みなさんは日々の生活の中で「芳しくない」という言葉を見聞きしたり使ったりしますか?
「芳しくない」と聞いてあまりパッとしない人も多いかと思います。
そんな本日は「芳しくない」の詳しい意味と読み方、そして使い方や類語、例文を詳しく解説したいと思います。
「芳しくない」の意味や読み方は?
まず最初に「芳しくない」の読み方と詳しい意味について見ていきましょう。
「芳しい」は、一般には【かんばしい】と読みます。
「芳しくない」は、形容詞「芳しい」に、打ち消しの助動詞「ない」が付いた形の言葉ですね。
「芳」という漢字は、”くさかんむり”に”方”という字から成り立っています。
くさかんむりが草の形を、方は音を示します。
さらに、方は元来「四方八方」という方向を表します。
このことから、草の香りが四方に発散することを示す字とされます。
「芳香」という熟語がその用法の一例ですね。
このように「芳しい」は、本来は「かぐわしい」「香りがいい」「よいにおいがする」という意味になります。
また「芳しい」は、「かぐはし」という日本の古語から由来するとの説もあります。
「か」は香りを指し、「くはし」は「細し」という、良いことを示す古語で、あわせて香りがよいことを表すという見方です。
こうした「よい香りがする」の意味が転じて、「芳しい」には「心が引かれる」「すばらしい」「好ましい」といった、ものごとの状態がよいことの意味合いにも使われます。
「芳しくない」は、現代では、主にこの二番目の意味合いについて、否定をする形で使われる言葉だといえます。
つまり「あまり望ましくない」「それほどよくない」という意味になります。
「芳しくない」の正しい使い方は?
次に「芳しくない」の正しい使い方について見ていきましょう。
「芳しくない」は、ものごとの状態や状況が、事前の予想や期待に反して良くない、うまく進んでいないことを示します。
本来は「美しい香り」という、雅やかなきれいな表現から来ている語句ですから、「想定ではうまくいく、良くなるはずだったのだが、意外にもそうなっていない」というニュアンスで、やや婉曲に悪い情報を相手に伝える言葉だといえます。
相手にとってマイナスな事を伝える際に、直接的な「悪い」「ダメだ」といった表現を避け、ソフトに遠回しに伝えようとする日本語的な表現です。
しかし実際の用例をよく見ていくと、意味合いとしてはそうした字面の感覚より、むしろ少し強い印象があるように思われます。
例えば、「病状は芳しくない」「業績は芳しくない」といった言い方があります。
類語表現で言い換えて、「病状が思わしくない」「業績はあまりよくない」などと表現することもできます。
しかし、これらが同じ意味を示すというよりも、「芳しくない」のほうが受ける印象はむしろ「かなり悪い」「相当悪い」と感じられます。
このため、何か問題が発生したビジネスでのシーンや、深刻な話し合いの場面などで、「状態の悪さ」を表す語句を選択する際には、「芳しくない」はかなり上位に位置する言葉だととらえて、意味合いを理解した上で使用するべきでしょう。
言葉の外見的には、「芳しい」という古代日本の宮廷文化を思わせる美しい形態にもかかわらず、否定の言葉としては、一見オブラートに包んでいるようでいて、実は辛辣な意味を含むという、奥深い表現だといえます。
なお「芳しくない」の読み方としては、「かぐわしくない」は通常用いません。
「芳しくない」の類語や例文も教えて?
最後に「芳しくない」の類語や例文について見ていきましょう。
「芳しくない」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- 期待通りでない
- 思わしくない
- 出来がよくない
- 調子がよくない
- 進捗しない
- はかどらない
- うまくない
- 喜ばしくない
- いまひとつな
- お粗末な
- 粗悪な
- 不出来な
「芳しくない」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 入試の日がもう近づいてきたのだが、どうも成績の方は芳しくない。
- 回復の具合はあまり芳しくない。
- トラブル続きで、工事の進捗が芳しくない。
「芳しくない」の類語と例文をご紹介しました。
類語や例文を参考にするとより一層、言葉の理解が深まるので、頭に入れておいてくださいね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「芳しくない」の詳しい意味や読み方、そして使い方や類語、例文を詳しくご紹介しました。
もし私生活の中で「芳しくない」という表現方法を使う場合は是非、このページを参考にしてもらえたらと思います。