普段よく使う言葉に「いぎ」という表現方法があります。
あえて”ひらがな”で表現させて貰いましたが、漢字で現すと「異議」「異義」「意義」「威儀」これだけの表現方法があります。どんな意味合いがあり、どんな場面で使う言葉なのかこの機会に是非、覚えておきましょう。
そんな本日は「異議・異義・意義・威儀」の違いと使い分け方、そして意味と例文を詳しくご紹介したいと思います。
「異議・異義・意義・威儀」の意味と使い方は?
まず始めに「異議・異義・意義・威儀」の意味と正しい使い方を見ていきましょう。
冒頭でもお伝えしましたが「異議・異義・意義・威儀」という言葉はいずれも漢字二字の名詞で、「いぎ」と読みます。
同じ読みの多い日本語の中でも、意味の違いの理解や使い分けに悩む言葉の一つといえます。
「異議」「異義」の意味
「異議・異義」という言葉の「異」という漢字は、元来は「人が鬼を追い払うための怖い顔のお面をつけた状態」を示すといわれます。
「お面によって恐ろしい別人になる」ということから、「異」は「ことなる」、「違う」、「普通ではない」といった意味を示します。
次に「議」という字はごんべんと「義」から成り立っています。
ごんべんは「慎んで言う」ことを示します。
「義」は元来「羊の首」と「ギザギザの歯があるのこぎり」を表すとされます。
これは「神に生け贄を捧げるために、羊を刃物で殺す」様子を指すといわれます。
これが「厳粛な作法、近寄りがたい振る舞い」といった趣旨に転じたようです。
このような成り立ちから「義」は「正しい」、「決まり」、「意味」といった意味の字となりました。
そして「議」は「正しい道を求めて発言する」、さらに「話し合う」、「意見する」といった意味合いを示します。
こうして見ると「異議」は「異なる意見」、つまり「一つの意見に対して、反対または不服であるという考え」を指すといえます。
特に法律用語としては、相手の行為に対して「法律上の効果を生じさせないために反対を表明すること」を示します。
よく裁判ドラマなどで弁護士や検察官が「異議あり!」と叫ぶ場面を見かけますね。
一方「異義」も意味合いとしては「異議」と同じく、相手に反対を意見表明することですが、現在では「異なった意味」という使い方が一般的です。
「同音異義語」という用例が最もなじみ深いでしょう。
「意義」「威儀」の意味
次に三番目の「意義」についてです。
「意」は「音や言葉では表せない心の内」、すなわち「こころ」や「思い」を意味します。
「意義」は「言葉によって表される意味や内容」、また「その事柄にふさわしい価値、値打ち」といった意味になります。
最後の「威儀」の「威」は「ひざまずく女性」と「大きな斧」を示すとされます。
「女性を斧で脅す」ことから「おどかす」、「近寄りがたい」といった意味になりました。
また「儀」のにんべんは「人」の意味です。
「義」が前述のように抽象的に「正しさ」や「意味」を示すのに対し、「儀」は「人が行う具体的な作法やふるまい」を意味します。
このことから「威儀」は「いかめしく重々しい動作、作法や規律」といった意味合いとなります。
とりわけ仏教用語では「規律にかなった起居動作」や「袈裟に付けた肩掛けひも」を指すようです。
「異議・異義・意義・威儀」の違いと使い分けは?
次に「異議・異義・意義・威儀」の違いと使い分け方を見ていきましょう。
このように字の成り立ちから意味を探ると、似たようなこれら四つの言葉も、現代日本語での使い方にははっきりした違いがあることが分かります。
端的に代表的な違いを指摘すれば「異議」は「反対意見」、「異義」は「違う意味」、「意義」は「物事の価値」、「威儀」は「厳粛な作法」ということになります。
「異議」は法律上など堅い場面で反対意志を示す言い方。
「異義」は現在ではほぼ「同音異義」という熟語での使用がもっぱらです。
また「意義」は「存在が尊ばれるような、重要な価値」といったポジティブな意味の言葉です。
「威儀」は儀式や式典などの中で、身なりを整え、ふさわしい衣装に身を包み重々しく振る舞うことを指します。
この四つの言葉のいずれも比較的堅い言い方であり、一般には「文章語」であるといえます。
しかし意味ははっきりと違っていますので、書いたり変換したりする際には間違いがないよう十分気をつけることが大切です。
「異議・異義・意義・威儀」の例文を教えて?
最後に「異議・異義・意義・威儀」の例文をご紹介します。
例文
この四語の例文を順に列挙してみましょう。
- この行政処分には承服できないので、近く異議申し立てを行う考えです。
- 日本語は同音異義語が非常に多いので、外国人には覚えづらいだろう。
- 長い夏休みに入りますが、皆さん有意義に過ごしてください。
- 今回の褒賞はこの上ない名誉だ。授賞式には威儀を正して列席させていただきたい。
「異議・異義・意義・威儀」の例文を詳しくご紹介しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「異議・異義・意義・威儀」の違いと使い分け方、そして意味と例文を詳しくご紹介しました。
同じ読み方で表現する言葉の意味が4つもあるのは、外国語では考えられないのではないでしょうか。
極端な話、英語でいう「アップル」という表現で4つの意味を使い分けるということですからね。
前後の言葉によって意味を理解して使い分けないといけないので、外国人からすると漢字はとても難しいと思います。
日本人でもなかなか意味や使い分けについて完璧に理解している人もなかなかいないと思うので、それを考えると日本語は本当に奥が深いですね。
これを機会にしっかり頭に入れておきましょう。