みなさんは普段、「~させていただく」という言葉を見聞きしたり使ったりすると思います。
筆者も使いすぎではないかと思うくらい「させていただく」を使っているんですが、どのような意味合いがある言葉なのか気になると思います。
そんな本日は「させていただく」の意味と正しい使い方、そして敬語として間違っているのかについて詳しく解説したいと思います。
「させていただく」の意味と使い方は?
まず最初に「させていただく」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「させていただく」という語句は、助動詞の「させる」、接続助詞「て」、および丁寧な表現をつくる補助動詞「いただく」で構成されています。
「させる」は使役の助動詞で、「他の者に、あることをするのを許す」、「するのに任せる」、あるいは「ある状態を引き起こす」といった意味合いを持ちます。
「いただく」は「もらう」をへりくだった形にした表現です。
「させていただく」の場合は、「~てもらう」の謙譲表現ですので、「ある物事を自分が行うことについて、相手に認めてもらう」といった趣旨を示します。
このように「させていただく」は、自分の行為や動作について「相手の許しのもとに行う」といった意味合いを持つ、へりくだった言い方です。
謙譲表現の一種として補助動詞的に用いられます。
「させていただく」のポイントは、謙譲の言い方の中でも「自分が行動するに際して、相手の指示、あるいは許可が先行している」という意味合いを含んでいるということです。
または「相手からの好意や恩恵を受けて、自分がものごとを行う」というニュアンスもあります。
このため、単に「何かをする」ことすべてについて「させていただく」と言えば、それでへりくだったことになるわけではありません。
使用する際はこの点に注意が必要です。
「させていただく」は、適切に使用すれば的確に謙譲の旨を示すことができる表現といえますが、濫用するとかえって失礼な、厚顔無恥な印象を与えかねません。
「させていただく」は敬語として間違っている?
次に「させていただく」は敬語として間違っているのかについて見ていきましょう。
「させていただく」という語句そのものは、文法上の構成からしても正しい表現だといえます。
いわゆる過剰な「二重敬語」には当たりません。
しかし使用する際は、前述したように「相手の許可や好意、恩恵」がある行動に関して、動詞の後に付与して述べることが重要です。
例えば「お約束のお時間に訪問させていただきます」であれば、相手の許可のもとに訪ねる趣旨となり、正しい言い方だといえます。
しかし、「株で一億円稼がせていただいた」や「このほど新商品を発売させていただきました」といった表現では、相手の意思とは何の関係もない、自己顕示のような言い方に聞こえます。
こうした用例は「間違った、慇懃無礼な敬語」とでもいうべきでしょう。
ただ最近は、「私は○○高校を卒業させていただいた」や「先生のご本を読ませていただきました」といった言い方も、違和感なく使われる傾向があります。
卒業は学校の好意でするものではありませんし、本も先方の許可や恩恵で読むことはあまりないでしょう。
これらは、「実際には受けていない許可や恩恵を、あたかも受けているかのように見立てて、相手を敬っていることを示す丁寧表現」ともいえます。
「させていただく」の本来の用法からは逸脱してはいますが、言葉の用例は時代や社会背景に応じて変化するものであり、こうした表現も徐々に受け入れられていくのかもしれません。
「させていただく」の類義語と例文を教えて?
最後に「させていただく」の類義語と例文をご紹介したいと思います。
「させていただく」の類義語には次のようなものがあります。
◆類義語
- させてもらう
- 拝見する
- 拝読する
- 拝受する
- 拝謁する
- 持参する
- 謹んで~する
などがありますね。
「させていただく」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 僭越ながらごあいさつさせていただきます。
- ここにはもう三十年ほど勤務させていただいております。
- 私がご案内させていただきます。
- 喜んで出席させていただきます。
「させていただく」の類義語と例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「させていただく」の意味と正しい使い方、そして類義語と例文について詳しくご紹介しました。
おさらいをすると「させていただく」は自分が行動を起こすことを相手に認めてもらうというような意味合いを込めています。
ビジネスの場などで上司や目上の方に使うことが多い言葉ではありますが、濫用すると逆に失礼にあたるので使用頻度は考えた方が良いですね。
「させていただく」を活用する場合は是非、参考にしてください。