日々の生活の中で「語弊がある」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「語弊」と書いて【ごへい】と読むのですが、どんな場面で活用する言葉なのでしょうか。
そんな本日は「語弊がある」の意味と使い方、そして類語と例文について詳しく解説したいと思います。
「語弊がある」の意味は?
まず最初に「語弊がある」の意味について見ていきましょう。
「語弊がある」という語句は、「語弊」という名詞と、その動作の主体を示す格助詞「が」、及び動詞の「ある」から成り立っています。
「語弊」の「語」は形声文字で、ごんべんが形を、「吾」が音を示しています。
「吾」は「禦」と音が通じており、そもそもは「防ぐ」と言う意味があります。
このことから「語」は、「人の発した言葉に対して、自分を守り、言葉を返すこと」を意味する字とされます。
また「互いに言葉を交わす」という意味も持ちます。
漢字の意味合いとしては「語る」、「話す」、「答える」、「物語」などです。
また「弊」も形声文字です。
上の「敝」という部分が「へい」という音を、「廾」が形を表します。
これは「きょう」と読み、部首名としては「にじゅうあし」ともいわれます。
「敝」とは元来は、「布が破れる」や「崩れる」という意味を示します。
「廾」の部分は、古い字では「犬」であり、「犬が突然がっくり死ぬ」ことを指したともいわれます。
このため「弊」の意味は「やぶれる」、「苦しむ」、「悪い」などとなります。
これらのことから「語弊」は直接的には「発する言葉が悪いこと」、すなわち「言葉の使い方が適切でないために、相手に与えるよくない結果」や「言葉遣いに差し障りがあること」、あるいは「言語上の欠点」のことを示す名詞となります。
そして「語弊がある」とは、「言葉の使い方が適切でないために、相手に誤解を招いてしまう」、また「言葉の選択や表現の仕方が誤解され、弊害をもたらしてしまう」といった動作や状況を表します。
「語弊」の使い方は?
次に「語弊」の正しい使い方について見ていきましょう。
「語弊」という言葉は、語感や意味上からも「誤解」と似ており、使い分けが悩ましいところです。
「誤解」は「相手が言ったことの真意を間違って理解すること」や「何らかの事実を誤って理解すること」を表す語です。
一方「語弊」は前述のように、「相手に何かを伝えようとする時に用いる言葉が適切ではなく、間違った理解を招きやすい言い方。またそれによって起こる弊害」という意味です。
端的に言えば、前者は「間違って理解する」こと、後者は「間違って理解される恐れがある」こと、という微妙なニュアンスの差があります。
つまり、数学の「集合」の概念を援用すれば、「語弊」は「誤解」より意味の幅が広く、「誤解」を包含しているということです。
このため、例えば「語弊を招く」という表現は、「『誤解を招く恐れ』を招く」という趣旨になり、二重表現といえます。
また「語弊を恐れない」という言い方も、「『誤解を招く恐れ』を恐れない」という意味になり、こちらもダブり感が否めません。
いずれの場合も「誤解を招く」、「誤解を恐れない」とするのが適切な用法だといえます。
このように一般的には、「語弊」という言葉は、「語弊がある」という形で定型的に使う、と理解しておけば、おおむね誤用や混用は避けられるといえるでしょう。
「語弊」の類語と例文を教えて?
最後に「語弊」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「語弊(がある)」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 誤解を招く
- 勘違いされそうだ
- 誤った印象を与える
- 変なイメージになる
などがあります。
「語弊(がある)」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 駄作とまで言うと語弊があるかもしれないが、その作品の評価は今ひとつだ。
- それ以来、私は彼に敵意のようなものを持った。敵意とは語弊があるにしても、少なくとも反感を抱いた。
- こう言うと語弊があるかもしれないけど、あの映画は見た後に何か残るものがないんだよね。
「語弊(がある)」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
パソコンやスマホで【語弊】と検索窓に打った時に【御幣】と出てくる場合がありますが、こちらは”神祭用具”の意味合いがあるので間違わないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「語弊(がある)」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しくご紹介しました。
「語弊」と「誤解」は似たような意味を持つ言葉なので使い分けに悩むところですが、その都度、適切に表現するようにしましょう。
相手に「誤解を与えない」為にもしっかりと言葉を理解することが大事だと思いますね(笑)