日々の生活の中で「心苦しい」という言葉を見聞きしたりしますか?
「心苦しい」という言葉を聞くとあまりポジティブな印象を受けないと思いますが、詳しい意味や正しい使い方を理解していますか?
そんな本日は「心苦しい」の意味と正しい使い方、そして類語や敬語、例文について詳しく解説していきたいと思います。
「心苦しい」の意味と使い方は?
まず最初に「心苦しい」の意味と正しい使い方について見ていきましょう。
「心苦しい」は、名詞の「心」と形容詞の「苦しい」が融合した語で、人の心情を形容する言葉の一種です。
同じように「心」に形容詞を連ねた、心情を言い表す言葉には、「心憎い」、「心細い」、「心強い」など他にも多くの例があります。
その中でも「心苦しい」は奈良、平安時代から文献などによく見られる古くからある表現です。
有名な作品では源氏物語、枕草子、竹取物語などにも登場しています。
奈良時代などに、この言葉が現れた当初は、「自分の心が痛む」「自分の気持ちがつらい」と自分自身の内面を表す意味合いが主な用法でした。
しかし、平安時代以降には次第に、自分の目から見て、相手の心情を察して「さぞつらいのではないか」「何か気を悪くしているのではないか」と慮ったり、身の上を案じる用法にも広がっていきました。
当時は、肉親の間の関係を語る文脈などで使われる例が多かったとされます。
さらに近世から現代にかけては、主として「人に迷惑をかけたり、自分だけがいい思いをしているのではないかと申し訳なく思う」という使い方が主流となっていきました。
自分の行動を顧みて、「実はそれが他人に嫌な思いをさせているのではないか」、「ほかの人の遠慮を招いているのではないか」と心配になり、気遣う表現だともいえます。
いずれにしても、古来から現代にいたるまで、人間の見えない心のうちをあれこれと思い悩む、といった意味では共通しており、いかにも日本人的な繊細な心理表現の言葉の一つだといえるでしょう。
「心苦しい」は、ビジネスシーンにおいては、何かを相手に要望する際に、へりくだって様子をうかがう前提の文としても使われます。
例えば「お忙しい中まことに心苦しいのですが、ぜひ来週の記念式典にお越しくださいますよう、お願い申し上げます」などと招請する言い方です。
また「大変心苦しいのですが、諸事情によりご要望には応じかねます」と、申し出を断るような場面でも使われます。
「心苦しい」の類語と敬語、例文は?
続いては「心苦しい」の類語と敬語、そして例文について見て行きましょう!
「心苦しい」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- つらい
- 切ない
- 気がとがめる
- 気の毒だ
- 気がかりだ
- 申し訳ない
- いたわしい
- すまない
- 心が痛む
- 悪いと思う
- 恐れ入る
「心苦しい」の類語は以上となります。
「心苦しい」の敬語表現は、接頭辞の「お」をつけて「お心苦しい」、あるいは「心苦しいです」となります。
あるいは「心苦しゅうございます」、「心苦しく思います」などと言うこともできます。
「心苦しい」の例文には次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 私ばかりが楽な思いをしているようで、なんとも心苦しい。
- こんなに親切にしていただいて、むしろ心苦しいほどです。
- 彼が経験してきたつらさを思うと、本当に心苦しいよ。
- これまで何もお役に立てていないのではないかと考えると、心苦しい限りです。
「心苦しい」の例文は以上となります。
類語や例文を見てみるとより一層分かりやすいですよね。
「心苦しい」の言い換え方とは?
最後に「心苦しい」の言い換え方を見ていきましょう。
前述したように、ビジネスシーンでのメールや招待状などの文書での前置き文としては、「心苦しいのですが~」という言い方は、そのまま「恐れ入りますが~」や「大変恐縮ではございますが~」、「申し訳ございませんが~」と言い換えることができます。
実際に相手の心情を察する場合に使う際は、「おいたわしく思う」、「悲しみに暮れている」、「心が痛む」、「お察しする」、「居ても立っても居られない」、「残念でならない」などと表現することも可能です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
「心苦しい」の詳しい意味と正しい使い方、そして類語と敬語、例文について詳しくご紹介しました。
“心”という文字を使った表現方法はまだまだたくさんあるので、そちらも覚えておくとあなたの語彙力がアップすること間違いなしですよ。
言葉の意味や正しい使い方をしっかりと理解して、相手に誤解を与えないように使いたいものですよね!