言葉の勉強

みなさんは普段、「むべなるかな」という言葉を見聞きしたりしますか?

あまり聞き慣れない言葉だし、使う場面もなかなかない表現方法だと思いますが、どんな意味や使い方があるのでしょうか。

そんな本日は「むべなるかな」の詳しい意味と正しい使い方、そして語源や類語、例文について詳しく解説していきます。

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「むべなるかな」の意味と使い方は?

まず最初に「むべなるかな」の意味と使い方について見ていきましょう。

「むべなるかな」は、一見すると、百人一首の和歌のような、かなり古い時代の表現に感じられます。

しかし実は案外、現代でもいろいろな場面で使用されることの多い言葉です。

「むべなるかな」の意味は「なるほど、もっともなことだなあ」、「まさに、その通りだと思う」といったものです。

印象上は文語的なイメージがありますが、通常の手紙、メールなどのやり取りや会話でも使われることがしばしばある、珍しい言葉だといえるかもしれません。

日常のニュースや出来事などで、「なるほど、背景にはこういう理由があったのか」、「こうした原因だからこの結果に至ったのか」といった納得や驚きがあった場合に、「~なのも、むべなるかな、ですね」と表現します。 

もちろん、普通に「それは当然のことですね」、「もっともなことだね」と述べることもできますが、あえて古文調の「むべなるかな」を使うことで、文章の上でアクセントになることから、割と抵抗なく使われやすい古語表現だといえます。

字面に反して、文脈内に挟んでみても、それほど古くささを感じず、いかめしくもなく、違和感を覚えません。

このため、ざっくばらんな文章でも使われやすい言葉だといえるでしょう。

ただ、ビジネスシーンなどの契約書、案内状、報告書といった正式な、格式張った書面では、逆にあまり使われることはないといえます。

「むべなるかな」の語源は?

次に「むべなるかな」の語源について見ていきましょう。

「むべなるかな」は本来は、「うべなり」という言葉の連体形に、感動の助詞「かな」が付いた形の語句です。

見た目通り、もともとは平安時代以前からある古い言葉です。

当時は「うべなり」と表記されていましたが、その後「むべなり」に変化していったと考えられています。

平安時代以降に仮名文字が定着する中で、「う」から「む」という発音に移行したとされています。

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このため「むべなるかな」を「うべなるかな」と記述しても間違いではありません。

「うべなり」は漢字で書くと「宜なり」となります。

「宜」という字は、うかんむりに「夕」と「一」を合わせた成り立ちになっています。

うかんむりは屋根を表し、一は地面のことだと考えられます。

このため古代中国で、神殿の屋根の下の地面の上に、供物をいただいている形を示したとされています。

あるいはまな板の上に乗った、酒のさかなのことを表した字、という説もあるようです。

いずれにしても、これらが転じて「良いところ、あるべきところに落ち着く」といった意味合いを示します。

このことから「宜なり」は「よろしい」、「都合が良い」という意味となります。

あるものごとに関して、納得し感心したり、当然だと肯定したり、満足するさまを表す言葉です。

「むべなり」だけでも「もっともな道理だなあ」と感心する様子を示しますが、さらに感動の助詞「かな」を語尾に付けることによって、より驚きや納得の度合いを強めている表現が「むべなるかな」だといえるでしょう。

「むべなるかな」の類語と例文も教えて?

最後に「むべなるかな」の類語と例文を見ていきましょう。

「むべなるかな」の類語には次のようなものがあります。

 
◆類語

  • もっともなことだ
  • 道理千万だ
  • なるほど、間違いない
  • 確かにそうだ
  • 無理もないことだ
  • 至極まっとうだ
  • 本当にその通りだ

 

「むべなるかな」の例文としては次のようなものが挙げられます。

 
◆例文

  • 彼は学生時代に落語研究会にいたのか。話が面白いのもむべなるかな、だね。
  • いくら健脚自慢でも、これほどの急坂では、簡単に登れないのもむべなるかな、と言うしかない。
  • あの方は双子の弟さんでしたか。それではご本人と間違えたのもむべなるかな、ですな。

 

「むべなるかな」の類語と例文をご紹介しました。

普段、なかなか使う機会も多くはないと思いますが、使う場合は参考にしてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「むべなるかな」詳しい意味と正しい使い方、そして語源、類語、例文について詳しくご紹介しました。

日常会話の中で「むべなるかな」という言葉を使う機会は少ないかもしれませんが、ひとつの知識として覚えておくと便利だと思いますよ。

いざという時の知識の蓄えとして覚えておきましょう!

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