みなさんは日々の生活の中で「過分なお言葉」という表現方法を使ったり聞いたりしますか?
「過分なお言葉」と聞いていつどんな場面で使う言葉なのか分からない人も案外いるかもしれませんね。
そんな本日は「過分なお言葉」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説したいと思います。
「過分なお言葉」の詳しい意味は?
まず最初に「過分なお言葉」の詳しい意味を見ていきましょう。
「過分なお言葉」は、「過分な」という形容詞で、「言葉」を丁寧にした「お言葉」を修飾した言い方です。
「過分」という熟語のうち、「過」という漢字は、しんにょうに「咼」という字から成り立っています。
しんにょうは形を表し、「咼」が音を示しています。
元来しんにょうは「行くこと」を表し、「咼」は不正なことを示します。
すなわち、行き方が正しい状態ではないことを示す字ということです。
これが転じて「行きすぎる」、「やり過ぎる」という意味合いで使われるようになりました。
「過分」の「分」は「八」という字と「刀」から成り立っています。
もともと「八」は分けることを示しますので、この字は刀で何かを切り分けることを意味します。
ここから「区別」や「身分」、「分際」、「身の程」などを示すようになりました。
このことから「過分」は「身の程を過ぎた」という意味合いになります。
「自分の身分より、過ぎたことであり、釣り合わない」とか、「身分不相応で、自分の立場や能力に適切な程度を越えている」といった表現です。
「態度そのものが不遜で、分をわきまえていない」、「僭越である」状態を示す場合もあります。
あるいは「自分が思っているよりも、ものごとの量などが多い」といった際にも使用します。
「今回は過分なお手当をもらった」といった言い方です。
現在では、一般的に「過分」は、「自分の本来の身の程に照らすと、分に過ぎた、良すぎる扱いを受けている」と、けんそんしながら、そうした行為をしてくれた相手に感謝する際に使う表現だといえます。
こうしたことから「過分なお言葉」は、相手からほめられたり、ねぎらいの言葉などを受けた際に、「自分には身に余ることです」と、へりくだって感謝を述べる言い方です。
「過分なお言葉」の正しい使い方は?
次に「過分なお言葉」の正しい使い方について見ていきましょう。
「過分なお言葉」は、前述のように、相手から何かの良い、うれしい声かけなどをされた場合に、恐縮し、けんそんしながら感謝を述べる表現です。
やや文語的な言い方でもありますので、かなり立場や地位が上の相手や、顧客など敬うべき対象から、大変名誉な賞賛などをもらった際に、うやうやしく述べたり、使ったりするのが適切だといえます。
逆に言えば、気さくな関係での軽い感謝、ちょっとした気遣いに対するお礼などで使うのは、大仰すぎてふさわしくないので、使い分けには注意が必要です。
例えば旅行のお土産を渡した相手から、後日「おいしかったよ」とお礼を言われたときなどに、「過分なお言葉、恐れ入ります」とは通常は返しません。
高い業績を挙げたことに対して表彰を受けたり、大きな契約などが完了して、顧客に大変喜んでもらえた場合など、ややかしこまった場面で用いる言い方だといえます。
また「過分」は「分を越えて良すぎること」を示しますので、反対に自分を貶めたり、さげすんだりされた場合に、相手を非難する場合の用例としては適切ではありません。
「過分なお言葉」の類語と例文を教えて?
最期に「過分なお言葉」の類語と例文を見ていきましょう。
「過分なお言葉」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 身に余る(お言葉=以下、同)
- 過大な
- 過度な
- 過多な
- 存外な
- 望外な
- 大それた
- 分外な
「過分なお言葉」の類語は以上のような言葉があります。
「過分なお言葉」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- このたびは過分なお言葉を頂戴し、誠に恐れ入ります。
- さほどの事はしておりませんのに、過分なお言葉をいただき、この上ない喜びです。
- そのように過分なお言葉を受け、身に余る光栄です。
「過分なお言葉」の例文をまとめておきました。
もし活用する場面が訪れたら是非、参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「過分なお言葉」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しくご紹介しました。
意味や正しい使い方を覚えて、相手にしっかりと伝わるように使いこなせるようになりたいものですね。
若い世代の人だとなかなか使う機会もないかもしれませんが、覚えておくといつか役に立つかもしれませんよ。