会社員の男性

「ご苦労さまです」と声をかけられ、苦笑いしてしまうのは私だけではないはずです。

夫から「ご苦労さま」と声をかけられた妻の心情は穏やかではないでしょう。また、同僚に「ご苦労さまです」と言われたら「お疲れ様です」と、つくり笑顔で返したくなりませんか?

なぜ「ご苦労さまです」と声をかけられると、こんなにも苛々するのでしょうか。

そこで今回は「ご苦労さまです」の正しい使い方や目上の人や上司に敬語として使うのは失礼に当たるのか詳しく調べてみたいと思います。

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「ご苦労さまです」の使い方は?

まずは、「ご苦労さまです」の使い方について見ていきましょう。

江戸時代くらいはまだ目下から目上に「ご苦労」という言葉を使っていたという研究もあるようです。

しかし、現代では「ご苦労さまです」は目上から目下に使う言葉です。

そして、目下から目上に対して「ご苦労さまです」を使うと失礼です。

「苦労をかけたな、労ってやろう」というような、上から目線な言い方なのです。

目上に対して労いの言葉をかけるのは失礼なことなのです。

つまり、本来は同じく労いの言葉である「お疲れさまです」も失礼なのですが、こちらは目上に使っても良いとされます。

現代では「お疲れさまです」は労いの言葉というよりは、単なる挨拶言葉という感覚で使われているから、目下や目上などは関係ない、という解釈です。

ただし、特にご年配の方は「お疲れさまです」「ご苦労さまです」と同様に気分を害される方もいるようです。

とはいえ「ご苦労さまです」よりは「お疲れさまです」を使う方が無難と言えるでしょう。

「ご苦労様です」は敬語として有り?

真摯な対応

次に「ご苦労様です」は敬語として成立するものなのか調べてみました。

文化庁がまとめた「国語に関する世論調査」によると、「自分より地位や役職が上の人に対するねぎらいの言葉」について、「お疲れ様(です、でした)」を使う人が69.2%だったのに対し、「ご苦労様(です、でした)」15.1%にとどまりました。

一方で、「自分より地位が下の人をねぎらう場合」は、「お疲れ様(です、でした)」を使う人が53.4%で、「ご苦労様(です、でした)」は36.1%と、「ご苦労様です」が若干多くなるという結果になりました。

このように、現代社会では「ご苦労様です」は、目上の人が目下の人に対して使う言葉と認識されているようです。

元来の意味では、ある人の奉仕の仕事に対しての「丁寧なねぎらい」なのですが、今では「目上の者が目下の者に対して用いる言葉」だとされ、反対に地位や立場が下の者からかける言葉としては失礼、失敬に当たるとみなされています。

これは、前述のように「ご苦労」という言い方が、配下の者などをねぎらう時に使われるほか、かつての軍隊などでも、敬礼する兵に対し上官が「ご苦労」と声を掛けた慣習などもあり、一般に「ご苦労様です」は「上の立場からのねぎらい」というイメージが定着したようです。

目上の人や上司、配達業者に使う場合は?

目上の人や上司に「ご苦労さまです」と声をかけると、たとえ彼らが何も言ってこなくても、彼らの心の中であなたの評価は下がるかもしれません。

目上の人や上司の方には無難に「お疲れさまです」を使うと良いでしょう。

あるいは「お世話になっております」なども使えますね。

配達業者さんになら、こちらはお客さんという立場ですので「ご苦労さまです」と声をかけても良いでしょう。

ただ、お客さんの立場とはいえ、個人的には配達業者さんに限らず、店員さん、スタッフさんにも「ご苦労さまです」とは声をかけません。

私は「いつもありがとうございます」「お世話になっております」「助かりました」などを使うようにしていますね。

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家族や同僚に使う場合は?

悩む女性

次に「ご苦労さまです」を家族や同僚に使うのは失礼に当たらないのか調べてみました。

結論から言うと、家族や同僚は目上というわけではないので「ご苦労さまです」を使っても間違いではないのでしょう。

とはいえ冒頭でもお話したとおり、家族や同僚にも「ご苦労さまです」と声をかけるのは好ましくありません。

「~さまです」がついているならまだしも、親しい間柄だからといって「どうも、ご苦労!」なんて言った日には「私はあんたのしもべか!」なんて怒らせかねません。

どうしても親分が子分をパシらせたときに使う言葉にきこえます。

そこで「お疲れさまです」「ありがとう」を使うのがベストだと思いますね。

たとえば、家族が仕事から帰ってきた場合には「お疲れさまです」と声をかけるのが理想的です。

そして、家族の働きに感謝していることを伝えたい時はストレートに「ありがとう」と伝えましょう。

同僚に対しても家族と同じです。

部下に対してなら問題ありませんが、同僚に「ご苦労さまです」と声をかけるのは好ましくないでしょう。

また、部下に対しても「お疲れさま」を使った方が感じ良い上司になるのではないでしょうか。

総合的に考えると現代の日本では「ご苦労さまです」と使うのはあまり好ましくないことだと思います。

特に若い人はむやみやたらに「ご苦労さまです」を使わない方がいいので、そういう場合は「お疲れ様です」や「お先に失礼します」という表現で言い換えた方がいいかもしれません。

「ご苦労様です」の言い換え方を教えて?

最後に「ご苦労様です」の言い換え方をご紹介します。

それでは、広く使うことができて、相手に対して失礼にも当たらない「ご苦労様です」の言い換え方は何でしょうか。

一般的には、前述の文化庁の調査にあるように「お疲れ様です」になるでしょう。

「お疲れ様です」も「ご苦労様です」と同じように、相手の労苦をねぎらう意味で用いる言葉であり、ビジネスシーンでは、先に帰る人へのあいさつにも使われます。

これは主として同僚、目上の人に対して使いますが、目下の人に対しても広く使える言葉だともいえます。

ただ、特に中高年層などの中には、「そもそも目下の者から目上の者へ、ねぎらいの言葉をかけること自体が失礼なことだ」といった考え方もあります。

このため、立場が上の人や目上の人に対しては、「ご苦労様」も「お疲れ様」も使わずに、例えば「お世話になりました」や「ありがとうございました」、「お手数おかけし申し訳ありませんでした」や「明日もよろしくお願いいたします」といった、別の感謝やあいさつなどの言葉を使う方が無難な場合もあります。

さて「ご苦労様です」ですが、ビジネスシーンや公の場以外では、目上、目下の別なく使われることもあります。

例えば、駅前で選挙の立候補者が、道行く人に「朝早くからお勤めご苦労様です」と呼びかけたり、荷物を届けてくれた宅配ドライバーに「ご苦労様です」と伝えるときなどです。

このように、「ねぎらい」に関してどの表現を用いるかは、相手との関係、その場の状況などに応じて、臨機応変に選択することも重要だといえそうです。

まとめ

いかがでしたか?

「ご苦労さまです」正しい使い方や言い換え方、上司や目上の人に使う場合の注意点などを詳しくご紹介しました。

「ご苦労さまです」は上から目線なニュアンスがあることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

つまり「ご苦労さまです」という言葉は私生活でほとんど出番がない言葉だと思って良いです。

強いて使いどころをあげるならば、あなたがライバル視している同僚に、お前には負けないぞ!という気持ちをこめてあえて「ご苦労さまです」と声をかけるというのはいかがでしょうか。

基本的には「ご苦労さまです」は誰に対しても使わず、無難に「お疲れさまです」を使うことをおすすめします。

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