普段、会話をしている中で「可もなく不可もなく」という言葉を使うことはありますか?
私自身もそうですが友達とのふとした会話の中で「可もなく不可もなく」という言葉を使っている場合が多々あります。
逆にビジネスシーンでよく使うと言った言葉ではなさそうですね。
そんな本日は「可もなく不可もなく」の詳しい意味、そして類語や例文、言い換え方などについて詳しく解説していきたいと思います。
「可もなく不可もなく」の意味と語源は?
まず最初に「可もなく不可もなく」の意味と語源について見ていきましょう!
「可もなく不可もなく」とは、あるものごとについて評価を下す際に、「可がない」とすると同時に、「不可がない」とも判断するという、この一文でひとまとまりの慣用的な表現です。
終止形では「可もなく不可もなし」ですが、これが若干変化して、後の文に続く形態となっています。
「可」という漢字は、口という字を「気が通じる」を意味する字が取り囲んだ形になっています。
このため本来は、「言葉が口から、曲がりなりにも外側へ出て行く」といった意味を表します。
そこから転じて、「まあまあ、よろしい」、「許すことができる」といった、軽い了承、許可を示す字となりました。
「不可」は漢語表現で、「可」を否定する形となっています。
こうしたことから、「可もなく不可もなく」は、あるものごとに関して「取り立てて良くはないが、かといって悪いというほどでもない」といった意味となります。
「とくに長所も短所も見当たらない」、「まことに凡庸な状態だ」といった状況判断を表します。
あるいは何かの程度や水準について「多くも少なくもなく、過剰でも過少でもなく、中ほどである」といったさまを示す言葉です。
「可もなく不可もなく」は、もともとは漢語、漢文の中に見られる文章でした。
儒学書の「論語」の中にも「無可無不可」といったくだりがあり、これを漢文読みで読み下した言い方が、日本語の「可もなく不可もなく」になったとされます。
論語の中においては、「可もなく不可もなく」は「言行に行き過ぎや不足がなく、適切である。それは中道を行っている」といった、肯定的な意味合いを示しています。
しかしやはり中国の古典である「後漢書」の中に見える同じ文章は、現在の日本語と同じ「毒にも薬にもならない」という意味で使われています。
「可もなく不可もなく」の類語と例文を教えて?
次に「可もなく不可もなく」の類語と例文について見ていきましょう。
「可もなく不可もなく」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- ありふれた
- 何の変哲もない
- ありきたりの
- 月並みな
- 平々凡々な
- それなりの
- 普通な
- そこそこの
- まずまずの
「可もなく不可もなく」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- おかげさまでこの10年ほど、可もなく不可もなく、日々を過ごせております。
- 今回の試験の出来栄えは、まあ可もなく不可もなく、といったところだろうか。
- ただ可もなく不可もなく、旧態依然とした研究を続けているだけでは、目覚ましい成果は挙げられない。
「可もなく不可もなく」の類語と例文をご紹介しました。
もし活用する場合は参考にして頂けたらと思います。
「可もなく不可もなく」の言い換え方は?
最後に「可もなく不可もなく」の言い換え方について見ていきましょう。
「可もなく不可もなく」は、前述のように「良くも悪くもない」という意味合いの言葉ですが、「不可ではない」としていますので、「あまり冴えない出来栄えだが、一応はよしとしよう」といった、ある意味「消極的な肯定、許諾」を示すといえます。
類語の中でもニュアンスとしては「そこそこの」、「月並みな」といった言葉に近いといえます。
このため一般的には、評価を下す相手に対しては、あまりいい印象を与える表現ではありません。
通常は自分の側について、暮らしぶりや仕事の成果などをへりくだって、控えめに示す際に使うことが多いといえるでしょう。
相手の評価に関して述べる際には、「ある程度の完成度に達しています」、「なかなかの出来具合だ」、「悪くはありません」といった、より差し障りのない表現に言い換えることが望ましいといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「可もなく不可もなく」の詳しい意味と類語、そして例文や言い換え方についてご紹介しました。
改めて言葉の意味や使い方を知ることでその言葉の持つ奥深さというのがとても身に染みる思いになります。
それと同時に間違った認識で言葉を理解していると、相手に伝わらなかったり自分が恥をかいてしまう場合もあるのでこの機会にしっかりと覚えておきましょう。