ビジネスシーンで上司や目上の方に「わかりました」と返事をするときが多々あると思います。
一見すると「わかりました」という表現方法は正しいように聞こえますが、敬語として成り立っているのでしょうか。
そんな本日は「わかりました」は敬語なのか?そして上司や目上の方にメールで使う場合の注意点について詳しく解説していきたいと思います。
「わかりました」の意味と使い方は?
まず最初に「わかりました」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「わかりました」という語句は、漢字表記にすると「分かりました」あるいは「判りました」となります。
または「解」という字を当てて「解りました」と書く場合もあります。
「わかりました」は「わかる」という動詞を丁寧にした、動作の完了を示す形の語句です。
あるものごとについて、自分が了解した、承知したという状況を丁寧に表示しています。
「わかる」とは、いくつかの意味を持ちます。
第一には「意味や区別などがはっきりする」という意味を示します。
例えば「物のよしあしがわかる」、「あなたが言っていることの意味がわからない」といった用例です。
次には「事実などがはっきりする」、「判明する」といった意味があります。
例を挙げると「身元がわかる」、「この荷物は持ち主がわからないんだ」などです。
さらに「物わかりがよく、人情・世情に通じる」といった意味合いも示します。
「彼はなかなか話のわかる人だ」という言い方ですね。
最後に、本来の語源に近い「分かれる」、「離れる」といった用法もあります。
そして前述したように、「わかる」には「分」「判」「解」と主に三つの漢字が当てられます。
「分」という字は、「八」と「刀」から成っています。
八は二つに分けること、刀は切って分けることを示します。
いずれも物を分けるという意味になりますね。
そこから「ものを善悪や種類ごとに分ける」、「理解する」といった意味に転じたようです。
また「判」という字はりっとうという部首と「半」からできています。
りっとうは刀のことですので、「判」は「刀を持って半分に分ける」ことを示す字だといえます。
「甲乙を判別する」という意味です。
また「判」は、証書を半分ずつもって合わせる「印判」の意味にも使われます。
そして「解」は、文字通り「牛の角を刀で分ける」ということで、すなわち「ものごとを細かく分解する」、「分け入ってよく熟知する」ことを表す漢字です。
「わかりました」は口頭では頻繁に使われる日常的な用語ですが、メールなど文章で表す場合は、前述のようなそれぞれの意味合いで漢字を書き分けると、より相手に伝わりやすく、言葉の深みも出るといえるかもしれません。
「わかりました」は敬語になるの?
次に「わかりました」は敬語として成り立つのか見ていきましょう。
「わかりました」は、「わかる」の連用形に、丁寧な接尾辞である「ます」の完了形「ました」が、語尾についた形の語句です。
このため日本語の分類からすれば敬語に当たります。
ただしビジネスシーンなどでは、敬語とはいえ、どんな場面にでも援用できるとは必ずしもいえない表現でもあります。
「わかりました」は、日本語の「承知」を表す言葉の中でも、ビジネスや日常の場面ではかなり「フラット」な印象を与える言葉だからです。
そこにはあまり、相手に対する敬いや謙譲の意味合いは含まれていないイメージがあり、ある意味で感情なく、相手の通達等を「理解した」というニュアンスがあります。
このため、顧客や先生などの重んじるべき相手や、上司に対しては、使用する状況にもよりますが、基本的には避けることが無難でしょう。
もちろん同僚同士の事務連絡など、通常の社会的な場面での使用では、敬語として問題のない表現です。
上司や先生に「わかりました」をメールで使う場合の注意点は?
最後に上司や先生に「わかりました」とメールで伝える場合の注意点について見ていきましょう。
前述のような理由から、「わかりました」を上司や先生あてにメールを出すときに使う場合は、なるべく「承知いたしました」や「承り(うけたまわり)ました」、「かしこまりました」などに言い換えることが適切です。
これらはいずれも「謹んで理解しました」、「畏まって、お引き受けします」といった、相手を敬い、自分がへりくだった意味を示す表現だからです。
なお、「わかりました」を先生や上司に対して言い換える際に、「了解しました」を使用するのは適切ではありませんので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「わかりました」は敬語なのか?そして上司や目上の方、先生にメールで伝える場合の注意点について詳しくご紹介しました。
ビジネスシーンで「わかりました」を使うのは、時と場合によっては失礼に当たるのでその場合は「承知しました」「かしこまりました」という表現を使うようにしましょう。
表現方法ひとつで相手に与える印象がずいぶんと変わってくるので、正しい認識で覚えておくようにしましょう!