みなさんは「おいとまする」という言葉を日ごろから使ったりしますか?
最近の若い人達は「おいとまする」という言葉自体、聞きなれない表現だと思いますし、なかなか使う機会も少ないかもしれませんね。
そんな本日は「おいとまする」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語や敬語、例文をご紹介したいと思います。
「おいとまする」の意味と使い方は?
まずは、「おいとまする」の詳しい意味と正しい使い方を見ていきましょう。
「おいとまする」は敬語の接頭辞である「お」に「いとまする」という動詞が連なった構成の言葉です。
「いとま」とは漢字で「暇」と書きますね。
奈良時代の万葉集にもみられる古い言葉で、元来は物事と物事の間にできる空白のことを指し、それが転じて「休み」という意味になったとの説があります。
あるいは、同じ古語で忙しいという意味である「いとなし」の「いと」、すなわち「休み」という言葉に「ま」(=間)がつながって成立したとの見方もあります。
「いとま」には何もすることのない時間、つまり「ひま」や「休暇」という意味があります。
そのほか、仕事を解雇したり辞職したりすること、離婚することや縁を切ること、といった意味合いもあり、これらはいずれも「休み」から派生した言い方です。
日本語では、相手や世間に対して悪い印象がある表現の場合、直接的な言葉を避け婉曲に言い表すことがよくあります。
解雇や別れを「いとま」と言い換えるのもこれに当たりますね。
「いとま」を願うという言い方で「いとま乞い」という表現があり、別れを告げることや休暇をもらいたいと頼むことを指します。
元来は「休暇を求める」という意味で、昔、奉公人などが主人の家を離れる際に使われました。
それが婉曲的な言い方として、「やめさせていただく」「お別れを申し上げる」にも意味合いが広がりました。
「休暇をもらう」、「職をやめる」のいずれの用法でも「いとまを乞う」とは、目上の人に対しての非常にへりくだった言い方といえるでしょう。
逆に、主人や雇用主の方から「いとまを出す」という言い方もあります。
「あいつを解雇した」とは直接的には話しにくいので、「この前いとまを出したよ」とやんわり伝える表現です。
「おいとまする」はこの「いとま乞い」を丁寧に換えた言い方と考えられます。
すなわち、「おいとま乞いをする」が短縮化し「おいとまする」になったということです。
これは「いとま乞い」と同じく、相手に別れを告げたい、その場を辞去したいという意味になります。
ただし「いとまを乞う」と異なるのは、「おいとまする」は主として、そのときその場を辞去する際に使われるという点です。
前述のような「休暇をもらう」「仕事を辞める」の表現では使われません。
「おいとまする」は、帰りたいという意志を示す婉曲的な言い方ですから、主には謙譲語として使われます。
お客や取引先などとして相手に招かれ、宴や用件が一段落した頃合いをみて、先方に別れを切り出す際に用います。
「そろそろ帰ります」という言い方では直接的過ぎて、もてなしてくれた相手に失礼に当たります。
このためやんわりと「ではぼちぼち、おいとまします」など、その場の雰囲気を壊さないように配慮して使うときの言い回し方になりますね。
「おいとまする」の類語や敬語は?
次に「おいとまする」の類語や敬語について見ていきましょう。
「おいとまする」の類語を下記にまとめておきます。
◆類語
- 帰る
- 戻る
- 行く
- 引き揚げる
- 立ち去る
- 辞する
- 辞去する
- 拝辞する
- 暇を告げる
- 下がらせていただく
- 随分と長居しました。そろそろおといましなければなりません。
- お邪魔しました。これでおいとまいたします。
- おいとましようとすると、相手に『では、そこまでお送りします』と言われた。
- もうこんな時間か。では、おいとましましょうかね。
などがあります。
これを敬語にした言い方としては、
などがあります。
「おいとまする」を使った例文は?
最後に「おいとまする」を使った例文について見ていきましょう。
「おいとまする」の例文には次のようなものが挙げられます。
◆例文
「おいとまする」の例文をご紹介しましたが、例文を交えたほうがより一層、理解が深まりますね。
「おいとまする」という言葉を使う場合は是非、参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「おいとまする」の意味と正しい使い方、そして類語や敬語、例文を詳しくご紹介しました。
正しい認識で相手に誤解を与えないようにしっかりと言葉を伝えたいものですよね。