ご来訪

ビジネスの場でよく使う言葉に「ご来訪」という表現方法があります。

「ご来訪いただく」「ご来訪いただき~」などとよく使うと思いますが、そもそも「ご来訪」という言葉にはどのような意味合いが込められているのでしょうか。

そんな本日は「ご来訪」の意味と正しい使い方、そしてビジネスの場でお客様に使う場合の注意点を詳しく解説したいと思います。

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「ご来訪」の意味と使い方は?

まず最初に「ご来訪」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。

「ご来訪」という言葉は、「来訪」という名詞に、漢語を丁寧に表す接頭語である「ご」を冠した形です。

「来訪」の「来」は象形文字で、本来は麦の形を示したとされます。

麦は古代中国に天がもたらしためでたい作物とされ、「天からきた」とのことから「来」が「くる」ことを示したとされます。

また「訪」は会意、及び形声文字です。

ごんべん「言」と「方」から成っています。

ごんべんは「つつしんで言う」という意味があり、「方」は「両方に突き出た柄のある農具」、すなわち「すき」を示したとされます。

両方に突き出る、つまり「左右に張り出す」ということから、「訪」は「言葉を左右に張り出して行く事」を意味し、転じて「人がたずねる」といった意味合いになったようです。

このように「来訪」「人が訪ねて来る」ことを意味する言葉だといえます。

「自分の側へ、相手がやってくること」を示す表現です。

これを丁寧に表したものが「ご来訪」となります。

目上の人や立場が上の人、敬うべき相手について、自分の家や所在地にやってくることについて述べる言い方です。

「○○さんのあすのご来訪時間はいつですか」や、「ご来訪になる」、「ご来訪される」など、語尾に助動詞を付与して用いることが一般的です。
 

「来訪」「来社」「訪問」の違いと使い分け方は?

次に「来訪」「来社」「訪問」の違いと使い分け方について見ていきましょう。

「ある場所へ訪ねていく」といった表現には似たような語句が多くあります。

 
◆似た表現方法

  • 来訪
  • 訪問
  • 来社
  • 来宅
  • 来航
  • 往訪
  • 慰問

 

などがありますね。

 

ではこのうち、ビジネスシーンなどでは特によく耳目にする三つの言葉、「来訪」、「来社」、「訪問」について、違いや使い分け方をみてみましょう。

「来訪」は前述のように「他人が自分の側へやってくる」ことを示します。

一方「訪問」は、「自分が相手の居所へ訪ねていく」ことを意味します。

すなわち「来訪」とはまったく反対の構造になるわけです。

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さらに「来社」は、「相手が自分のところに来る」ということでは「来訪」と同じですが、特に企業の本社や会社の事務所など、いわゆる「会社」にやってくることに限定して使用します。

このため自宅や学校などに来ることについては用いません。

この点「来訪」は一般的に広く、どのような場面でも使用できます。
 

ビジネスの場で「ご来訪」を使う場合の注意点は?

サラリーマン

最後にビジネスの場で「ご来訪」を使う場合の注意点をご紹介したいと思います。

このように「行くこと、来ること」を示す熟語は、人間が移動する「向き」や「対象」によって言葉を使い分ける必要があることがわかります。

「ご来訪」をビジネスシーンで用いる際は、社外の人や顧客、目上の人など、敬うべき相手について、来ることを丁寧に述べる場合に使います。

このため自分や自分の側については使用しません。

「ご来訪」は丁寧・尊敬の形であり、謙譲の言葉ではありません。

そもそも「自分がやってくる」という言葉は矛盾していますので、「ご来訪」は相手に対してのみ使用します。

なお「ご来訪」は、ビジネスの場では主には、社内で顧客などが来るスケジュールや段取りを打ち合わせたり、告知するような際に「○○様のご来訪について」などと使用することが一般的です。

実際に、相手に対して来訪時間を尋ねたり、式典などの公の場面で来訪のことを紹介するような場合には、「いらっしゃる」「お見えになる」、「お越しになる」などと表現するほうが適切だといえるでしょう。

例えば「あすはお一人でいらっしゃるのですか」、「展示会には社長もお見えになる予定です」などです。

なお自分が相手の方へ向かう「訪問」についても、「ご訪問する」という丁寧な言い方もできますが、できれば「伺います」、「参ります」、「参上いたします」など、へりくだった表現を使用するほうが、より丁寧な印象を与えることができます。

 

「お見えになる」と「お越しになる」の意味と使い方は?敬語についても解説!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「ご来訪」意味と正しい使い方、そしてビジネスの場でお客様に使う場合の注意点について詳しくご紹介しました。

さらに「来訪」「来社」「訪問」の違いや使い分け方についても見てきましたね。

似たような表現方法がたくさんあるので意味と使い方はしっかりと頭に入れておきたいものですね。

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