みなさんは普段、「鑑みる(かんがみる)」という言葉を見聞きしたりしますか?
一見、どんな意味を持つ言葉なのか疑問に思ってしまいそうですが、どんな場面で使う表現方法なのでしょうか。
読み方も難しそうですし、意味や使い方もこの機会にしっかり理解しておきたいものです。
そんな本日は「鑑みる(かんがみる)」の意味と正しい使い方、そして同義語や言い換え方、例文を詳しく解説したいと思います。
「鑑みる」の意味と使い方は?
まず最初に「鑑みる」の意味と使い方について見ていきましょう。
「鑑みる」という動詞は、通常は「かんがみる」と読みます。
「鑑」という漢字は、金へんが字の形を、「監」が字の音を表しています。
「監」とは元来、「上から下を見下ろす」ことを意味するとされます。
このため「鑑」は、そもそもは、盤に入れた水を上から見下ろして、自分の姿を見る「水鏡」のことを示したそうです。
そこから「かがみ」そのものや「お手本」、「戒め」、「考える」、「見極める」といった意味に発展していったと考えられます。
「かがみ」と聞くとまず「鏡」という字を思い浮かべますが、「鑑」も同じく「かがみ」と読みます。
「鑑」は品物としての「ミラー」のことと言うより、特に「人の行いの手本となるもの、模範」といった意味合いを持ちます。
「彼はチームの鑑だ」といった用例です。
こうした字の成り立ちから、「鑑みる」は「鑑(かがみ)」が動詞化したものと考えられます。
「かがみをみる」という趣旨から「かがみみる(=鑑みる)」という言葉が成立したようです。
これが時代が下るにつれて、発音しやすいように、いわゆる音便変化が起きたと考えられます。
すなわち撥音「ん」が挿入され、現代では「かんがみる」という読み方が一般的になっています。
ちなみに撥音を挿入する言葉の例としては、「あまり」→「あんまり」、「~するたび(度)に」→「~するたんびに」などがあります。
このように「鑑みる」は、「他の例、過去の事例や規範に照らし合わせて、現在の状況をよく考える」といった意味を示します。
つまり、「現在、自分や自分の組織が置かれている状態や環境、条件などを客観的に把握し、熟考する」といった意味合いを持つ言葉です。
「鑑みる」は基本的には、あらたまった場面で使う表現だといえます。
論文や講義、政治家の演説といった比較的「お堅い」文章や場面でしばしば使用されます。
ちなみに「鑑みる」の用法では、「○○に鑑みる」か「○○を鑑みる」か、という助詞の使い分けに悩むことがあるかもしれません。
現在ではどちらの表現も違和感がないため、よく使われていますが、「鑑みる」の本来の意味を考えると、前述のように「先例やお手本を鏡のように照らして、自分の状態と比べつつ考える」ということになります。
このため国語辞書では「○○に鑑みる」という言い方がおおむね採用されています。
「鑑みる」の同義語と言い換え方は?
次に「鑑みる」の同義語と言い換え方について見ていきましょう。
「鑑みる」の同義語には次のようなものがあります。
◆同義語
- 見込む
- 斟酌(しんしゃく)する
- 顧(かえり)みる
- 回顧する
- 振り返る
- 念頭に置く
- 参考にする
- 踏まえる
などがあります。
「鑑みる」の言い換え方としては、例えば、、
- 時局を踏まえて決定したいと思います。
- 将来の選択肢を考えるに際して、歴史を顧みることほど重要なことはない。
- 我が国では初の試みなので、外国の先例などを参考にして進めたい。
などとなります。
「鑑みる」の例文をご紹介!
最後に「鑑みる」の例文をご紹介したいと思います。
「鑑みる」の例文を挙げるとすれば、次のようなものがあります。
◆例文
- 犯罪としては軽微かもしれないが、社会的影響に鑑みると情状酌量の余地はないと言うほかない。
- 欧米の先進的な取り組みに鑑みると、まだまだ日本も発展に向けて努力していく必要があるだろう。
- 昨今の情報技術の発展に鑑みると、この計画の実現は、決して非現実的なものではないと思います。
- 内外の状勢に鑑みて、衆論を決する時期を急がねばならない。
「鑑みる」の例文をご紹介しましたが理解は深まりましたか?
是非、参考にして頂けたらと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「鑑みる(かんがみる)」の意味と正しい使い方、そして同義語や言い換え方、例文を詳しくご紹介しました。
私生活の中で多用する表現方法というわけではないので、要点だけをしっかり覚えておけば良いでしょう。
改めて言葉の意味の奥深さや難しさを知ることが出来ると思いますよ。