「専ら(もっぱら)」という表現方法を聞いたことがありますか?
よく使う場面があるという方も意外と多いと思いますが、どんな意味合いがあり、果たしてその使い方は合っているのでしょうか。
間違った認識で使っていると相手に正しく伝わらないので、この機会に一緒に勉強してみましょう!
そんな本日は「専ら(もっぱら)」の意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説していきたいと思います。
「専ら(もっぱら)」の意味は?
まず最初に「専ら(もっぱら)」の意味を見ていきましょう。
「専ら(もっぱら)」という語は、古語の「もはら」という言葉が語源だとみられています。
時代が下るにつれ、発音しやすいように、いわゆる国文法上の「促音添加」が行われ、間に小さい「っ」が挟まったようです。
他の促音添加には、「走りて」が「走って」、「立ちて」が「立って」となるなどの例があります。
古語の「もはら」とは、「ひたすら」、「まったく」、「少しも」、「決して」といった意味を示す副詞でした。
例えば土佐日記には「もはら風止(や)まで」(少しも風はやまない)、古今和歌集には「逢ふことのもはら絶えぬる時にこそ」(会うことがまったくなくなってしまった今こそ)といった用例が見えます。
このように、主としてあとに打ち消しの言葉を伴う、否定の強調の副詞であったものが、次第に「ただ一つ」、「それだけ」と唯一であることを強める表現に変化していったようです。
一方「専」という漢字についてみてみます。
「専」の下の部分「寸」には「決まり」、「法度」といった意味が元来あるとされます。
そもそも「専」は、「長さ二尺六寸」ときめられた書き付けのことを指したといわれます。
これが転じて「独り占めする」、「まじりけがない」、「わがままにする」といった意味合いに広がりました。
熟語の「専門」、「専用」、「専横」などがその用例です。
また一説には、「専」の上の部分は機織りの機械に使う重りのことで、寸は手であり、「重りを手で固定する」ことから、「独り占め」といった意味に転じたとされます。
また「専」は瓦を使った糸巻きのような赤ん坊のおもちゃで、赤ん坊が独占したことからそうした意味になったともいわれます。
こうした「専」の漢字の意味が「もっぱら」と近いため、後世になって「専ら」という字が当てられるようになったとみられます。
このように「専ら」は、「一つのことで占められている」、「他のことに関わらず、そのことだけに集中する」といった意味を示す副詞です。
「専ら(もっぱら)」の使い方は?
次に「専ら(もっぱら)」の正しい使い方について見ていきましょう。
「専ら」は「それだけ」、「ひたすら集中する」といった意味の言葉ですが、似たような用語である「主(おも)に」や「主(しゅ)として」とは使い方にどのような違いがあるのでしょうか。
「主に」と「主として」は同じ意味合いですが、後者の方がやや堅い、かしこまった言い方となります。
いずれも「全体の中で大きな部分を占めるもの」、あるいは「他のものより優先して行うべきもの」を表します。
これに対し「専ら」は、「他のことは差し置いて、目の前のこのことだけにひたすら集中する」といったニュアンスがあります。
つまり、あるものごとをクローズアップさせたり特定する度合いが、他の語句の中でも強いといえます。
仮にパーセンテージで表すなら、「最近は主に外食だね」という表現では「60~70%が外食」といったイメージなのに対し、「専ら外食だよ」と言うと「90%以上が外食」といった印象となります。
「専ら(もっぱら)」の類語と例文を教えて?
最後に「専ら(もっぱら)」の類語と例文をご紹介しますね。
「専ら」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 脇目も振らず
- 一心不乱に
- 粉骨砕身して
- 一意専心に
- ひたすら
- ひとえに
- 集中して
- ほぼ
- 一にも二にも
などがありますね。
「専ら(もっぱら)」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 次期社長は彼だという専らのうわさだ。
- 最近は専ら史跡巡りばかりしてますよ。
- 今日は交渉の初日だし、専ら向こうの言い分を聞いてきた。
「専ら(もっぱら)」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
「専ら(もっぱら)」の類語は言い換える場合に参考にして頂けたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「専ら(もっぱら)」の意味と使い方、そして類語や例文について詳しくご紹介しました。
ニュアンスを感じ取るのはとても難しいことですが、他のことよりも優先する場合に「専ら(もっぱら)」を使う場合が多いということです。
日々の生活の中で「専ら(もっぱら)」を使う場合は是非、参考にしてくださいね。