「人となり」という言葉を日ごろ、見聞きしたりしますか?
「人となりを知る」や「人となりがわかる」といった言葉はよく聞くと思います。
ですが、「人となり」という言葉を聞いてどんな意味やどんな場面で使う言葉なのかいまいちピンと来ない人もいるかと思います。
そんな本日は「人となり」の意味と正しい使い方、そして漢字や類語、例文について詳しく解説したいと思います。
「人となり」の漢字や意味を教えて?
まず最初に「人となり」の漢字と意味を見ていきましょう。
「人となり」という言葉は、他人の状態、性質を表す名詞です。
これは古語から由来する表現だと考えられます。
古い時代の漢語に「為人」という言葉があり、訓読みすると「人と為る」となります。
現代中国語でも「為人」という言葉は日本語の「人格」を意味するそうです。
「為る」はこの場合「なる」と読みます。
「為」という字にはそもそもは「あるものや状態になる」、「ものごとをする、行う」という意味があります。
この「人と為る」が名詞化したものが、「人となり」だと考えられます。
ちなみに「人となり」の「と」は格助詞であり、一般的には動詞の「する」や「なる」の前に置いて、そのことの結果を示す用法となります。
機能としては「に」という格助詞に類似しています。
例えば「彼はその後、優秀な選手となった」や「会合を次回開く日は、来週の火曜日とします」といった使い方と同じです。
この「人となり」は、古語においては「天性」、「生まれつきの性質」やその人の「体つき」、「体格」、「背丈」を表す言葉でした。
これが時代が下るにつれて、「生まれつきの人柄や人間像」、あるいは「その人に備わっている性質や品位」といった意味合いに転じていきました。
なお日本語には「なり」という言葉もあります。
漢字では「形」とも書きますが、「体つき」や「服装」といった意味です。
「身なり」や「しゃれたなりをしている」といった用例ですが、この言葉も「人となり」の「なり」と通底するものだと考えられます。
「人となり」の正しい使い方は?
次に「人となり」の正しい使い方について見ていきましょう。
「人となり」は前述のように、「持って生まれた人格」といった意味を示す言葉ですが、古語から由来する言い方でもあり、ややあらたまった表現だといえます。
一般的に、対象となる人の性格や人間像を示す言い方であり、その人のことを良く言う場合でも、悪く評価する場合でも、どちらでも使用されます。
似た言葉には「人柄」や「人物」、「人間」などがあります。
そうした類語の中でも、「人となり」は「その人の見た目や性格だけでなく、生い立ちや育った背景なども含めた、人物としての全体像」といったやや深いニュアンスがこもるといえるでしょう。
相手からある人物について評価や評判を聞かれた際に、「彼の人となりは昔からよく知っています」などと使用すると、真摯な印象を与えられます。
この点で「人柄」という類語の場合、「性格」や「性質」に限定したイメージがあり、また「人物」や「人間」では、その人の性格などに加えて、品格や品位の有無も言及する印象があるといえるでしょう。
例えば「あいつは人柄がいい」、「彼は悪い人物ではないよ」、「若いのに人間ができている」といった使い方です。
「人となり」の類語と例文が気になる!
最後に「人となり」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「人となり」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 横顔
- 略歴
- 経歴
- 素顔
- 素性
- 人柄
- 人物
- 人間性
- 生い立ち
- 性質
- 性格
- お里
- プロフィール
などがあります。
「人となり」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 彼女の人となりに魅了されました。
- こうした作品の素晴らしさに触れると、作者の人となりがしのばれるというものです。
- 作曲家の人となりをよく知れば、演奏する際に、曲の解釈にも深みが出るだろう。
- この小説を読み、作家の飾らないその人となりに打たれたのです。
「人となり」の類語と例文についてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「人となり」の意味と正しい使い方、そして漢字や類語、例文について詳しくご紹介しました。
おさらいすると「人となり」という言葉にはその人の持つ性質や人柄、持って生まれた人格という意味合いがあり、漢字で書くと「為人」となります。