「示唆」という言葉を普段使ったり、見聞きしたりしますか?
「示唆する」や「示唆に富む」、「示唆を得る」などいろいろな使い方をする言葉ですが、どんな場面で使うのが正しいのか、そしてどんな意味合いがある言葉なのか気になると思います。
そんな本日は「示唆する」の意味と正しい使い方、そして類語や言い換え方、例文について詳しく解説したいと思います。
「示唆する」の意味と使い方は?
まず最初に「示唆する」の意味と使い方について見ていきましょう。
「示唆する」という言葉は、「示唆」という名詞に補助動詞「する」がついた動詞です。
「示唆する」の「示」という字は会意文字で、「二」と「川」から成り立っています。
「二」は上のことで、天を示すとされます。
「川」は三本の縦棒のことであり、すなわち「日」、「月」、「星」を示すといわれます。
つまり「示」とは、元来は「天が天文によって吉凶を表す」といった意味とされます。
「示」が神に関する字に多く用いられるのは、こうした原意があるからだとみられます。
また「足つきの祭壇の象形」を表しているという説もあります。
神を祀るときに、机に肉を載せて血がしたたっている様子を示す、ともされます。
こうした由来から「示」は「人に見せる」、「告げる」、「教える」といった意味を示す字となりました。
次に「唆」は形声文字で、「口」は字の形を表し「夋」が音を表します。
「夋」は「使」という字にも通じるとされます。
つまり「口で誘って、ものごとを進めさせる」、転じて「けしかける」といった意味を示す字です。
元来は「しゅん」という読みでしたが、次第に「さ」に変化したようです。現在では「そそのかす」という意味合いで使われます。
こうしたことから「示唆する」は「ものごとをほのめかす」といった意味の言葉だといえます。
つまりは「ものごとをはっきり示さずに、それとなく相手に教える」、あるいは「婉曲的に伝える」という意味を表します。
また「相手に断片的に分かるように、ヒントを出す」といった行為を示す場合もあります。
いずれの用法でも、断定的に明確にものごとを明示するのではなく、「正しく伝えたい意思はあるものの、ものごとの一部や輪郭だけをぼんやり示す」というニュアンスです。
相手にヒントだけを教え「全体像を推察し、自力で真相に到達してほしい」という思惑がこもった表現だといえるでしょう。
なお「示唆」は一般的な読みは「しさ」ですが、濁って「じさ」と読む場合もあるようです。
「示唆する」の類語と例文を教えて?
次に「示唆する」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「示唆する」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 暗示する
- ヒントを与える
- にじませる
- 匂わす
- ほのめかす
- 手掛かりを残す
- 端緒を与える
- 足がかりを示す
- 糸口を与える
- 比喩する
- 黙示する
- 暗喩する
- サジェストする
- サジェスチョンを与える
などがあります。
「示唆する」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- きょうの先生の講演は、うちの会社にとって示唆する点がとても多かった。
- ランドセルの売り上げが頭打ちになっているということは、とりもなおさず少子化の影響を示唆するものだ。
- 都市部での空き巣被害の増加は、仕事を持つ女性が増えたライフスタイルの変化を示唆する現象ともいえる。
「示唆する」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
「示唆する」の言い換え方は?
最後に「示唆する」の言い換え方について見ていきましょう。
「示唆する」は前述のように、「はっきりではなく、あいまいに指し示すこと」という意味の用語です。
言い換える表現としては、類語でご紹介した「暗示する」や「にじませる」、「匂わす」などとなります。
ただし「示唆する」は示される内容が比較的判別しやすく、具体的な言い方だといえます。
また例文でお示ししたように、客観的に実体へ導く論理性も感じられます。
一方「暗示する」は、主観的要素が多いニュアンスを受けます。
「空の色が不吉な未来を暗示する」のように、無意識のうちに特定の観念を起こさせるといった表現です。
このためビジネスシーンや会議などで、データを基に結論を予想するような場面では「~と考えられる」、「~と推測できる」といった言い換えが適切でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「示唆する」の意味と正しい使い方、そして類語と例文、言い換え方について詳しくご紹介しました。
言葉の意味をおさらいすると相手に物事をはっきり伝えるのではなく、ほのめかした言い方、それとなく相手に伝えたい場合に使う言葉だということが分かりました。
類語や例文、言い換え方などを参考にして是非、活用してみてくださいね。