みなさんは普段、「蔑ろ(ないがしろ)」という言葉を見聞きしたり、使ったりしますか?
「蔑ろにされた」や「蔑ろにしてる」などと表現している人を見かけますが、一体どんな意味合いのある言葉なのでしょうか。
そんな本日は「蔑ろ(ないがしろ)」の意味や類義語、対義語、例文について詳しく解説したいと思います。
「蔑ろ(ないがしろ)」の意味は?
まず最初に「蔑ろ(ないがしろ)」の意味について見ていきましょう。
「蔑ろ(ないがしろ)」という言葉は、「蔑」という字が当てられているものの、日本語古来の表現と考えられます。
通常は「蔑ろ(ないがしろ)にする」と、後ろに動詞を補って使うことが多いといえるでしょう。
「蔑ろ」の「蔑」という漢字は、「苜」と「伐」という字から成り立っています。
前者はもともと、「かすかで目に見えない精霊(草・木に宿っているとされる魂)」を意味するとされます。
また後者の「伐」は「横から見た姿の人間が、握りのついた柄の先端に刃のついた矛を持っている形」とされ、ここから「切る」や「取り除く」といった意味を示すといわれます。
このことから「蔑」は、「あるものについて、精霊の力で退けて、存在を認めない」といった意味合いとなり、これが転じて「あなどること」を意味するようになった、という説があります。
ただ、「ないがしろ」という言葉自体については、漢語ではなく、本来は日本独自の表現から派生していると考えられます。
もともと日本語に「無きが代」という言い方があり、これが「イ音便化」され「無いが代」になったという説が一般的です。
「代」とは、「身代金」といった言葉があるように、「代わりとなるもの」を意味します。
このため「無きが代」は「代わりがない」という趣旨になります。
すなわち「代用の必要すらないに等しい」ということを示す表現です。
人についてこの言葉を使えば、「その人をないようなものとして扱う」という意味となり、ここから他人を軽蔑したり、無視したりすることを「ないがしろ」と言うようになったとされます。
この日本語表現が、漢字の「蔑」と意味合いが近いことから、この字が当てられるようになったようです。
「蔑」の一般的な訓読みは「蔑む(さげすむ)」となります。
このように「蔑ろ(ないがしろ)」は、「大事に扱わなければならないことの扱い方が、いい加減であること」、または「他人を自分より能力が劣るとみなすこと」や「あるものを価値が低いと考えたり、見下すこと」といった意味の名詞、あるいは形容動詞です。
なお古い時代には「しまりのない、だらしないさま」といった意味合いもあったようです。
「蔑ろ(ないがしろ)」の類義語と対義語は?
次に「蔑ろ(ないがしろ)」の類義語と対義語について見ていきましょう。
「蔑ろ(ないがしろ)」の類義語には次のようなものがあります。
◆類義語
- 軽蔑
- 粗略
- 卑しみ
- おろそか
- 侮蔑
- なおざり
- ゆるがせ
- 見くびり
- 見下し
- 侮り
- いい加減
- 適当
- アバウト
などがあります。
「ものごとをいい加減に扱う」という意味では、「なおざり」という表現もよく使われますが、これは一般的な行動や名詞について使われることが多いようです。
例えば「仕事をなおざりにする」、「なおざりな作業」などです。
これに対し「蔑ろ(ないがしろ)」は、本来は大切にし、尊重されるべき人や物に対して、粗略に扱う行為を特に指し示します。
次の項でその例文を示します。
なお「蔑ろ(ないがしろ)」の対義語では次のようなものが挙げられます。
◆対義語
- 評価
- 尊敬
- 大切
- 尊重
- 重用
- 大事
- 丁寧
- 慎重
- おそるおそる
- 慈しみ
- 愛用
などがありますね。
「蔑ろ(ないがしろ)」の例文を教えて?
最後に「蔑ろ(ないがしろ)」の例文をご紹介しますね。
「蔑ろ(ないがしろ)」の例文には次のようなものがあります。
◆例文
- 他人をないがしろにするな。
- 親をないがしろにしてはいけない。
- 学問をないがしろにするとは、許されないことだ。
- 時間をないがしろに過ごすのは、まったく惜しいことです。
「蔑ろ(ないがしろ)」という表現を使う場合は是非、参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「蔑ろ(ないがしろ)」の意味や類義語、対義語、そして例文について詳しくご紹介しました。
最後におさらいしておくと「物事をいい加減に扱う」や「人のことを見下すような態度」という意味合いがあります。
「蔑ろ(ないがしろ)」という表現方法を活用する場合は是非、参考にしてください。