普段、みなさんは「お汲み取り」という言葉を聞いたり使ったりしますか?
若い世代の人はあまり聞きなれない言葉だと思いますが、どんな意味があるのでしょうか。
そんな本日は「お汲み取り」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や例文について解説していきたいと思います。
「お汲み取り」の意味は?
まず、最初は「お汲み取り」の意味について見ていきましょう。
「お汲み取り」は、「汲む」と「取る」という動詞が連なった「汲み取る」という言葉に、敬語の接頭辞「お」を付けた丁寧な言い方です。
「汲む」は、本来は液体をすくい取ることです。
「水を汲む」、「酒を汲む(あるいは酌む)」などと使います。
これに「取る」を付けることで、液体を、何かの用具、例えばひしゃくやポンプなどを使って、低いところから高いところに向けてすくい上げる動きを示します。
物理的に液体をすくい上げるだけではなく、内面的な気持ちをも表面に浮かび出させる、といった意味にも転じて使用されます。
この場合の「汲み取る」は、「相手が言おうとしていることを理解し、暗黙の内に察する」、あるいは「表には出ていない相手の心の内や裏の事情について、こちらから考え、推察する」という意味合いになります。
さらに言い換えれば、「表面化していない事象を分かるようになる」、「精神的な問題を考え、知覚する」、「物事の内側にある意味をとらえる」といったニュアンスも含む表現です。
これを丁寧にした「お汲み取り」の場合は、「お汲み取りください」、「お汲み取り願います」など、相手に対して丁重に依頼する際に使う表現だといえます。
このため自分に対して「お汲み取る」とは言いません。
相手に対して、「詳しくは説明できない、あるいは言葉にはしないが、自分の側にもいろいろと込み入った事情があることを察してほしい」と丁寧にお願いする言い方です。
「お汲み取り」の正しい使い方は?
次に「お汲み取り」の正しい使い方について見ていきましょう。
「お汲み取り」は、主として、相手の要請や希望に添うことができず、申し出を断わらなければならない場合に使われる表現です。
「そちらの意に沿いたいのはやまやまだが、こちら側にもいろいろ難しい事情があり、どうしても都合がつかず、断るしかない」といった状況や場面です。
相手に対して「こういう答えをすれば失望するだろう」と重々分かってはいるものの、苦渋の回答だという背景を推量してほしい、と「誠意」を見せる言い方だともいえます。
その意味で、相手に対して若干「警告」や「予告」の意味を含む「お含み置き」や「ご承知おき」とは、ニュアンスが異なります。
「お汲み取り」は、相手に対しておわびの気持ちを示す際に付言する表現です。
「一見あなたには悪い結果だが、善処した末の結論であって、決して一方的な通告ではありません」と理解を求めることで、良好な関係継続への期待をにじませた言葉だもといえるでしょう。
「お汲み取り」の類語と例文を教えて!
最後に「お汲み取り」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「汲み取る」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- はかり知る
- 見破る
- 看破する
- かみ分ける
- 分かる
- 理解する
- かぎ分ける
- 飲み込む
- 推し量る
- 推察する
- 推理する
- 忖度する
- 斟酌する
- おもんぱかる
「汲み取る」の類語をまとめておきました。
これらを丁寧にした「お汲み取り」の類語もご紹介しますね。
◆類語
「お汲み取り」の類語は以上となります。
「汲み取る」や「お汲み取り」の例文としては、次のようなものがあります。
◆例文
- 君には、相手の気持ちを汲み取るやさしさがあまりないようだ。
- 今回はご希望に添えませんが、当方の事情もお汲み取りのうえ、なにとぞご容赦くださいますようお願いいたします。
- まことに不本意ながら、このたびはお断り申し上げます。諸般の事情がございますことを、どうぞお汲み取りいただければ幸いです。
「汲み取る」や「お汲み取り」の例文をご紹介しました。
例文をご紹介することでより一層、詳しい意味や使い方が理解できたと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「お汲み取り」の意味と正しい使い方、そして類語や例文を交えて詳しくご紹介しました。
これで「お汲み取り」については大丈夫だと思うので、使うときがありましたら是非、参考にしてみてくださいね。