気にしないという文字

相手に”気にしないで”という意味合いを込めて「お気になさらずに」と伝える場面というのは私生活の中で多々あるかと思います。

では、「お気になさらずに」という言葉を使う場面や相手などは特に気にしなくてもいいのでしょうか。

そんな本日は「お気になさらずに」の意味と正しい使い方、目上の方や上司に使う場合は失礼にあたるのかについて詳しく解説したいと思います。

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「お気になさらずに」の意味は?

まず最初に「お気になさらずに」の意味について見ていきましょう。

「お気になさらずに」は、「気にする」という表現が元となっている語句です。

これに敬語をつくる接頭辞「お」をつけ、「する」を敬語形の「なさる」に変化させた、丁寧な言い方です。

さらに「お気になさらずにいてください」など、後半に続く提案、要請の言葉を省略した形となっています。

「おはよう」、「こんにちは」、「ごめん」など、日本語のあいさつ表現ではこのように、文全体を省略し、言いやすい部分だけを残した簡便な言い方が多くみられます。

さて「気」という字は、「氣」という漢字の略字体です。これは「气」の内側に「米」という字で成り立っています。

「气」には湯気が立ち上がるといった意味があります。

米は文字通りお米のことですから、「氣」はそもそもは「お客さんをもてなすために出す、蒸した米」のことを指すとされます。

そこから転じて、「気」は「自然現象の気体」、あるいは「目に見えない力」や「あるものの勢い」といったものを示す漢字となりました。

そして今では「気」とは、主として「心の動き」、すなわち「息」、「意識」、「精神の向き」、「心遣い」、「興味や関心」など、人の心の変化を細かく模写する言葉となっていきました。

「気」は人間の生きる営みとは切っても切り離せない概念を持つ語句となり、関連する慣用句は非常にたくさんの種類に上ります。

「気にする」もそのうちの一つで、「心遣いや心配」という「気」を持つという趣旨の言葉です。

つまり「心にとめて不安に思う、心配する」という意味となります。

「お気になさらずに」は、「気にする」を相手を敬って丁寧に言う表現ですので、「ご心配無用にお願いします」「不安に思っていただくほどのことではありません」と、気遣って申し述べる言い方だといえます。 

「お気になさらずに」の正しい使い方は?

次に気になるのが「お気になさらずに」の正しい使い方について見ていきましょう。

「お気になさらずに」は、一般のやり取りやビジネスシーンでは、主に自分と関係することで相手に失敗などがあって、恐縮していたり謝罪を受けた場合に、相手を思いやって言う言葉です。

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例を挙げると、相手から仕事上のミスに対して謝罪を受けた際に「いえいえ、チェックが足りなかったこちらにも手落ちがありますので、どうぞお気になさらずに」などと使います。

あるいは、相手からある配慮や心配りを受けた際、そのことが特に必要ではなく遠慮したいようなときに、柔らかく断る言い方でもあります。

例えば、相手を訪れて立ち話をしている最中、席を勧められたような場合に、「いえもう失礼しますから、お気になさらずに」と述べるケースです。

相手からの気遣いをむげに断るのは無礼に当たりますので、「その必要はありません」という趣旨をやんわりと、婉曲に伝える表現だといえます。

そのほかには、相手に対してのアドバイス、あるいは慰めなどを表す言い方としても使われることがあります。

「彼が落ち込むのはいつものことだから、お気になさらずに」、「子供が遊んでいて怪我するのはよくあること。お気になさらずに」などです。

目上の方や上司に対して「お気になさらずに」を使うのは失礼?

最後に目上の方や上司に対して「お気になさらずに」という表現方法を使うのは失礼に当たるのか解説していきます。

「お気になさらずに」は、相手から謝罪を受けた場合や、配慮を申し出られたときに、丁寧に返答する際の言い方です。

特に取引先や上司など目上であったり、立場が上の人から、不手際などについておわびを受けた場合には、「いえ、ご指摘を受けむしろありがたく思います。どうぞお気になさらずに」のように使うと、相手の恥じ入る思いなどを和らげる表現となります。

訪問先で目上の方から茶菓などをすすめられた場合にも、「結構です」と直裁に断ると不快感を与えてしまいます。

その場合にも「すぐおいとましますので、お気になさらずに」と表現すれば、失礼に当たらず適切です。

このように「お気になさらずに」は、上司などに対して使っても必ずしも失礼ではありませんが、場合によっては「放っておいてほしい」と突き放すような意味に捉えられることもあります。

また口頭ではさほどでもなくとも、文面ではやや上からの目線を感じさせる表現となる場合もあります。

使用する場面や状況を考え、気になる際は「お気に留められませんよう」、「ご心配なさいませんよう」などと言い換えることも検討するとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「お気になさらずに」意味と正しい使い方、そして目上の方や上司に対して使う場合は失礼にあたるのかについて詳しくご紹介しました。

第三者から謝罪を受けた場合に、相手の気持ちを思いやって返す言葉だということが分かったと思います。

ビジネスシーンなどでも目上の方や上司に対して使うことは必ずしも失礼に当たることはないので、場面を選んで使うようにすると良いでしょう。

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