日々の生活の中で「お手を煩わせる」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
ビジネスシーンでも意外と活用する「お手を煩わせる」という言葉ですが、間違った使い方をしていても意外と気が付かない人も多かったりします。
社会人として最低限、意味と使い方だけはマスターしておきたいところですね。
そんな本日は「お手を煩わせる」の詳しい意味と正しい使い方、そしてビジネスシーンで使える例文をご紹介したいと思います。
「お手を煩わせる」の意味と使い方は?
まず最初に「お手を煩わせる」の意味と使い方について見ていきましょう。
読み方については大丈夫だと思いますが、念のために「お手を煩わせる」と書いて【おてをわずらわせる】と読みます。
「お手を煩わせる」は、「手を煩わせる」の丁寧な表現です。
「煩わせる」の「煩」という漢字は、「火」と「頁」という字から成り立っています。
「頁」という字ははもともと、人の頭を表します。
このため「煩」は「頭が熱を持って痛むこと」を意味しました。
これが転じて「頭をかき乱す」、「頭を悩ませる」、あるいは「苦しませる」、「うるさい」、「面倒だ」といった意味を持つようになりました。
例えば「(病気を)煩う」、「思い煩う」、「煩雑」といった言葉がその用例に当たります。
「煩わせる」は「煩う」の他動詞の形ですので、相手に対し「苦しい思いをさせる」、「世話を焼かせたり、面倒をかけたりする」、「わざわざ手間をかけ、何かをしてもらう」、「心を悩ませる」といった意味を示します。
やや古めかしい表現として「煩わす」という言い方もされます。
また「お手を煩わせる」の「お手」は、相手のこと自体や、その手の先、あるいは筆跡のことを敬って言う表現です。
ほかには例えば、「お手を拝借します」、「お手をお上げください」といった言い方が挙げられます。
こうしたことから、「お手を煩わせる」は、地位や立場が上位にある相手を敬って「ご面倒やお手数をおかけする」、「何かをわざわざしてもらって、ご迷惑をかける」と、恐縮しながら述べる際の表現だといえます。
現在のビジネスシーンなどでは、「お手を煩わせる」を使う場合は、「心を思い悩ませる」、「精神的に苦しい気持ちにさせる」といった、内面的な意味合いはあまり含みません。
一般的には、本来は立場が下であるこちら側が進んで行うべき事柄を、「わざわざあなた様にやっていただき、申し訳なく、かつありがたいことです」とへりくだる場面での使用が、もっぱらだといえるでしょう。
「お手を煩わせる」の類語と敬語は?
次に「お手を煩わせる」の類語と敬語について見ていきましょう。
「お手を煩わせる」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 世話を焼かせる
- 骨を折らせる
- 厄介をかける
- 面倒をかける
- 迷惑をかける
- 手を焼かせる
- 手こずらせる
- 困らせる
- うるさがらせる
「お手を煩わせる」はそれ自体が相手を敬って使う表現ですが、似たような敬語の言い方としては、次のようなものが挙げられます。
◆例文
- ご負担をおかけする
- お骨折りいただく
- ご厄介になる
- お手間をとらせる
- ご面倒をおかけする
- ご迷惑をおかけする
「お手を煩わせる」の類語と敬語の言い方をご紹介しました。
ビジネスで使える例文は?
最期に「お手を煩わせる」をビジネスシーンで活用する場合の例文をご紹介します。
ビジネスの場で「お手を煩わせる」を使う際は、地位や立場が上の人や、顧客、取引先など持ち上げるべき相手について敬うとともに、自分側をけんそんした形で表現します。
また「想定外にも面倒をかけてしまった」といった場合に、謝罪する際の言い方としても使われます。
そうした場面では一般的な「ご迷惑をおかけし」などより、少し気の利いた大人びた表現として、上手に用いたい言葉です。
例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 先生のお手を煩わせるまでもなく、私どもで処理させていただきます。
- このたびは当方の不手際のために、大変お手を煩わせてしまい、まことに申し訳ありませんでした。
- 何度もお手を煩わせて恐縮ですが、今一度、こちらの書類の内容の方をご確認いただけますでしょうか。
- こちらのパックにご加入いただければ、次回からはいちいち、お手続きにお手を煩わせることがなくなります。
「お手を煩わせる」の例文をご紹介しましたが、ビジネスシーンなどで活用する場合は参考にして頂けたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「お手を煩わせる」の詳しい意味と正しい使い方、そしてビジネスシーンで活用することが出来る例文をご紹介しました。
何かと使う場面が多い言葉ですが、間違った認識で使っていると恥をかくだけではなく相手にしっかりと伝わりません。
この機会に意味と使い方をしっかりと覚え、日々の生活の中で活用して貰えたらと思います。