みなさんは普段、「すごく」や「とても」という言葉をよく利用すると思います。
「すごく」や「とても」以外にも「かなり」という言葉もよく見聞きしますよね。
どの表現方法も似たような意味合いを持っていると思いますが、違いや使い分け方はどうしたらいいのでしょうか。
そんな本日は「すごく」と「とても」の違いと使い分け方、そして類語や例文について詳しく解説したいと思います。
「すごく」と「とても」の違いは?
まず最初に「すごく」と「とても」の違いについて見ていきましょう。
「すごく」という言葉は、「すごい」という形容詞の連用形で、「すごく~する」という形で、以後の用言を強調するような使われ方をします。
一方「とても」は副詞で、以後の文を修飾する用語です。
「すごく」も「とても」も、一般的には後に続く文や言葉を強める意味合いということでは大変似ている言葉です。
「すごく」は「程度がはなはだしいさま」や「形容しがたいほどに状態や状況が傑出している」ことを示します。
このほかに「ぞっとするほど恐ろしい」や「大変気味が悪い」といった意味でも使われるようです。
いずれの意味合いでも、良いことにも悪いことにも使うことができる表現です。
一方「とても」は、もともとは古語から派生していると考えられます。
古語に「とてもかくても」という言い方がありました。
これは副詞の「とても」と「かくて」の後に係助詞の「も」がついた成り立ちです。
古語の「とても」は、現代の「どうせ、結局は」に近く、後に打ち消しの言葉を伴って「どうせ~ではない」「到底~ではあるまい」という表現をつくりました。
また「かくて」は現代にも文章語に少し残っていますが、「このようにして」という意味合いです。
このように「とてもかくても」は一義的には「いずれにせよ」や「どっちみち」、あるいは「どのようにしてでも」、「どうあろうと」といった意味で使われました。
この「とてもかくても」が時代が下るにつれ省略されたのが、現代の「とても」だと考えられます。
「とても」は、こうした経緯から、基本的にはあとに打消しの表現を伴って、どのようにしても実現しない気持ちを表したり、その否定的な意味を強める言い方です。
そして二番目には、「すごく」と同じように「程度のはなはだしいさま」を示します。
さらに利用の度合いとしては現代では少なくなったものの、古語の名残りから「結局は否定的な結果になる」という投げやりな気持ちを表す場合もあります。
例えば昔の軍記物や小説に「とても怪我したので討ち死にせん」とか、「とてもお留守だろうと思ったんですけどね」といった表現が見られます。
「すごく」と「とても」の使い分け方は?
次に「すごく」と「とても」の使い分け方について見ていきましょう。
「すごく」と「とても」は現代では大変似通った言葉に感じられ、果たして使い分け方があるのだろうか、文脈や好みで使用できるのではないか、とも思われます。
しかし前述のような成り立ちをたどると、若干ニュアンスや意味合いには違いがあるようです。
まず「すごく」は、修飾するものごとの程度が極めて逸脱していることを示します。
良いこと悪いことの両方で使えますので、「非常に素晴らしい」、あるいは「大変ひどい」という双方の意味合いとなります。
一方「とても」は、前述のように、元来は否定の言葉を強調する言い方です。
古代日本語の時代から、原則的にはこの打ち消しを強める表現のみで使われてきましたが、次第に「程度が甚だしい」という、良いことについても修飾されるようになったとみられます。
こうしたことから、本来の意味通りに使用するならば、程度が大きいさまを表す場合は、「すごく」の方が「とても」より度合いが強いということになります。
そして「とても」は原則としては否定、打ち消しの言葉を強める言い方です。
ただ現代では双方の使い分けの垣根は低くなっているほか、「すごく」については近年、若い人などの間で「すごいでっかい」、「すごいきれいだ」などという表現がなされることもあり、多少くだけた語感も受けます。
このため「すごく」は主に会話で使われ、公の場や文章などでは、「とても」の方が馴染みやすいと見なされているといえるかもしれません。
「すごく」「とても」の類語や例文も知りたい!
最後に「すごく」「とても」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「すごく」、「とても」の類語は次の通りです。
◆類語
- 大変
- 大層
- 非常に
- すこぶる
- 滅法
- 極めて
- かなり
- 殊のほか
- はなはだ
- まことに
などがありますね。
また例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- すごくきれいだ
- すごく悲しい
- とても食べきれない
- とても無理だ
「すごく」「とても」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「すごく」と「とても」の違いや使い分け方、そして類語や例文について詳しくご紹介しました。
「すごく」も「とても」も日常でよく使う言葉なので、正しい認識で頭に入れて使いたいものですね。
微妙な違いや使い分け方も難しいと思いますが、是非参考にして貰えたらと思います。