みなさんは日々、生活をしている中で「懇意(こんい)」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
よく「懇意にしていただく」や「懇意にしている」などという表現を聞いたりしますが、どんな意味があるのでしょうか。
そんな本日は「懇意」の意味と正しい使い方、そして類義語や対義語、例文について詳しく解説したいと思います。
「懇意(こんい)」の意味は?
まず最初に「懇意」の意味について見ていきましょう。
「懇意」という言葉は、名詞で「こんい」と読みます。
丁寧な形をつくる接頭語「ご」を付けて「ご懇意」と表現することもあります。
「懇意な」、「懇意だ」と形容動詞的に活用する場合もあります。
「懇意」の「懇」という漢字は、会意文字であり、かつ形声文字です。
「貇」と「心」の字から構成されています。
「貇」は「獣が背を丸くして獲物に襲いかかろうとする」という様子と、人の目を強調した形を示したものとされます。
獣に対峙する人という意味で、「とどまる」や「ふみとどまる」といった意味を指すとの説があります。
「心」は「心臓」のことですから、「懇」は「一定の範囲内に心をふみとどめておく事」を意味し、そこから転じて「ねんごろ(心がこもっているさま)」を意味する字になったとされます。
そして「意」は、会意文字で、「音」と「心」の字から成り立っています。
「音」はそもそもは、刃物と口に線を一本加えた形であり、弦や管楽器の音を示す意味合いがあります。
「心」は「心臓」や「気持ち」のことですから、「意」は言葉(音)では表せない「こころ」や「おもい」を意味するとされます。
このような成り立ちから、「懇意」は「親しく交際していること」や「仲よくつきあうこと」、あるいは「遠慮のいらない間柄であることや、そのさま」を意味する言葉だといえます。
また歌舞伎の台詞では、「親切な心」や「好意」を示す言い方もあるようです。
いずれにしても「懇意」は、相手と親しいこと表す、かしこまった、堅い言い方だといえます。
「懇意」の使い方は?
次に「懇意」の正しい使い方について見ていきましょう。
「懇意」はこのように、親密さを示すかしこまった表現で、相手を敬ったり、持ち上げる意味合いを込めて「親しくしていただきありがたいことだ」といったニュアンスで、用いる場合が多いといえます。
なお「懇ろ(ねんごろ)」という和語がありますが、これには一般的な「親しい」という意味のほかに、特に「男女の情を交わした」といった意味があります。
しかし「懇意」にはそうしたニュアンスは含まれません。
「懇意」に類似した表現には、「善意」、「好意」、「厚意」といった言葉があり、使い分けが悩ましいところです。
「善意」は、奉仕の意味が含まれる社会福祉的な行為に用いることが通例です。
「善意の募金」といった用例です。
「好意」は「彼に好意を寄せる」のように親愛の情を示す言葉で、「厚意」はさらに深い思いやりを示す言い方となります。
「日頃のご厚意に感謝いたします」のように使います。
これらに対し、「懇意」は相手との関係が良好であることをかしこまって述べる言い方であり、恋愛関係などというより、ビジネスなど一般的な付き合いについて、その親密さを強調する言葉だといえるでしょう。
「懇意」の類義語・対義語・例文を教えて?
最後に「懇意」の類義語・対義語・例文をご紹介します。
「懇意」の類義語には次のようなものがあります。
◆類義語
- 親しい
- 親密
- 近しい
- 身近
- 気易い
- 心安い
- 好意的
- 友好的
- 仲むつまじい
- フレンドリー
- 太いパイプがある
などがあります。
一方、「懇意」の対義語としては次の言葉が挙げられます。
◆対義語
- 避ける
- 敬遠
- 一線を引く
- 疎遠
- 遠ざける
- 没交渉
- 無縁
- 水と油
- 緊張関係
- ぎくしゃくした
- 冷え冷えした
- 険悪
などがあります。
「懇意」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- あの方とは二十年来懇意にしていただいている。
- 社長には日頃ご懇意にしていただいています。
- 彼は僕とは大変懇意なので、間違いなく聞き入れてもらえるだろう。
「懇意」の類義語・対義語・例文をまとめてご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「懇意」の意味と正しい使い方、そして類義語や対義語、例文について詳しくご紹介しました。
主にビジネスシーンなどでよく使う表現方法なので、意味や正しい使い方については頭に入れておくと良いでしょう。
相手と良好関係を保っているときに、より一層親密さを出し相手を持ち上げる場合に使う表現方法と覚えておいてください。