「ご隆盛」という言葉を見聞きしたり、使ったりしますか?
あまり馴染みのない表現方法だと思いますが、どんな意味がありどんな場面で使う言葉なのか気になってしまいますよね。
ビジネスシーンで使う言葉なのか、はたまた手紙や書面、メールなどで使う言葉なのかも気になります。
そんな本日は「ご隆盛」の読み方と意味、そして個人宛に使えるのか例文を交えてご紹介したいと思います。
「ご隆盛」の読み方と意味は?
まず最初に「ご隆盛」の読み方と意味を見ていきましょう。
「ご隆盛」という言葉は、「隆盛」という名詞に、漢語の敬語表現をつくる接頭語「ご」を冠した形で成り立っています。
読み方は「ごりゅうせい」です。
「ご隆盛」の「隆」という漢字は、会意文字であり形声文字です。
「降」と「生」という字が複合した構成になっています。
「降」とは、元来は、左側が「段のついた土山」の形を示し、右側は「下向きの足」が二つ並んだ様子を表すとされます。
つまり「段を下る」という意味であり、通常は「降りる」ことを意味しますが、「隆」の字の場合は「何かがもりあがるさまを表す擬態語」と考えられます。
すなわち「隆」は「草・木が地上に生じてきた」という「はえる」の意味から、「豊かに大きくなる」や、「盛り上がる」といった意味を示す字となりました。
また「ご隆盛」の「盛」は、形声文字です。
「皿」と「成」という字でできています。
「皿」は「食物を盛る皿」の形です。
その上の「成」は、「大きな刃のついたまさかり」と「釘を頭上からみた形」を合わせたものを示すとされます。
すなわち「くぎづけする」あるいは「平定する」という意味を表しますが、「盛」の場合は「盈」に通じることから「みたす」という意味にとらえられ、「皿に農作物を満たして、神への供え物とする」ことを意味したようです。
そこから「盛」は「ものをもる」や「さかんな」ということを表すようになったとされます。
このように「ご隆盛」は「勢いが盛んなこと」やそのさま、あるいは「おおいに栄えること」を丁寧に示す言葉だといえます。
基本的には、家や一族、会社などの組織について、繁栄し発展することを敬って言う言葉です。
一般的な会話などでの用語というより、ビジネスシーンやかしこまった席での書面、手紙などで、定型的な「あいさつ語」の一種として用いられる表現だといえるでしょう。
「ご隆盛」は個人宛に使ってもOK?
次に「ご隆盛」は個人宛に使っても大丈夫なのか調べてみました。
「ご隆盛」は、相手の会社や組織がますます成長し、栄えることを敬って称賛する言い方です。
一方で「○○家」や「一家」「一族」など個人的、私的な文書でも用いることができる挨拶の語句でもあります。
「ご隆盛」はまた、「経済的に豊かである」ことを意味する言葉でもあります。
なおかつ、今まさにその豊かさが増して、業績などが伸びている最中であるという、動きを持ったニュアンスを含んでいるといえます。
その意味では、一人だけの「個人」宛ての手紙などでも「相手の仕事が順調で、経済的に豊かである」ことをお祝いする表現として使っても差し支えはありませんが、通常は個人宛ての場合は「ご盛栄」を使用することが多いようです。
なお、このように法人にも個人にも使える「ご隆盛」ですが、相手方の業種や職種によっては、違う言葉を選んだ方が適している場合もあります。
例えば、葬儀場や病院などについては、単純に「商売繁盛で、勢い盛んなことをお祝いします」という意味合いで「ご隆盛」と述べるよりも、業務内容に配慮して、「経済的繁栄」と「健康」を、控えめに同時にたたえる言い方である「ご清栄」を用いる方が無難といえるでしょう。
「ご隆盛」の類語と例文を教えて?
最後に「ご隆盛」の類語と例文をご紹介します。
「ご隆盛」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- お賑わい
- ご繁栄
- ご隆昌
- ご興隆
- ご繁華
- ご盛況
- ご盛運
- ご成功
などがあります。
「ご隆盛」の例文には次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 春暖の候、御社におかれましては、ますますご隆盛のことと拝察いたします。
- 貴社ますますご隆盛の趣、慶賀の至りに存じます。
- 新緑の候、貴店におかれましては一段とご隆盛の由、謹んでお慶び申し上げます。
- 最近はご隆盛を極めておられるご様子で、何よりと存じます。
- ご家運のご隆盛をお祈り申します。
「ご隆盛」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ご隆盛」の読み方と意味、そして個人宛に使っても大丈夫なのか詳しくご紹介しました。
おさらいをすると「ご隆盛」はビジネスの場などで”あいさつ用語”として使う言葉ということが分かりました。
会話の中で使うというよりは手紙や書面などで使う言葉なので覚えておくと便利かもしれませんね。