みなさんは普段、「不詳」という言葉をよく見聞きすると思います。
年齢不詳などはよく使う表現方法だと思いますがこの場合、年齢不明と使っても違和感はありませんよね?
そんな本日は「不詳」の意味と正しい使い方、そして「不明」との違いや使う分け方について詳しく解説したいと思います。
「不詳」の意味と正しい使い方は?
まず最初に「不詳」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「不詳」という言葉は、「ふしょう」と発音し、名詞または「不詳だ」のように形容動詞として使われます。
「不詳」の「不」という字は象形文字です。
もともとは「花のめしべの子房」の形を示したとされます。
このため「不」は元来は「花房(はなぶさ)」を意味する字という説が一般的ですが、現在では名詞や形容動詞の語幹の一番はじめに付いて、それを打ち消す「否定」の意味を示す助詞的な用法が通例となっています。
これは本来の字の意味とは異なる「仮借的用法」と呼ばれ、古代中国語の否定を表す発音にこの字を当てたのが始まりではないかともいわれます。
一方「不詳」の「詳」は形声文字です。
ごんべん「言」と「羊」という字で構成されています。
ごんべんは「つつしんで言う」といった意味を示します。
「羊」は「ひつじの首」の形で、すなわち動物の「ひつじ」の意味ですが、この字の場合は、発音が近い「相」に通じることから、「相」と同じ「すがた」を表すようになったとの説があります。
これが転じて「詳」は「物の姿・さまを言葉にすること」を意味し、さらに「明らかにする」や「くわしくつまびらかにする」ことを表すようになったとされます。
これらのことから、「不詳」は「くわしくはわからないこと」、または「はっきりしないことや、そのさま」を意味する言葉だといえます。
「不詳」は「今後明らかになるかもしれないが、現時点では明確ではないこと」や「今は一部しか分からないこと」といったニュアンスがある言葉だともいえます。
「不詳」と「不明」の違いと使い分け方は?
次に「不詳」と「不明」の違いと使い分け方について見ていきましょう。
「不詳」と似た言い方に「不明」という言葉がありますが、この両者の違いや使い分け方はどのようなものでしょうか。
「不明」の「不」は、前述の「不詳」と同じく、下の名詞を否定する働きを示します。
一方「不明」の「明」は会意文字で、「日」と「月」から構成されています。
これは「太陽」の形と「欠けた月」の形を示しており、すなわち「明」は「あかるい」を意味する字となりました。
これらのことから「不明」は「明るくない」、つまり「明らかでないこと」、「はっきりしないこと」を一義的には表します。
二番目には「物の道理がわからないこと」や「愚かなこと」、あるいは「物事を見抜く力がないこと」を意味する言葉でもあります。
不祥事を謝罪する際に「すべては私の不明のいたすところです」などと述べるのがこの用例です。
このように「不明」には「全く分からない、調べる手がかりもない」といったニュアンスがあります。
その点で「ある程度は分かるが、それ以上は今後の調査を待たねばならない」といった「不詳」とは、「分からない」の程度に差異があるといえます。
このため、例えば「身元不詳」といえば「氏素性について、ある程度見当は付くが、詳細には判断できない」といった状態であり、「身元不明」といえば「名前も住所も全く手がかりさえなく、全然分からない」といったイメージとなります。
「不詳」と「不明」の例文を教えて?
最後に「不詳」と「不明」の例文をご紹介します。
「不詳」と「不明」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 大変有名ではあるのですが、実はこの作品の作者は不詳なのです。
- 彼はいつまでたっても少年のように無邪気で、年齢不詳なところがあるね。
- この文書は、どうも出自が不詳なところがあり、信用できない。
- あれから十年もたつが、彼らはいまだ行方不明のままだ。
- このような事態となり、自らの不明を恥じます。
- 国籍不明の航空機が領空内に侵入したとの情報だ。
「不詳」と「不明」の例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「不詳」の意味と正しい使い方、そして「不明」との違いや使い分け方について詳しくご紹介しました。
「不詳」と「不明」などと一緒で意味も使い方も似ている言葉というのは世の中にはまだまだたくさんあります。
意味と正しい使い方を理解して、間違えることのないように使いたいものですね。