日々の生活の中で「勤しむ(いそしむ)」という言葉を見聞きしますか?
よく”業務に勤しむ”などこのような使い方をしているのを見聞きしたりしますがどのような意味合いがある言葉なのでしょうか。
そんな本日は「勤しむ(いそしむ)」の意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説したいと思います。
「勤しむ(いそしむ)」の意味は?
まず最初に「勤しむ(いそしむ)」の意味について見ていきましょう。
「勤しむ」という動詞は、「いそしむ」と読みます。
「勤」という漢字は形声文字で、「力」というつくりが形を、右側のへんの部分が音を表します。
もともとこの字は「粘土に手を加えて、力を使うこと」を意味したようです。
また「キン」という音が筋肉にも通じることから、「筋肉を用いること」を意味したとの説もあります。
これらのことから「はたらく」や、「はげむこと」を示すようになりました。
一方「いそしむ」は元来は和語です。
古語に「いそし」という言葉があり、ここから派生したのが「いそしむ」だと思われます。
古語の「いそし」は「勤勉である」や「よく勤める」という意味を示しました。
古くは万葉集にも、「いそしき奴と褒めむともあらず」(勤勉な若者だとほめてくれるとも思えない)という一文で使用例がみえます。
これが江戸時代に入り、「勤しみて(いそしみて)」という表現で使われ、これが現代の「勤しむ」に至ったと考えられます。
このようにもともとは和語ですので、漢字で意味合いが似ている「勤」という字を当てたとみられます。
これらの経緯から、「勤しむ」は「ひとつのことをせっせとまじめにやる」や「一生懸命に励む」、あるいは「精を出す」といった意味を示す言葉だといえます。
「勤しむ」の正しい使い方は?
次に「勤しむ」の正しい使い方について見ていきましょう。
このように「勤しむ」は、本来は「あるものごとに一生懸命励む」ことを表しますが、最近は単に「コツコツと何かを作業している」ことを示す用例も増えている印象があります。
例えば「趣味に勤しむ」や、「最近は、もっぱら陶芸に勤しんでいますよ」といった使い方です。
「勤しむ」自体は古語から由来する古めかしい言い方であり、元来の意味合いは「励む」と近いといえますが、語感が比較的柔らかいため、こうした使われ方がされやすいのかもしれません。
しかし正しくは、少し控えめな印象ながらも、懸命に励んでいることを示す言い方です。
すなわち「自分から努力して務めている」というニュアンスを持ちます。
語感的にもソフトなので、文面や口頭で丁寧に近況を述べる際に使い安い言葉だといえます。
「勤しむ」を使用する際のポイントは、単に何かを「こなす」、「やる」、「取り組む」という趣旨だけでなく、「誠心誠意、張り切ってがんばっている」さまが込められている点です。
例えば「おかげさまで貧乏暇なしで、日々仕事に勤しんでおります」と述べれば、懸命に励んでいる様子を伝えることができます。
反対に、「最近は、猫の手も借りたいほど激務に追われています」や「大会に向け、練習をせっせとこなしています」といった表現では、多忙な仕事や厳しい練習を、やらされて嫌々こなしている、といった受け取られ方にもなりかねません。
相手に自分の近況や状態を正しく、丁寧に伝えたい場合には、「勤しむ」や「励む」を使うのが適切といえるでしょう。
「勤しむ」の類語と例文が気になる!
最後に「勤しむ」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「勤しむ」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 頑張る
- 精を出す
- 奮励する
- 奮闘する
- 汗を流す
- 精力的に働く
- 努力する
- 研鑽する
- 力を注ぐ
- 奔走する
- 刻苦する
- 精励する
- 粉骨砕身する
などがあります。
「勤しむ」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 鋭意、執筆や講演活動などに勤しんでおります。
- 最近彼は随分熱心に情報収集に勤しんでいるようだね。
- 次回はきっと勝てるように、激しいトレーニングに勤しんでいます。
「勤しむ」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「勤しむ」の意味と正しい使い方、そして類語と例文を詳しくご紹介しました。
意味をおさらいしますと”物事に対して一生懸命に励む”や”あることに対してコツコツと努力をする”などの意味合いがあります。
一生懸命に物事に取り組む様を表現する言葉なので是非、活用してみてくださいね。