普段、みなさんは「陳謝」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「陳謝」と聞いて普通に”謝る”ことと何か違いがあるのかな…と学生時代にふと疑問に思ったことがありますね。
「謝罪」と「陳謝」の意味に違いも気になっていました。
そんな本日は「陳謝」の詳しい意味と正しい使い方、そして「謝罪」との違いや使い分け方について見ていきましょう。
「陳謝」の意味と使い方は?
まず最初に「陳謝」の意味と使い方について見ていきましょう。
「陳謝」という言葉は、相手に対しておわびをする際の表現の一つです。
「陳謝」の「陳」という漢字は、もともとは「田んぼを取り巻く盛り土」のことを指すという説があります。
「中央部分が低く、周囲が小高い丘のようになっている土地」を意味し、その低い平たんな部分に物を置くことから、「平面に物を並べる」という意味に転じたとされます。
そこから「並べる」、「敷いて置いていく」といった用法になったようです。
一方「謝」という字ですが、これはごんべんが形を表し、つくりの「射」が音を示します。
「射」は弓を射ることですが、「去る」という意味も示すとされます。
すなわち「謝」は「言葉を残して去る」ということから、「別れを告げる」、あるいは「謝る」という意味に転じました。
このように「陳謝」には、ただ謝るというだけではなく、「理由や事情を披瀝した上で、謝る」というニュアンスがあります。
意味としては「問題を起こしたことについて、その訳や事情を述べながら、おわびする」ということになります。
通常使用することの多い「おわびする」や「謝る」よりも、かしこまった、公式な場面で使用する言い方だといえます。
例えば、政治家など公的な立場にある人、あるいは有名人などが、不祥事や不始末について公開の場で釈明し、おわびをするシーンで、よく使用する事例を見ることがありますね。
「陳謝」の類語と例文を教えて?
次に「陳謝」の類語と例文について見ていきましょう。
「陳謝」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 深謝
- 謝する
- 許しを請う
- 懺悔する
- 平伏する
- 申し訳なく思う
- すまないと思う
- 平身低頭する
「陳謝」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- このたびの不祥事は、私どもの衛生管理の不徹底によるものであり、ご迷惑をお掛けしたことを心より陳謝いたします。
- 私の監督不行き届きのため、部下がこのような問題を引き起こしまして、深く陳謝申し上げます。
「陳謝」の類語と例文についてまとめてご紹介しました。
是非、参考にしてみてくださいね。
「陳謝」と「謝罪」の違いと使い分け方は?
最後に「陳謝」と「謝罪」の違いと使い分け方について見ていきましょう。
相手に「あやまる」行為を示す用語は、日本語には多くの種類がありますが、中でも「謝罪」は最も一般的なものだといえるでしょう。
では「謝罪」と「陳謝」の違いは何でしょうか。
「謝罪」はその字の成り立ちの通り、「罪や過ちをあやまる」という意味を示します。
「自分が、他人に迷惑や損害を掛けたことについて、申し訳ないという気持ちを表す」という用法の言葉です。
さほどかしこまった場面でなくても、広く使用することができます。
一方「陳謝」は、前述のように「理由を述べてあやまる」という、少し格式張った、公的なイメージの言い方です。
「謝罪」は広く一般的に、「あやまる」行為全体を表すといえますが、「陳謝」は主に公的な場面で、「理由や事情を釈明しつつわびる」という点が大きな違いです。
このため次のような文脈では、「陳謝」を使うのは不適切だといえます。
例えば「彼はひたすら無言で土下座し、頭を土にすり付けて謝罪した」、あるいは「あの男はだまって金だけ送りつけてきたが、これで謝罪でもしたつもりなのか」といった表現です。
これらはいずれも、言い訳などの釈明がない状況ですから、「陳謝」ではありません。
またおおやけの場面ではない状況、例えば「さっきは皆のいる前でばつが悪かったから、後で裏に呼んでこっそり謝っておいたよ」といった時にも、やはり「陳謝」の使用はふさわしくありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「陳謝」の意味と正しい使い方、そして「謝罪」との違いと使い分け方について詳しくご紹介しました。
普通に”謝る”というよりは何か問題を起こした際に、理由や事情をしっかりと説明しながらお詫びをするということになります。
芸能人や政治家が不祥事を起こした時に、記者会見を行い、謝りの言葉を述べる際に「陳謝」という言葉を使うことがよくありますね。
公式の場面でかしこまった謝り方をする場合に「陳謝」を使うと良いでしょう。