みなさんは日々の生活の中で「ご鞭撻」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
よく結婚式などで「ご指導ご鞭撻~」と使っている人をよく見かけますがどんな意味合いがあるのでしょうか。
そんな本日は「ご鞭撻(ごべんたつ)」の意味と正しい使い方、そして類語や例文、結婚式で使う場合の注意点について詳しく解説したいと思います。
「ご鞭撻」の意味と使い方は?
まず最初に「ご鞭撻」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「ご鞭撻(ごべんたつ)」という言葉は、名詞の「鞭撻」に、漢語に付く丁寧な形の接頭語「ご」を冠した形の語です。
「鞭撻」の「鞭」という漢字は、会意文字、及び形声文字です。
「革」という字と「便」という字から構成されています。
この「革」は、「頭から尾までを剥いだ獣の皮」の形を示しています。
すなわち「皮革」の「革」です。
一方「便」は「横から見た人」と「台座」、そして「右手とボクッという音を表す擬声語」を表すという説があります。
これには「台を重ねて圧力を加え、平らにする」といった意味があるとされ、このことから、「鞭」は、「むちによって、人の都合の良いように変える」、つまりは牛や馬を人の都合の良いように変える「むち」を意味するとされています。
また「鞭撻」の「撻」は、「打つ」、「むちうつ」、「むちで叩く」といった意味合いを示す字です。
これらのことから、「鞭撻」という言葉は、一義的には「人や動物をむちで打ってこらしめること」となります。
しかし現代では、ここから転じて、「(むちを打って追い立てるように)他人に対して、より努力するように励ますこと」を示す場合が通例です。
すなわち「鞭を打って、厳しくやらせようとする」という本来の意味を比喩的にとらえ、「あたかもむち打つかのように、厳しく督励する」といった用い方がなされる言葉だといえます。
「ご鞭撻」の類語と例文を教えて?
次に「ご鞭撻」の類語と例文を見ていきましょう。
「ご鞭撻」は、前述のような意味の「鞭撻」を丁寧に述べた用法です。
「ご鞭撻」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 叱咤激励
- ご愛顧
- ご督励
- ご差配
- ご助言
- ご奨励
- ご勧奨
- お励まし
- お勧め
- ご振興
- ご助勢
- 鼓舞激励
- お教え導く
などがあります。
「ご鞭撻」の例文としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 今後も一層精進して参る所存ですので、今後とも変わらずご鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
- 若輩者でお恥ずかしいことですが、何とぞご鞭撻賜れば幸いに存じます。
「ご鞭撻」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
結婚式で「ご鞭撻」を使う場合の注意点は?
最後に結婚式で「ご鞭撻」を使う場合の注意点について見ていきましょう。
例文でも示したように、「ご鞭撻」はかなりかしこまった文章語的な言葉です。
一般的には、日常会話などで用いることはなく、公の場所や式典などの儀礼的な場面で、目上の人やお客様などに対して、自分の側がへりくだりながら、相手から一層引き立てや支援、手厚い指導をもらいたい、という意思を丁寧に伝える言い方だといえます。
とりわけ、結婚式などのおめでたい席で、主催者側があいさつを述べたり、書面で伝える際に、文章の最後に定型的に添える形が多いといえます。
その場合は特に「ご指導、ご鞭撻」と二つの言葉がセットになっていることが通例といってよいでしょう。
この二つの言葉をつなげると「今後、自分たちが進む道を正しく指し示してもらうとともに、道を誤りそうになった場合は、時に厳しく督励してほしい」といった趣旨を表すことになります。
ただ、現代では、後ほど用例を示すように、こうした重い元の意味を離れ「これからも、今まで通り変わらぬお付き合いをお願いいたします」といった、定番のあいさつ用語に変わってきています。
「ご指導、ご鞭撻」は原則として、結婚式のスピーチの場合でも書状などの場合でも「結び」、「締め」の言葉として用いることには注意が必要です。
また使う相手も、式典への来客、来場者、あるいは仲人や上司ら立場が上、目上の人に対して用います。
このため、例えば親から子へ、や先輩から後輩へ、といった場面でのあいさつでは使用は不適切だといえます。
具体的には、結婚式の最後に新郎新婦が来場者に対して、「至らないことの多い二人ですが、人生の先輩である皆様には、今後もあたたかなご指導、ご鞭撻を頂戴したく、心よりお願い申し上げます」などと使います。
また新郎新婦の両親が来客に対してお礼を述べたり、仲人への礼状や年賀状などでも定型的に用いる表現だといえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「ご鞭撻」の意味と正しい使い方、そして類語や例文、結婚式で使う場合の注意点について詳しくご紹介しました。
結婚式などかしこまった場面で使う場合は「ご指導、ご鞭撻」のふたつでワンセットと考えて使うようにしましょう。
ビジネスシーンで使う言葉というよりは式典や公の場所で使う機会が多いので是非、頭に入れておきましょう!