みなさんは普段、「まんじりともせず」という言葉を使ったり聞いたりしたことはありますか?
聞いたことがあるけれど意味が想像できない、実際にどのように使ったらいいのかわからない…。日本語にはそんな言葉が数多く存在します。
今回ご紹介する「まんじりともせず」も、あまり詳しくは知られていない言葉のひとつではないでしょうか。
そんな本日は「まんじりともせず」の言葉の意味と使い方、例文や語源についてご紹介したいと思います。
「まんじりともせず」の意味と使い方は?
それではさっそく、「まんじりともせず」の意味から見ていきましょう。
「まんじり」は少しだけ眠ること、ひと眠りを意味します。
それを打ち消しているので、「まんじりともせず」は一睡もしないという表現になります。
「まんじり」のみで使われるより、「まんじりともせず」と否定の表現で用いられる方が多く見られます。
主に心配事や、あせる気持ちから眠れないことを表し、不安やいらだちを感じて集中できない様子がうかがえます。
「まんじり」は他にも、じっくりまじまじと見つめるという意味を持っています。
そのため「まんじりともせず」が、じっとして動かないことと誤用されてしまうことも多いようです。
平成25年度の『国語に関する世論調査』によると、「まんじりともせず」の意味を「眠らないで」と正しく答えられた人は全体の約30%、「じっと動かないで」と本来とは異なる意味を答えた人が、約半数にのぼったそうです。
まんじりともせずの正しい使い方を知っている人は、年代が上がるにつれて多くなり、若い人では言葉の意味そのものを知らない場合も珍しくないようです。
「まんじりともせず」の例文や類語は?
次に「まんじりともせず」はどのように使われるのか、例文を用いてご紹介したいと思います。
実用的な例文を用いてご紹介するのできっと分かりやすいかと思います。
■例文
- あの問題が気になって、まんじりともせず悩んだ末、ひとつの結論にたどりついた。
- まんじりともせず起きている間、ただ雨の音だけが聞こえていた。
- 可愛がっていた猫たちを譲ったが、元気にしているか心配で、昨日からまんじりともせず考えている。
- 深夜に多くの車が行き交う音が騒々しくて、まんじりともせず朝を迎えた。
ではこの「まんじりともせず」、同じような意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。
類語としてわかりやすいのは、
- 焦る
- いらいらする
- 我慢できない
などが該当しますね。
他にも「気をもむ」「気がはやる 」「 勇み足になる」や、「 居ても立ってもいられない 」「 じっとしていられない」といった表現もあります。
抱えている悩みや心配事が気になって、眠れないほど考えてしまう。
早く行動したいのに気持ちばかりが空回りして、焦って落ち着かない…そんな状況が感じられますね。
「まんじりともせず」の語源も知りたい!
どこか古典的な響きを感じる「まんじりもせず」という言葉ですが、その語源はどこに由来するのでしょうか。
調べてみると、その語源は古く紀元前までさかのぼりました。
「まんじり」は「眥(まなじり)」から来ているとも言われています。
まなじりとは、【目尻】のことですね。
そしてこの「眥」という漢字は、中国の司馬遷「史記」に登場しています。
「史記」では、怒りを持って目を大きく見開き、じっと相手をにらみつける様子や、少しだけ瞳を開いた状態が、眥(まなじり)という言葉を使って描かれているのです。
「まんじり」が現代でも、じっと目を見つめること、相手を見据えることを表現している訳が納得できますね。
今回の「まんじりともせず」の他にも、知っているつもりで違う意味に解釈していた言葉や、語源や類語を知って驚く言葉がたくさんあるのではないでしょうか、日々の会話や仕事の場で、より豊かな表現ができるよう、身近な言葉をあらためて調べてみるのも楽しいかもしれませんね。
まとめ
どうでしたでしょうか?
「まんじりともせず」の意味や使い方、そして例文や類語、語源について詳しくご紹介しました。
若い世代の人たちだと普段、なかなか使う機会も少ない言葉だとは思いますが、意味や使い方を知っているだけで語彙力がある人間と思われるので知っていて損はないですよ。
自分のボキャブラリーのひとつとしてしっかりと頭に入れておきましょう。