「さぞかし(嘸かし)」という言葉を普段、見聞きしたり、使ったりしますか?
普段、何気なく使っている人も割りと多いと思いますが、「さぞかし(嘸かし)」という言葉にはどんな意味合いがあるのでしょうか。
そして、正しい使い方が出来ているのかも気になるところです。
そんな本日は「さぞかし(嘸かし)」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しく解説したいと思います。
「さぞかし(嘸かし)」の意味は?
まず最初に「さぞかし(嘸かし)」の意味について見ていきましょう。
「さぞかし」という言葉は、「さぞ」という副詞に「かし」という強調の終助詞が付いた形の語です。
いずれも古語的な、昔の時代の表現をそのまま現代に援用しているものだといえます。
古語の「さぞ」は、副詞の「さ」と係助詞「ぞ」が組み合わさった副詞で、あとに推量の言葉を伴って、未知の経験を本当のことのように想像したり、他人の経験に共感したりする様子を示しました。
「きっと」、「さだめし」と似たような言い方です。
古典の事例を挙げれば、平家物語に「沖はさぞ吹いて候ふらん」(沖合はきっと風が吹いているでしょう)のように使われています。
あるいはまた「さ」と「ぞ」の元来の意味のとおり、「そのようだ」、「そうである」と、見知った事実を強調する表現としても用いられました。
また「かし」は、文の言い切りの形に付き、「~ですね」と強く念を押したり、自分に強く言い聞かせる表現として使用されました。
例えば、枕草子の「これは知りたることぞかし」(これは覚えているはずのことなのだ)といった用例です。
「さぞかし」はこのように、全体として古語表現そのものから成り立っているわけですが、意味合いとしては現代でも同じ用いられ方になっています。
すなわち、相手の何らかの経験や状況について、その気持ちに寄り添って心中を推し量り、「きっと~だったに違いない」と同情や共感を表す言い方です。
「さぞ」や「さぞや」とほぼ同じ意味の言葉だといえます。
そして漢字には「はっきりしないさま」を表す字である「嘸」を当て、「嘸かし」と書くのが一般的です。
「さぞかし(嘸かし)」の使い方は?
次は「さぞかし(嘸かし)」の正しい使い方について見ていきましょう。
「さぞかし」は、相手の体験について気持ちを推し量る表現ですが、「推量」を示す副詞として似ている「恐らく」とは使い方に違いがあるのでしょうか。
「さぞかし」は主として、時間的に相手が経験した過去の出来事に対して用いるのが特徴です。
一方で「恐らく」は、一般的には今後起きうることや、未来の事柄について想定する言い方だといえます。
さらに「さぞかし」は、「何があったのかよく分からないので、漠然と相手の気持ちを思う」というニュアンスというよりも、むしろ「何らかの根拠に基づいて、具体的にリアルに共感する」というイメージが強い言葉といえるでしょう。
相手の体験談、書いた文章、写真や映像などをもとに、自分としては実体験はないものの、「きっと、こういう気持ちだったであろう」と頭の中で追体験する、という用法です。
このように「さぞかし」は、相手に対して同情を示し、真摯に痛切にその気持ちを推し量るといった、親身な印象を与える表現だといえます。
ビジネスシーンなどでも、多くのハードルを乗り越えて計画や事業が完成にこぎ着けられたような際に、「さぞかしご苦労が多かったでしょう」とねぎらう言葉として用いることができます。
ただし、場合によっては嫌みや皮肉を示す言い方にもなります。
社員総出でトラブル解決に忙殺された後、知らずに一人だけのんびり休暇から戻ってきた社員に対し「今頃ご出社かい。さぞかし満喫できたろうね」と皮肉るような事例です。
「さぞかし(嘸かし)」の類語と例文を教えて?
最後に「さぞかし(嘸かし)」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「さぞかし」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 実に実に
- それはそれは
- 本当に
- いかにも
- まことに
- まったく
- いかにも
- きっと
- さだめし
などがありますね。
「さぞかし」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- あんなひどい目に遭うとは、さぞかしつらかったでしょうね
- 何年も練習を積んできたのだから、さぞかし上達しただろう
- あの方は生き生きしてとても八十歳には見えない。若い頃はさぞかし男前だったんだろうね
- 空気がとても澄んでいるね。夜はさぞかし星がきれいだろう
「さぞかし(嘸かし)」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
類語と例文を知ることでその言葉の意味や使い方がより一層、理解できると思いますよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「さぞかし(嘸かし)」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しくご紹介しました。
ビジネスシーンなどで使う場合は少し皮肉めいた言葉にも感じてしまうので使う相手や場面に注意が必要となります。
言葉ひとつで相手に与える印象もだいぶ変わりますので、意味や使い方などしっかりと頭に入れておきましょう!