普段、生活している中で「引く手あまた」という言葉を聞いたことがありますか?
よく「引く手数多な女性」という表現方法を聞くことがありますが、どのような意味合いがあるのでしょうか。
そんな本日は「引く手あまた」の意味と正しい使い方、そして対義語や類語、例文について詳しく解説したいと思います。
「引く手あまた」の意味と使い方は?
まず最初に「引く手あまた」の意味と使い方について見ていきましょう。
「引く手あまた」という語句は、「引く」という動詞、「手」、「あまた」という名詞から成っています。
「引く」は一般にはあるものを手前に持ってくる、あるいは引っ張ることです。
「引」という字は「弓」と縦棒からできています。
この縦棒は元来は「矢」のことを示したという説があります。
このため「引」はそもそもは「弓を引く」ことを表したとされます。
これが転じて「推薦する」、「招く」、「取り立てる」といった、人に対する起用や登用の行為を示す意味合いにも用いられるようになりました。
「引く手あまた」の「手」は、この語句の場合は体の器官である手のことではなく、「行動を起こす人」、「そうした立場にある人」を示す比喩的な用法です。
例えばほかにも「買い手」、「聞き手」といった使い方があります。
この場合の「引く手」は、前述の用例から「自分を招く、誘う人」という意味合いになります。
そして「あまた」は、「たくさん」の古い言い方で、「数多」という漢字を当てる場合もあります。
「あまた」の「あま」は、「あまる(余る)」「あまねく(遍く)」などの語幹と同様に、ものが豊富に行き渡る意味を示し、それに接尾語「た」がついて「あまた」となったとされます。
元来は、「程度が甚だしいさま」という意味もあったようですが、次第に数量についてのみ用いられるようになりました。
当初は「多少」、「いくつか」という分量を指し示していましたが、時代が下るにつれて、「数えきれないほど多数」という数量を示すようになったようです。
こうしたことから、「引く手あまた」とは、人に対して「誘いかける人が大勢いること」や「引き合いが多いこと」を表す慣用的な表現です。
すなわち「多くの人から受け入れられている」、または「非常に高い評価を受けている」といった状態を意味します。
主には、商売などで品物の売れ行きが極めてよいことや、芸能、技術などで名を挙げたり高い功績を残し、人気が高まったり、仕事の依頼などがひっきりなしに来るといった状況を示す際に使われる言い方です。
「引く手あまた」は一般的にはこのように、「好評なため大人気である」という褒め言葉の用例が多く、不幸や悪いことで有名になったような状況では通常使いません。
「引く手あまた」の対義語が気になる!
次に「引く手あまた」の対義語について見ていきましょう。
「引く手あまた」は、前述のように「他の人からの誘いが非常に多い」という状況を示します。
この反対の言葉、すなわち「まるで人気がない」、あるいは「全然引き合いがない」といった意味を示す対義語としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
◆対義語
- 鳴かず飛ばず
- 調子が悪い
- 勢いがない
- さえない
- 思わしくない
- 見向きもされない
- 伸び悩んでいる
- はかばかしくない
- 不評だ
- 不入りだ
- うだつが上がらない
- 閑古鳥が鳴く
- 声がかからない
- 相手にされない
「引く手あまた」の対義語は以上となります。
「引く手あまた」の類語と例文を教えて?
最後に「引く手あまた」の類語と例文をご紹介したいと思います。
「引く手あまた」の類語には次のようなものがあります。
◆類語
- すごい人気だ
- 引っ張りだこだ
- 大変な売れっ子だ
- とてつもない評判だ
- 行列が途切れない
- 黒山の人だかり
- 猫の手も借りたいほど
- 非常に需要が多い
などがありますね。
「引く手あまた」の例文としては次のようなものが挙げられます。
◆例文
- 景気が上向いたせいか、ここ数年は仕事の求人も引く手あまたの売り手市場になっている。
- コンクールに優勝してからというもの、彼はテレビの出演や講演、審査員などの依頼で引く手あまただ。
- 老いたりといえども、あの技はだれにもまねできない。まだまだ引く手あまたですよ。
「引く手あまた」の類語と例文をまとめてご紹介しました。
類語を見ると普段、よく聞く言葉もあるので、言い換えて使ってみると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「引く手あまた」の意味と正しい使い方、そして対義語や類語、例文について詳しくご紹介しました。
おさらいをすると「引く手あまた」という言葉は”人気がある”や”いろんな人に受け入れられる”という意味を持っています。
「引く手あまたな女性」というと周りの男性達から人気のある女性という意味になりますね。