「翻意を促す」という表現方法を見聞きしたりしますか?
よくテレビのニュースなどでたまに聞いたりする言葉ですが、どんな意味合いがありどんな場面で活用する言葉なのかいまいちよく分かりませんよね。なんとなく分かったつもりで活用してしまい、あとになって間違っていたとならない為にも正しい知識を頭に入れておきましょう。
そんな本日は「翻意を促す」の意味と正しい使い方、そして類語や例文を詳しくご紹介したいと思います。
「翻意を促す」の意味は?
まず始めに「翻意を促す」の意味を見ていきましょう。
「翻意を促す」という一文は「ほんいをうながす」と読みます。
「翻意」という名詞と、「促す」という動詞から構成されています。
「翻意」という名詞は「決意を翻(ひるがえ)すこと」を意味します。
「翻」という漢字は「番」と「羽」という字から成り立っています。
「番」は元来「田畑に種をまく」様子を示したものだとされます。
「羽」は「鳥の二つの翼」を意味しており、「翻」は「鳥が伸びやかに羽を広げ、体を踊らせるように飛ぶ」といった姿を表していると考えられます。
ここから転じて「翻」は「体がひるがえる」さまを示し、「考えを全く変える」、「心変わり」といった比喩につながったとされます。
つまり「ひるがえる意志」を指すのが「翻意」というわけです。
また「促」という字はにんべん、すなわち「人」と「足」から成っています。
「足」は人間の足そのものでもありますが、「速(ソク)」という音が通じていることから、「促」の場合は「人をうながして、行動を急がせる」といった意味で用いられるようになったようです。
「他人をせき立てる」、「そうするように仕向ける」といった意味です。
このように「翻意を促す」という文は「ある人がいったん固めた決意を百八十度変えるように、その人に働きかける」という意味を示すといえます。
「翻意を促す」の使い方は?
次に「翻意を促す」の正しい使い方を見ていきましょう。
「翻意を促す」という文は、「以前に行った決心や決めた態度を、全く違う形に変えるように、その人を説得し仕向ける」といった意味合いになります。
ビジネスシーンや小説などの文章でしばしば見ることがある言い方です。
「翻意を促す」は、「どうしようかと悩んでいる人に、決意を誘いかける」ということではなく、「翻意=考えそのものを翻す」ことを強く求めるものです。
物事の大小にはよりますが、人があれこれ考えた末に出した結論というものは、そう簡単にひっくり返せるものではありません。
余程の事態の変化があったり、当人に不利な問題が発覚するなどしない限り「翻意」は通常起こらないものです。
しかしながら、ビジネスや政治の世界などでは、会社や組織に良い結果をもたらすためには、ギリギリで正反対に判断や態度を変えることは「現実的、合理的な判断」としてまま見られるものでもあります。
「翻意」というと「裏切り」、「風見鶏」といったネガティブなイメージを浮かべる場合も多いかもしれませんが、決して悪いものばかりとはいえないようです。
このように「翻意を促す」は「重大な結論変更を迫る」といった意味の堅い表現ですので、逆に「カレーが食べたいという彼に、スパゲッティにするよう翻意を促す」などという使い方は、大仰に過ぎるため普通はしません。
なお「翻意」と同じ発音の名詞に「本意」という言葉があります。
これは「本当の気持ち、本心」や「もともと持っている、本来の考え。本望」といった意味です。
このため「○○さんの本意をただしたい」、「ようやく本意を遂げることができた」などとは使いますが、「本意を促す」では意味が通じませんので、誤用には注意が必要です。
「翻意を促す」の類語と例文を教えて?
最後に「翻意を促す」の類語と例文をご紹介します。
「翻意を促す」に類似した表現には次のようなものがあります。
類語
- 心変わりさせる
- 目移りする
- 気が移る
- 変心させる
- 宗旨変えをさせる
- 日和見になる
- 前言撤回させる
- 手のひらを返す
例文
「翻意を促す」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
- 敵に寝返った家臣に、翻意を促すべく最後まで説得を試みます。
- 離党を踏みとどまるよう、もう一度翻意を促せないか?
- 寄ってたかって強引に翻意を促すと、かえって意固地になりかねない。
- 辞意を撤回するよう、何とか社長に翻意を促したい。
「翻意を促す」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
「翻意を促す」の意味と正しい使い方、そして類語や例文を詳しくご紹介しました。
おさらいをすると翻意は「今まで決意したことを直前でくつがえす」や「決心を変えさせる」などの意味合いがあります。
第三者が決意したこと、決めたことを途中で変えさせるように促すことを「翻意を促す」と表現します。
意味と使い方を理解して、間違いのないように活用しましょう。