「依然として」という言葉は「相変わらず」と意味が似ていますよね。
普段、何となく使い分けていらっしゃることと思いますが、違いをはっきり説明できますでしょうか?微妙なニュアンスの違いでよく使い方が分からないという方も意外と多いんじゃないかと思います。
そんな本日は、「依然として」の意味や使い方、例文や類語、そして「相変わらず」との使いわけについて詳しくお伝えしますね。
「依然として」の意味は?
まずは、「依然として」の詳しい意味について見ていきましょう。
「依然として」は「変化がない」ことをあらわす言葉です。
「いぜんとして」と音で聞き「以前として」と書くことのないよう注意です。
「~以前」は「~より前」のことで「依然」は「前のまま」という意味です。
また「依」は「頼りきる」「寄りかかる」といった意味合いで「依頼」「依存」というように使います。
そして「然」は「そのまま」「そのとおり」「そのもの」といった意味合いで「自然」「当然」というように使います。
つまり「依然」は「そのまま、前のままの状態に甘んじている」というニュアンスになりますね。
「依然として」の正しい使い方は?
次は「依然として」の正しい使い方について詳しく見ていきましょう。
「依然として」という言葉は、「依然として人気が衰えない」などポジティブな状態でも使いますが、基本的にはネガティブな状態が続いているときに使います。
実際に「依然として」を使った例文を5つ紹介します。
■例文
- 昨夜事故に巻き込まれた彼は、峠は越えたものの「依然として」予断をゆるさない容体である。
- 何度も救援を要請しているのだが「依然として」誰ひとり現場にあらわれない。
- あの手この手をつくして店の宣伝をしているのだが「依然として」反響がない。
- この暗号を受けとって、もう半月は過ぎたが「依然として」暗号を解く手がかりはつかめない。
- 娘が彼氏と同棲をはじめてからもう10年になるけど、ふたりの口からは「依然として」結婚の「け」の字もでない。
ところで「一向に」の意味は「まったく」「少しも」ですので「変化がない」とは同じ意味ではありませんが、例文中の「依然として」を「一向に」と置きかえても不自然ではありませんね。
では「依然として」の類語も5つ紹介します。
■類語
- 今なお
- いまだに
- まだまだ
- 現在に至るまで
- 猶も
「依然として」の類語を紹介しましたがどうでしたか?
“いまだに”とか”まだまだ”は普段、生活する中で自然と使っている言葉だと思いますね。
「相変わらず」と「依然として」の違いは?
続いては「相変わらず」と「依然として」の違いについてご説明していきます。
「相変わらず」も「依然として」も以前と変わらない様子をあらわす言葉ですが、どう使いわければ良いでしょうか。
まず「相変わらず」を英語であらわすと「as usual」です。
「as usual」は「いつも通り」「普段通り」ということです。
また、変化がないことを呆れたときや嬉しく思っているニュアンスで使われます。
そして「依然として」を英語であらわすと「still」です。
「still」は「まだ」ですので、これから変化することも考えられますね。
また、基本的には進展がないことを残念がっているニュアンスで使われます。
たとえば「夫は昨夜もたくさん食べました、相変わらず元気そうです」という文と「夫は昨夜もたくさん食べました、依然として元気そうです。」という文を比べると、いかがでしょう。
まず「相変わらず」という文は、妻は夫の健康を喜んでいるとも元気すぎて呆れているとも受けとれます。
そして「依然として」という文は、妻は夫の健康を残念に思っていそうなだけでなく、夕飯に何か悪いものを入れたようにもきこえます。
こうやって例文を交えて比べてみると微妙なニュアンスの違いがよく分かると思いますし、日本語の言葉の奥深さと難しさが身に染みる思いだと思います。
まとめ
「依然として」の意味や使い方、例文や類語、そして「相変わらず」との使いわけについてお伝えしましたがいかがでしたか。
「相変わらず」との使いわけができるようになっていただけたのではないでしょうか。
変化がないことが喜ばしいときは「相変わらず」を使い、変化がないことをもどかしく思う場合は「依然として」を使うと良いでしょう。
「依然として」や「相変わらず」を使う機会がありましたら、今回の記事をぜひ参考にしてください。