みなさんは日々の生活の中で「折り入って」という言葉を使ったり聞いたりしますか?
「折り入ってお願いが~」とよく使っているのを聞いたことがありますが、詳しい意味などを理解している人はあまりいないと思います。
「折り入って」という表現方法は文書より、どちらかというと口頭で使う機会が多い言葉だと思いますね。
そんな本日は「折り入って」の詳しい意味と正しい使い方、そして語源や類語、例文を詳しく解説していきたいと思います。
「折り入って」の意味と使い方は?
まず最初に「折り入って」の意味と使い方について見ていきましょう。
「折り入って」という言葉は、特定の相手に対し、特別にものごとを頼み込む際に、文中で言い添える副詞です。
「自分の方にとりたてての事情があり、どうしてもこの相手に、万障繰り合わせてやってもらいたい」、「何とか善処してほしい」という、比較的切実なニュアンスを含む表現だといえます。
このため、相手に対して話しかけたり、あるいは文面などで要請する場合は「深く自分のまごごろを込めて、ぜひとも、ほかでもないあなたにお願いしたい」という意味合いが、色濃くにじむ語句です。
「ものごとを頼む」場合に言い添える強調などの副詞では、他にも「どうぞ」、「どうか」、「悪いんだけど」、「すみませんが」などいくつかの種類があります。
そういった言葉の中でも、「折り入って」は「特にあらたまった態度で、心を込めて懇願する」という印象が強い言葉だといえるでしょう。
注意すべきなのは、軽い気持ちでの依頼や、ちょっとした頼み事といった場面で使用するのは適切ではない、という点です。
例えば「そこの醤油を取ってくれる?」、「冷たいお茶を一杯いただけますか」といったケースでは、言うまでもないことですが、使用するのはふさわしくありません。
何か重大な難しい問題について、解決能力を持っている特別な相手に対し、「声を整え、居住まいを正して、心からお願いする」というイメージがある言葉ですので、ビジネスシーンなどで使う際には、適切な場面選択が必要です。
「折り入って」の語源を教えて?
次に「折り入って」の語源について見ていきましょう。
「折り入って」という副詞は、「折り入る」という動詞から由来していると考えられます。
そもそも「折る」は「斧で木を切る」ことを示します。
ここから「あるものを割って、曲げる」といった意味合いに転じました。
「折り入る」は、文字通りには「折り曲げて、中に入れる」、「折り込む」、「織り込む」ほどの意味となります。
これが、さらに深い意味合いを含んで「特別に心を込めて行う」、あるいは古代日本で和歌をつくる際に「特定の言葉や事柄などを、歌の中に詠み込む」といった用法で使われるようになりました。
こうした経緯から「折り入って」も、「自分の方から、今回取り立てて、心からお願いしたいのだが」と、ややへりくだった形で付言する、副詞としての意味合いを持つ言葉になったとみられます。
「折り入って」の類語や例文も教えて?
最後に「折り入って」の類語と例文について見ていきましょう。
「折り入って」の意味に近く、哀願したり、また懇願したりするような際に使われる副詞的な類語には、次のようなものがあります。
◆類語
- 押して
- 伏して
- 曲げて
- くれぐれも
- ぜひとも
- なにとぞ
- なにぶん
- 平に
- 後生だから
- そこを何とか
- なかんずく、あなたに
また「折り入って」は、前述のように、何か比較的重い、深刻な問題を特定の相手に依頼する場合に使用する用語だといえますので、例文としては次のようなものが挙げられるでしょう。
◆例文
- ちょっと折り入ってご相談したい案件がございます。近くお会いするお時間をいただけないでしょうか。
- 折り入ってお願いしたいのだが、今回、君に仲人を引き受けてもらえないだろうか。
- その件で、実は、折り入ってあなたにお話があるのです。
- 日頃大変お世話になっている○○様の折り入ってのご依頼ですので、必ずやご要望に添いたいと存じます。
「折り入って」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
是非、参考にしてみてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「折り入って」の詳しい意味と正しい使い方、そして語源や類語、例文について詳しくご紹介しました。
相手に対してなにか物事をお願いする場合にへりくだった意味合いを込めて使う言葉という認識になりますね。
ビジネスシーンなどで使う場合は、使う場面をしっかりと見極めるようにしましょう!