みなさん、「勘案」という言葉を聞いたり使ったりしたことはありますか?
漢字だけを見ると、まるで歴史小説にでも出てきそうなイメージを感じてしまいます。この「勘案」という言葉にはどのような意味合いが込められているのでしょうか。
そんな本日は「勘案」の詳しい意味と正しい使い方、そして「考慮」との違いや類語について詳しく解説していきたいと思います。
「勘案」の意味と使い方は?
まずは、「勘案」の意味と使い方について見ていきましょう。
その前に大丈夫だとは思いますが念のために「勘案」と書いて【かんあん】と読みます。
「勘案」の意味としましては、あれこれと考え合わせることを現します。
考え合わせる、よく取り調べるという意味の「勘」と、考えや予想、計画を表す「案」の組み合わせです。
あれこれよく考慮する状況がうかがえますね。
主にビジネスや公の場で使われる、かしこまった表現です。
「勘案」では堅すぎる場合は、「じっくり考える」「深く考える」などのくだけた表現に言い換えるのもいいでしょう。
使い方としては、たとえば「総合的に勘案すると〜」など、複数のことをよく考える状況があり、その後に考えた結論や判断が続きます。
また「勘案する必要がある」といえば、対象となる複数の項目を考え合わせる必要性を示します。
逆に「勘案しない」と言った場合は、気にかけない、織りこまない、計算に入れないということになります。
「勘案」の類語と例文は?
次に「勘案」の類語と例文を解説していきましょう。
まずは、「勘案」の類語には次のような言葉があります。
考慮
いろいろな要素を考え合わせ、思いめぐらすことです。
■例文
- ひとりひとりの能力を考慮してメンバーを集めた方が良さそうだ!
考察
物事を明らかにすべく、よく調べて考えをめぐらせることです。
■例文
- 解決できない事件の原因をひとつずつ考察してみる。
参酌
他を参考にして、長所などをとり入れることです。
■例文
- 現在の社会情勢を参酌することにより将来の日本の経済を予測することが可能である。
他にも、物事を深く考える「内省する」「考えにふける」「思慮」「思索」「熟考」「思案」、相手の事情をくんで考える「加味」「考慮」や、 相手の事情に思いを寄せる「忖度」「配慮」など、似たような意味を持つ言葉は数多くあります。
考える対象や目的が少しずつ異なることがうかがえますね。
それでは「勘案」を使った例文を見ていきましょう。
■例文
- 以上の事情を勘案して、今回の結論に至りました。
- それぞれの地域事情を勘案すると、今後◯◯のような対策が必要と思われます。
- 総合的に勘案した上で、慎重に投資をすることが重要だ。
- 店舗の立地や客層など、さまざまな要素を勘案し戦略を練る。
類語の例文もご紹介します。
■例文
- 相手の状況を十分に考慮した上で依頼をしましょう。
- 民俗学的視点から、深く考察した論文だ。
- その件については、もう一度じっくり考えてから実行しよう。
- お互いの意見を参酌して、良い点をとり入れよう。
同じような意味合いを持った言葉が数多くあるのでその都度、使い分けれるようにしておくと便利かもしれませんね。
いろいろ調べながらこの記事を書くことで、日本語の奥深さと難しさを感じてしまいました(笑)
「勘案」と「考慮」の違いと使い分け方は?
最後に「勘案」と「考慮」の違いと使い分け方について見ていきたいと思います。
「勘案」と「考慮」はいずれも深く考えることを表しますが、違いがあります。
「勘案」とは考え合わせることなので、単一でなく複数のことを考えるときに使う言葉です。
「考慮」は考えることがひとつでも複数でも使うことができます。
比較的、聞き慣れた言葉のため「考慮」を使うと相手もわかりやすいでしょう。
また、「考慮に入れる」「考慮の余地がない」といった表現がありますが、「勘案」ではそのような言い方をしません。
なお「考察」は物事を明らかにするために考えることであり、「参酌」は他と比べることで良い所などをとり入れます。
考える状況や目的の違いで、言葉を使い分けていきましょう。
日本語は、同じような意味を持つ言葉でも数多くの表現があります。
複雑そうに思えるかもしれませんが、それぞれの言葉の特徴や使い方の違いを知り、相手やシーンによってバラエティ豊かな表現ができたら、自分も相手も楽しいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「勘案」の意味と正しい使い方、そして「考慮」との違いや類語、例文などを詳しくご紹介しました。例文を交えることで言葉の違いや使い分け方がよく分かったと思います。
「勘案」と「考慮」の違いや使い分け方が分かったと思うので日々の生活の中で活用してみてくださいね。