みなさんは日々の生活の中で「足を運ぶ」という言葉をよく使うと思います。
その他、「足」を使った表現方法はたくさんあると思いますが、例えば「お足元が悪い中」や「ご足労」などビジネスシーンで活用する表現方法もあります。
他にも「足が向く」や「足が遠のく」、「足が出る」や「足がつく」などの表現方法もあり、どんな意味合いや使い方をすればいいのか迷ってしまうと思います。
そんな本日は「足を運ぶ」の意味と正しい使い方、そして敬語や類語、言い換え方について詳しく解説していきましょう。
「足を運ぶ」の意味と使い方は?
まず最初に「足を運ぶ」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「足を運ぶ」は、体の器官である足にまつわる慣用的な言い方の一つです。
体の部位を比喩的に表現する言い方は大変多くの種類があります。
手、目、口などと並び、足もその一つといえます。
「足が向く」、「足が遠のく」など移動に関する用法のほか、「足が出る」、「足がつく」など隠語的な表現も数多くあります。
「足」という漢字は会意文字で、「口」と「止」とを合わせた形です。
「口」とは「人口」という言葉があるように、「人間」のことを指します。
「止」は体の下半分のことです。
また一説には「口」は膝頭のことを指し、「足」とは膝から下の部分だけを示すともいわれます。
このように「足」は、日本語で定義づければ「動物の胴体から下に伸びている部分で、主に動くことに役割を果たす部位」だといえます。
その形状から「細長い物」、「本体からはみ出た部分」などを比喩的に指すこともあり、そこから「机の足」などや、前述の「足が出る」(=予算を超えてしまう)といった慣用表現が生まれました。
一方「足を運ぶ」の「運」は形声文字で、しんにょうが形を表し、軍が音を示しています。
「軍」には「めぐる」という意味があります。
このため「運」は「歩いて巡ること」、「歩き回ること」といった意味を示します。
「車が回転して進むこと」を示す場合もあります。
これらのことから、「足を運ぶ」という語句は「自分の足を動かして、ある場所へ行く」という意味になります。
特には、「頼み事などをするために、先方のもとへわざわざ出向くこと」を示す言い方です。
「足を運ぶ」を使う際のポイントは、まさにこの最後に述べた意味合いにあります。
ただ単に「移動する」、「行く」というだけではなく、「面倒をかえりみず、わざわざ出かける」というニュアンスがこもっているわけです。
「足を運ぶ」は「相手がこちらへやって来る」行動に関してでも、「自分が相手のもとへ行く」ことに関してでも、両方の場合に使用できます。
ただし、いずれの場合にも「電話や手紙で済ませるのではなく、わざわざ意図して、体ごと出向く」という意味合いがあることには留意する必要があります。
前者の例文では「先生は朝早いのにわざわざ私の家まで足を運んでくれた」、後者では「いい記事を書くためには、資料を調べるだけでなく実際に現場に足を運ぶことも大事だ」などとなります。
「足を運ぶ」の敬語や類語を教えて?
次に「足を運ぶ」の敬語や類語を見ていきましょう。
「足を運ぶ」は“人がある場所へ出向くこと”です。
敬語表現にすると、丁寧な接尾辞「ます」を付けて「足を運びます」となりそうですが、前述した言葉の含意に注意が必要です。
「足を運ぶ」は「面倒だがわざわざ行く」という意味がこもっていますから、自分の行動を示す「足を運びます」や、謙譲表現の「足を運ばせていただく」では、相手に対し「行きたくないが行ってやるか」と失礼な、また嫌みな印象を与えてしまいます。
一方、相手が来る場合であれば「足をお運びいただく」、「足を運んでくださる」などと敬う表現ができます。
「多忙な中わざわざお越しくださり恐縮です」と感謝の気持ちを示すことができます。
「足を運ぶ」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 歩いて行く
- 足を向ける
- 向かう
- 訪れる
- 来訪する
- 赴く
- 門を叩く
- 見舞う
- 参上する
- 出ばる
などがありますね。
「足を運ぶ」の言い換え方は?
最後に「足を運ぶ」の言い換え方について見ていきましょう。
前述のように「足を運ぶ」は、一般的な会話やビジネスシーンなどでは、自分の行動については使わず、「うかがいます」、「お訪ねします」、「こちらから出向かせていただきます」、「お邪魔いたします」といった言い方に換えることが適切です。
「相手が来る」ことを言い換えるとすれば、「お越しになる」、「ご足労いただく」、「いらっしゃる」、「お運び頂く」などとなるでしょう。
※「足」に関する表現方法をまとめた記事はこちら!
・「お足元の悪い中」の意味と使い方は?ビジネスで使う場合の例文は?
・「ご足労いただき」の意味や使い方は?目上の人には使えるの?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「足を運ぶ」の意味と使い方、そして敬語や類語、言い換え方について詳しくご紹介しました。
言葉の表現方法というのは実に奥が深いものでニュアンスひとつで相手にしっかりと伝わらない場合もあるので、まずは自分自身がしっかりその言葉の意味と使い方をマスターしておくことが必要となります。
「足を運ぶ」という表現方法について詳しく解説したのでもう大丈夫でしょう!