日々、生活している中でみなさんは「慕わしい(したわしい)」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「慕わしい」と聞いてどんな意味合いがあるのか、そしてどんな場面で使う表現方法なのかあまり理解していない人も多いかと思います。
そんな本日は「慕わしい」の意味と正しい使い方、そして類語や例文について詳しく解説したいと思います。
「慕わしい(したわしい)」の意味は?
まず最初に「慕わしい」の意味について見ていきましょう。
「慕わしい(したわしい)」という言葉は、「慕う(したう)」という動詞を形容詞化した表現です。
動詞を形容詞化するこうした言葉の例は、他にも多くあります。
「嘆く」から「嘆かわしい」、「疑う」から「疑わしい」などといった言葉です。
「男」、「子供」から「男らしい」、「子供らしい」と派生するように、名詞などの他の品詞から形容詞化する場合もあります。
「慕わしい」は古語でも使われており、やはり「慕ふ」という動詞を形容詞化した用法です。
意味合いとしては、古語も、現代語もほぼ同じように使われています。
さて「慕わしい」の「慕」という漢字は、会意文字、及び形声文字です。
「莫」と「心」という字から構成されています。
「莫」とは、もともとは「草むらの形と太陽の形」を示したものとされます。
これは「太陽が草原に沈むさま」を表したといわれ、すなわち「なくなる」という意味を示したようです。
これに人の「心臓」の示す「心」が付き、「慕」は「なくなったものを懐かしく思う」といった意味合いを指す字となったようです。
このように、「慕う」は「恋しく思う」、「心がひかれなつかしく思う」や「離れがたく思ってあとを追う」といった意味の言葉です。
あるいはこれらが転じて「学問・人徳などを尊敬して、それにならおうとする」ことや、「逃げる相手を追う」といった意味でも使われます。
この形容詞形が「慕わしい」ですから、意味としては「心を引かれ、好ましく、または懐かしく思う様」や、「心がひかれて、そばに近づきたくなる気持ち」を表すといえます。
「慕わしい(したわしい)」の正しい使い方は?
次に「慕わしい」の正しい使い方について見ていきましょう。
このように、「慕わしい」という言葉は、「慕う」ような気持ちを抱くさまや、そうした人の心の状態を表す言い方だといえるでしょう。
「慕わしい」に似た意味を示す言葉に「懐かしい」、「恋しい」といった用語があります。
これらの使い分けはどのようにすればいいのでしょうか。
「懐かしい」は、特に過去の事柄や、離れていて今は会えない人、物などについて、「再び会いたい」といった心情や「当時の思い出に浸る」状況を表すものです。
また「恋しい」は、人や物、場所などに心をひかれて、じっとしていられない、居ても立ってもいられない焦燥した気持ちを表わすといえます。
ある意味で、心がひかれる度合いとして、これら三つの言葉の中では最も強いといえるかもしれません。
このため「恋しい」は異性に対して用いられることも多い表現です。
この二つの言葉に比べると、「慕わしい」は、主として、現在の時点で、ある特定の人間にあこがれ、心が引かれる様子を表わすといえます。
「恋しい」、「会いたい」、「好きだ」といった直接的な表現ではなく、やや婉曲的に、ほのかなあこがれの思いをにじませる、古語の香りが強い上品な表現だといえるでしょう。
「慕わしい(したわしい)」の類語と例文は?
最後に「慕わしい」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「慕わしい」の類語としては、上記の二語のほかには、次のようなものが挙げられます。
◆類語
- 可愛らしい
- ゆかしい
- 大好きな
- 愛おしい
- 惚れ惚れする
- 好ましい
- 心惹かれる
- 願わしい
- 首っ丈な
- お気に入りの
などがありますね。
「慕わしい」の例文では、次のようなものがあります。
◆例文
- 私にはかねて慕わしく思っている人がいます。
- あの方がとても慕わしい。
- あなたを、お慕わしく思っております。
「慕わしい」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたか?
「慕わしい」の意味と正しい使い方、そして類語と例文について詳しくご紹介しました。
おさらいをしますと「慕わしい」の意味合いは相手を「慕う」心を表現した言葉になりますね。
人様に対して心を引かれる様を表す表現方法と覚えておくと良いかもしれません。