために、初歩的な注意を求める場合から、ものごとについて深く内省し、潜在している真理や事象を思い起こさせる、といった行為まで、幅広く使われます。
そうした精神的な「気づき」を促す表現である「喚起」を言い換える際は、単純なものごとの認知か、深い精神活動の呼び起こしなのかによって、言葉を分けるのが適切でしょう。
単に注意や用心を求める場合には「促す」、「指摘する」などとなります。
一方、広く精神的な自覚や良心に訴える場合は、「かき立てる」や「奮い立てる」、「呼び覚ます」、あるいは「煽動」、「挑発」、「鼓舞」、「鼓吹」などが挙げられます。
この場合、「煽動」や「挑発」は「気持ちをあおり、行動をそそのかす」、「刺激して、行動するようしむける、欲望をかきたてる」といったニュアンスが強まります。
「鼓舞」や「鼓吹」は、「鼓 (つづみ)を打って、舞い、笛を吹く」といった様子から、「大いに励まし気持ちを奮いたたせること」や「元気づけ励ます」という意味になります。
「鼓吹」には「意見や思想を広めて、賛同を集めようとする」という意味合いもあります。
これらの個々の言葉の含意を正しく認識しながら、それぞれの場面に応じて言い換え方を使い分けることが大切だといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「喚起」の意味と正しい使い方、そして類語や例文・言い換え方を詳しくご紹介しました。
おさらいをすると注意を促したり、相手のミス防止の為に呼びかけたりする表現方法と覚えておきましょう。
ですので「注意喚起」や「喚起を促す」などと使う場合が多いです。
意味と使い方をしっかり覚えて相手に誤解のないように使うように心がけましょうね。